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読書note-12

「蛇を踏む」
川上弘美
文春文庫 170頁

「センセイの鞄」以来に久しぶりに川上弘美さんを読みました。「センセイの鞄」は居酒屋で出会った30代の女性と老紳士のお話。老紳士は女性の中学生時代の恩師。ゆっくりと流れる時間の中で大人の恋愛が進んでいきます。素敵な作品でした。

今作はそんな川上さんの芥川賞受賞作「蛇を踏む」を含む3編の短編集。3編に共通するのは、今僕たちが生きている世界を現実世界とするなら、現実じゃない幻の中にあるような不思議な世界。それは安部公房の「砂の女」や「箱男」のような、作家が創り出す新たな世界。

3編の短編が収められていましたが、「惜夜記(あたらよき)」「蛇を踏む」「消える」の順に1995年の後半から1996年の前半にかけて書いたそうです。

「惜夜記」は、夏目漱石の「夢十夜」のような掴めそうで掴めない、イメージは湧くが言葉にしようと思うと消えてなくなるそんな夢みたいな世界の話。

川上弘美さんは自分が書く小説を「うそばなし」と呼ぶんだとか。この3編は確かに「うそばなし」っぽいなぁと感じました。「センセイの鞄」は、居酒屋で食べるものも美味そうでリアル感がありました。これも川上さん的には「うそばなし」に入るんでしょうね。そう考えると川上ワールドは広くて果てが見えません。また何か読んでみたいと思います。

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