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不安解消装置としての物語

随分古いネタでごめんなさい、なのだけど、ふとNHKの新年特番「欲望の資本主義2021」※のなかでの英国の社会学者マイク・サヴィジ氏の言葉を思い出した。

人間は、自分がどこから来て、どこに向かっているのか知りたいものだ。

これは単なる無邪気な疑問ではなく、人間の根源に巣くっている強い欲求だとは思う。ときには人を、不安のなかに招き入れるような。

「物語」には、その答を提供する「装置」のような働きがある。人はそれに賛同すれば支持し、ときには熱狂的にもなる。しかし一方で、救いと裏表の危うさもある。その熱狂が引き起こした悲劇は、その大小はともかく、人間の歴史においても少なくはないはずだ。

まやかしの不安に取り込まれないようにするためには、風通しをよくしておくことが必要なのだろう。「物語」のなかには、放熱機能に劣るものも多いのだ。

※欲望の資本主義2021 「格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時」 - NHK https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/8M2M2KX29Z/


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