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重箱式と巣枠式

これまで重箱式で取り組んできたニホンミツバチの養蜂。
主催しているワークショップでもお勧めしているように重箱式のメリットは多くあります。
まず何より巣箱の構造がシンプルであり、材料の加工や組み立てが容易であること。技術的にも経済的にも負担が少なくなります。
そして、ある程度蜂任せにして放置できることから、飼育の手間が軽減されているということ。時間的コストが軽減されることにより、試しにやってみよう!という参入が容易になります。
しかし飼育する相手は生き物であり、しかも周囲を自由に飛び回る前提であることから、病害虫や疫病などの蔓延防止の為にも、基礎的な知識は学んでから始めることを強くお勧めします。これがワークショップを開催している理由の一つでもあります。

重箱式でも複数の群を経年的に飼育していると、必ず数々の異変に気付くことになります。
代表的な例では、女王蜂のトラブルによる無王群化、アカリンダニを始めとする寄生虫による弱群化・崩壊、強群を弱体化させる望まぬ夏分蜂などなど。
基本的にその採蜜能力の高さや定住性などから商業的に飼育される外来種である西洋ミツバチ養蜂と違い、単に愛玩や保護として趣味的に飼育されることが多くあるニホンミツバチ。こうしたトラブルに対する養蜂家の知識と対応も様々です。

西洋ミツバチの養蜂家は巣枠式巣箱によって徹底した管理を基本とします。それにより健全な群の育成と優秀な女王蜂の血統の継承をコントロールすることができます。事業として営利目的の養蜂ですから寄生虫や疫病などは死活問題。管理は当然といえば当然ですが、本来日本の生態系に生息していない西洋ミツバチの分蜂群を周辺の生態系に拡散させない為でもあります。

紀元前から行われている養蜂において、メインストリームである近代養蜂の知識の蓄積は西洋ミツバチによって成されたと言って良いのではないでしょうか。そして実際に多くの国々で蜂蜜の採集や受粉の媒介者として、西洋ミツバチの飼育で使われているのが巣枠式の巣箱です。

群の状態をより詳細に確認できる巣枠式をニホンミツバチに応用する取り組みも様々な形で行われていますが、先に述べたようなハードルの高さと、そもそもの飼育目的の違い、そしてまとまった公開情報の少なさから、巣枠式により飼育されている例はごく僅かです。

私自身は重箱式でぶつかる限界を割と早い段階で経験していたため、昨年から徐々に巣枠式についての情報収集を始めており、巣枠のサンプルを造りかけたりしている状況でした。

春の分蜂祭りはワクワクしますが、それに振り回される労力も少なくないというのが現実です。飼育群が増えれば尚のこと。

そこへ来て、とある行政の管理区域にニホンミツバチらしきものが営巣しており、駆除して欲しいとの依頼を、その場所の管理会社に勤めているのがたまたま友人であったことから私に連絡を頂きました。

早速現地を下見に行くと、これまで見たこともない立派な自然巣を確認しました。

縦80cm横40cm以上ある巨大な巣

駆除なんてとんでもない。できればこのまま暮らしてもらいたいのですが、地域のご意見としてそれは無理な様子。そうとなれば保護するほかありません!

この時、想像を大きく超える事態を確認して以降、ネットとリアルの情報を改めて収集し、蓄積していた情報と自分の経験をフル回転で攪拌させ、普段はのび太くん並みに寝付きの良い僕が興奮して寝付けなくなりました。何かに集中すると時々発動するモードに入ったようです。

果てさてどうなることやら。

思いのほか長くなりましたので続きはまたの機会にまとめてみようと思います。


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