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#はみだせ緑

少し前の話になるが、昨年11月に「はみだせ!街の緑たち」というトークイベントを行った。園芸や雑草など関係なく、街のちょっとした隙間にはみだす緑の風景を楽しもう、という趣旨のイベント。http://jimbocho.net/536

イベント用に「#はみだせ緑」というハッシュタグを作って、SNSで各地のはみだす緑の写真を集めたところ、予想以上に盛り上がった。
育ちまくったサボテンとか、見事に紅葉したツタとか、道の隙間から生えるパセリとか。ときには絶妙なキャプション付きで、それはもういろんな写真が投稿され、このタグをわくわくしながら辿るのが日課となった。「緑」とゆるく括ったことで、自然に生える草木から園芸まで、投稿者の方それぞれの定義で目に止まった風景が集まったことも楽しかった。
イベント終了後もなお、このタグで日々はみだす緑の投稿が集まっており、引き続きこのタグを辿るのが日課になっている。

温暖湿潤な日本では、ちょっと放っておくとたちまちもじゃもじゃと植物が生えてきてしまう。うちの庭も御多分に洩れず、ちょっと草刈りを放っておくとドクダミやらオニタビラコやらアレチウリやらが繁茂し、砂利の隙間からカタバミやらヤブカラシやらキヅタやら、「どこに隠れていたの」と思うくらいいろんな種類の植物がちょこまかと芽生えてくる。
裏口の向かいのブロック塀と道の隙間からは、タマサンゴがモサっと生えている。

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駅のホームや道路でも、人にあまり踏まれない場所に目をやると、ちょっとした隙間からエノコログサやらホウライシダやらツメクサやら、いろんな植物が顔を出している。

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植栽が完璧に管理された空間も見応えあるが、砂利の中からひょっこり顔を出すカタバミにも、家を覆い尽くすツタにも、植木鉢をかち割るシェフレラの根っこにも、それと同じくらい・・・いや、それ以上に心惹かれてしまうものがある。

時折はみだす緑が電線や電柱を覆っていたりするので、管理している側や住人からするとたまったもんじゃないかもしれないが、いち観察者としては「これもまた自然の一側面」と割り切って、あえて無責任にそのはみだしっぷりを愛でてみようというわけだ。

「はみだせ緑」のタグを通して、私と同じように、植物の制御不能さを見て楽しむ人たちが大勢いると知れたことが嬉しかったし、楽しむ視点にも発見がたくさんあった。

植物は生き物。そして人間の園芸欲も底知れない。植木鉢や植え枡といった枠はやすやすと越境され、道路脇の植栽スペースが誰かの庭になっていたり、空の植木鉢にどこからか飛び込んできた種で小さな草むらができていたりする。

一見、管理が行き届いていないというネガティブな印象を持たれるかも知れないが、「はみだせ緑」目線で見てみると、一気に楽しい光景となる。

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最後になりましたが、「はみだせ緑」のイベント開催に際し、編集者の西村依莉さんには企画面で大変お世話になりました。またゲストでご登壇いただいた三土たつおさんには、『街角図鑑』目線から「はみだせ緑」の風景を楽しむ視点を添えていただきました。
今更ではありますが、あらためましてありがとうございました!


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