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【感想文】なぜ働いていると本が読めなくなるのか /三宅香帆(集英社新書)

「ゆとり世代はすぐ辞める」と言われるけど、それは忍耐力がないからではなく仕事にやりがいを求めすぎていたからだった。小学校の授業でプロジェクトXの録画を見せられ、13歳からキャリアを考えさせられ、あたかも仕事は自己実現の手段であるかのような価値観で大人になった。

むしろ我々は「24時間働けますか」の価値観と親和性があるどころか、そこにやりがいを重ねてしまう分、メンタル不調になってしまう人が増えた。仕事を生き甲斐にしなければいけない。ゆとり教育の失敗は皮肉にも「ゆとりがない世代」になってしまったところにある。

働き方改革で働く時間が少なくなっているはずなのに、副業がもてはやされている。働き方改革で得た時間は、仕事以外のことに使うためにあるはずなのに、そこにまた仕事を入れたらなんのための働き方改革なのか。これは重労働の末倒れていった先代たちが残してくれた最高のチャンスなのだ。

全身全霊をやめよう。これが仕事に対してだけでなく、家事育児、趣味、そして読書に対してであることに本書の本質を見た。ゆとり第一世代は今、育児も仕事も盛りな30代。きっとやりがいを求めてすり減ってる人がたくさんいるはず。ゆとり世代は燃え尽きるまえに全員読め。まだ全身全霊で消耗してるの?


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