ストリクスヘイヴン雑感(5)赤
赤を含むカレッジは青赤のプリズマリと赤白のロアホールドです。
プリズマリは青赤らしくインスタントとソーサリー関連のカードやそのコピーが目立ちますが、従来の軽量スペル連打ではなく、宝物やコスト軽減カードを利用して効果の大きい重量ソーサリーなどを打つ派手なアーキタイプです。またドローやドロー操作にも長けています。呪文を連発するタイプではないので、魔技も能力を得るなど効果が重ならないものが多いです。
トークンは4/4のエレメンタルです。各カレッジのトークンの中では最大のサイズで、出す手段もそれなりにあります。重量スペルで各種アドバンテージを取りつつエレメンタルで殴る、というのが一つのパターンになるかもしれません。
ロアホールドは赤白にしては珍しく(ボロスとの差別化のため、とのこと)ロングゲームもできるアーキタイプです。基本的には殴っていきますが、墓地利用カードが多く息の長い戦いが可能で、そのアドバンテージによって殴り切るというようなプランになるでしょう。魔技の効果はまちまちで、特にこれというコンセプトはないようです。
トークンは3/2のスピリットです。トークンでないクリーチャーにもスピリットが多く、スピリットを参照するカードもあります。
赤・コモン
《血の時代の将軍/Blood Age General》
全ての攻撃しているスピリットを強化する将軍です。
将軍もスピリットですが、タップ能力なので本人を強化するのはアンタップするか警戒を与えるかなどしないと難しいです。また、攻撃しているスピリット限定なのでブロックからのタップで3/2にすることもできません(むしろ相手のスピリットが強くなる)。
本人が影響を受けないとはいえ、ロアホールドはスピリットだらけなのでそれなりに効果的な瞬間は大きそうです。3/2トークンもそこそこ出るので、それが4/2になるのは突破力が大きいでしょう(タフネス4の多い環境っぽいので)。
能力を抜きにしても熊なので最低限の働きはします。当然ロアホールドのカードですが、2マナ域が薄ければプリズマリがブロッカーに採用するかもしれません。
《ドラゴンの接近/Dragon's Approach》
単体では対戦相手限定の3マナ3点火力、それもソーサリーと非常に低性能な呪文です。しかし、これが墓地に4枚ある状態でこれを打つと(つまり5枚目のこれを打つと)ドラゴンをサーチして場に出すことができます。5枚必要なので、デッキ投入枚数の制限がありません。
構築なら工夫の余地もありますが、リミテッドではサーチはできてもせいぜい1~2枚、基本的には自力で引いて地道に打つか捨てていくことになります。しかし今回ドラゴンは神話レアのエルダードラゴンサイクルくらいしかおらず、それを引いた上でこのカードを5枚以上ピックしてデッキに入れ、それらを5枚以上引くかサーチしてくる必要があります。しかも、そこまでしても打てば勝ちというものではなく、強力とはいえクリーチャーが一体出るだけ。
今回屈指のネタカードと言っていいと思いますが、構築ではこのカードを大量に投入して自分の《才能の試験/Test of Talents》で打ち消すとライブラリを超圧縮することが可能で、あるいは何かのコンボに使われるかもしれません(土地が大量に残りそうなので実用性はかなり怪しいですが)。
リミテッドで使う可能性はかなり低そうなのでどのカレッジであるかはどうでもよさそうです。ロアホールドがボロスのようなアグロだったら本体火力として採用した可能性がわずかにありますが…………
また、このカードの日本語版には(テンプレートの変更があったのでなければ)誤訳があります。
この英語版テキストにある”If you do”(そうしたなら)が訳されていないため、このままだといわゆる再帰誘発型能力のテキストにならず、「追放するのはただの効果(の一部)で、追放しようがしまいがドラゴンをサーチする」というぶっ壊れたカードになります。今回、他にも"If you do"が訳されていないカードがあり、あるいはテンプレートの変更があったのかもしれませんが、従来どおりに読むと挙動がかなり変わってしまうので現時点では誤訳と考えたほうがよいと思います。
《熱心な研究/Enthusiastic Study》
「巨大な秘本ならもっとすごい」ンッン~名言だなこれは
赤によくある、パワー修正寄りのトランプルつきコンバットトリックですが、ちょっと重い分履修がついています。タイミングや対象の限定がないので、履修だけを目的にメインフェイズに対戦相手のクリーチャーに打つなども可能です。
+3/+1&トランプルはコンバットトリックとしては優秀な部類で、邪魔なブロッカーを突破しつつ講義を持ってくる動きができれば相当強力でしょう。もちろん講義次第ですが、コンバットトリック枠としてはデッキに採用しやすいカードだと思います。
攻撃時に強いコンバットトリックということでロアホールド向けです。コモンに二段攻撃を持ったクリーチャーがいるので、それとも好相性です。
《授業初日/First Day of Class》
打ったターンだけ、クリーチャーに両方選べる暴動/Riotの能力を与えるようなインスタントです。履修もついています。
クリーチャーを同じターンに出さないと意味が薄いですが、講義が確保できていればアドバンテージを失わないので、+(1)(R)でサイズアップ+速攻付与のキッカーだと思えば一体のクリーチャーでも十分役立つ瞬間はあるでしょう。
強化部分についてはインスタントである意味はあまりなさそうですが、講義のサーチが目的の場合は相手のエンドに打ってそのまま自分のメインに講義を打つ、というような動きも可能です。
構築では、一度にクリーチャーをたくさん出すコンボに速攻付与のために使われる可能性があるかもしれません。
ロアホールドもプリズマリもトークンを同時に大量に出すようなアーキタイプではありませんが、強化と速攻という観点からはロアホールド向けのカードです。イラストもロアホールドです。
《発煙する肖像/Fuming Effigy》
「たび、は各対戦相手に」
ロアホールドに多い「墓地を離れるたび」の誘発型能力を持つスピリットです。何かのコストで墓地のカードを追放する、墓地から何かを手札に戻したり場に出したりする、などによって誘発します。
場に居座れば継続的なダメージ源になってくれますし、そこそこのサイズがあるので戦闘もこなせます。スピリットでもあり、ロアホールドの標準的なコモンになりそうです。
《白熱する議論/Heated Debate》
議論(4点火力)
打ち消されない3マナ4点火力です。例によってプレイヤーには打てません。
打ち消されないので、PWをカウンターで守るタイプのデッキがあればよく効くでしょう。メタによってはサイドボードに入るのかもしれません。
リミテッドでは3マナ4点火力の時点で優秀な部類で、赤の基本除去になりそうです。打ち消されない能力は、カウンターを打たれないことよりも護法を無視できるのが大きいのかもしれません(わざわざ注釈文も入れてある)。
イラストやフレーバーテキストはロアホールドのようですが、癖のないコモン火力なのでどちらのカレッジでも使うでしょう。
《著名な歴史家/Illustrious Historian》
2マナ域を埋めるのに丁度いいスペックに、あとあと3/2スピリットとして転生する能力がついています。
単純に1枚で2体のクリーチャーとして働くのが強力で、序盤のカードでありながらマナフラッド受けになるのも魅力です。2/1バニラの旬が過ぎても履修などで捨てれば有効活用できるのも◎。トークンはタップインなので緊急ブロックに使えないことには注意。
当然ロアホールドのカードですが、プリズマリでも使えなくはないでしょう。
《色素の嵐/Pigment Storm》
最近多い、疑似トランプルつきの火力です。重いですが5点は大きく、大抵のクリーチャーが射程に収まります。
フレーバーテキストなどはプリズマリで、事実重めのソーサリーということでプリズマリ向けなのですが、除去なのでロアホールドでも使うでしょう。疑似トランプルがうれしいのはどちらかというとロアホールドのほうです。
《柱落としの番人/Pillardrop Warden》
固い到達クリーチャーです。4マナでタフネス5はかなり固く、地上空中問わずアタッカーをがっちりせき止めてくれます。タフネス1のフライヤーがそこそこいる環境なので、パワー1も飾りではありません。
また、ソーサリータイミング限定なのが残念ですが、自身を生贄に捧げて墓地からインスタントかソーサリーを拾う能力も持っています。スピリットかつ墓地利用ということでロアホールドのカードですが、インスタントやソーサリーを拾うのはプリズマリ的でもあり、また前述の通り固い到達クリーチャーということでプリズマリにも需要がありそうです。特に今回はアグロカラーであるシルバークイルが空から殴ってくる展開が多そうなので固い到達は頼りになります。
《突然のひらめき/Sudden Breakthrough》
刹那持ちのXドロー…………ではない。
赤によくある《確実な一撃/Sure Strike》系のコンバットトリックです。パワー修正が1小さい代わりに宝物トークンが出ます。
クリーチャー同士の戦闘では+3も+2も大差ないことも多く、そう考えると宝物によって差し引き1マナで済む(あるいは翌ターン以降のマナを増やせる)ことのメリットのほうが大きいかもしれません。序盤に打っておけば将来タッチカラーのカードを引いたときに宝物が役立つ、ということもあります。魔技との相性もよく、なかなかやり手のコンバットトリックになりそうです。
宝物が出るということで、プリズマリ寄りのカードです。ロアホールドは《熱心な研究/Enthusiastic Study》、プリズマリはこのカードというように赤いコンバットトリックを分け合っていくことになるかもしれません。
《秘本破り/Tome Shredder》
3/2/2速攻に加え、墓地のインスタントやソーサリーを食って大きくなる能力も持った狼です。
速攻があるので、殴ることもできますし(餌があれば)出てすぐに3/3でブロックすることもできます。ロアホールドのカードなので「カードが墓地を離れたとき」を誘発させられる点も見過ごせません。
頭数が足りなければプリズマリでピックすることもあるかもしれませんが、基本的にはロアホールドのカードでしょう。
《双巻物のシャーマン/Twinscroll Shaman》
二段攻撃だけを持ったシンプルなフレンチバニラです。
パワーが1なので、そのままでは3マナクリーチャーとしてやや貧弱で、二段攻撃の常として強化と併用することになります。同じコモンの《熱心な研究/Enthusiastic Study》はパワー修正が大きい上にトランプル付与と、いい相方になるでしょう。あとはシルバークイルからこぼれてきた白い強化呪文を使う手もあります。
ロアホールドは墓地利用のこのような攻撃向けのクリーチャーもいて、そのようなクリーチャーで殴りつつ墓地利用も活かして息の長い攻勢をかけるアーキタイプのようです。
赤・アンコモン
《学術論争/Academic Dispute》
論争(アタック&ブロック)
履修つきのブロック強制インスタントです。こちらが一体でアタックすれば自動的にそれをブロックすることになり、格闘のような除去として機能します(その後攻撃できない、他のクリーチャーにもブロックされてアタッカーが死ぬ可能性がある、などの違いはあります)。
到達を与えるのでフライヤーでアタックしてもブロックされます。この場合、他のクリーチャーにもブロックされるリスクが減るので安心感が増すかもしれません。
履修つきの1マナインスタントというのも重要で、持ってきた講義をすぐ使ったり、相手のエンドに余ったマナで講義を持ってきて自分のターンに使う、というような隙の小さい動きを取りやすくなっています。
特にどちらのカレッジのカードという感じもしません。講義の取れ具合でピック順が決まりそうです。
《献身的な塵語り/Ardent Duskspeaker》
これも"If you do"が訳されていないので、このままだと「墓地にインスタントかソーサリーがあればそのうちの一枚をライブラリの一番下に置き(強制、なければ何もしない)。その後(インスタントやソーサリーをライブラリの底に置いても置かなくても)ライブラリの一番上から~~」という挙動になってしまい、墓地に何もなくても衝動ドローができる強力カードになります。
こちらが正しいテキスト。ライブラリの底に送らない場合はめくることもしない
追放とは異なる形で墓地のリソースを消費して衝動ドローに変えるクリーチャーです。墓地にインスタントかソーサリーが落ちている必要がありますが、2枚めくって(可能なら)その両方を使えるのは強力です。戻したカードも(シャッフル手段があれば)また引けるかもしれません。ライブラリが1枚以下のときに使えば戻したカードを使えますが、その後が危険です。
このクリーチャーが出ている時点でマナはそれなりにあると思われるので、土地と何かがめくれるような展開が理想でしょう。インスタントかソーサリーがめくれたら、それを使うことで翌ターンの誘発にも繋げられます。
継続的にアタックしたいので3/4というタフネス寄りのサイズも嬉しいですが、マナ域を考えると相手にもそれなりのブロッカーがいそうなので除去などでバックアップしたいところです。
フレーバーテキストや墓地利用というところからロアホールドのカードですが、インスタントやソーサリーを参照するのはプリズマリ的でもあり、どちらでも使えるデザインになっています。
《爆発的歓迎/Explosive Welcome》
歓迎(8点火力)
やたら重い火力です。別々の対象であればどこにでも打てる5点&3点の火力+若干のマナ払い戻しという効果で、そもそもの8マナの捻出が大変ですが、打てさえすれば差し引き5マナ、何らかの方法で踏み倒せばむしろマナが増えます。
イラストも効果もこれぞプリズマリ、といった感じですが、8マナは流石に重いので宝物やコスト軽減をうまく使う必要があるでしょう。また、8マナ払うだけだとコスト相応の効果と言えるか怪しくなってくるので、「払い戻し」の3マナを有効に使う手段も用意しておきたいところです。
ロアホールドもロングゲームに強いアーキタイプなので最終的には打てないこともないでしょうが、腐る期間が長そうなので採用はためらうところです。
《にやにや笑いのイグナス/Grinning Ignus》
未来予知からの再録カードです(未来予知のタイムシフトカードなので、設定上は今回が新録になるのかもしれません)。
戦闘能力は最低限かそれ未満ですが、手札に戻すことで差し引きで無色マナ2つを得ることができます。赤マナ一つ加えればさらに出し直すことができるので、ストームや《パラドックス装置/Paradox Engine》と好相性です。
《語りの神、ビルギ/Birgi, God of Storytelling》や、(いくらかのアンタップ状態の山やカウンターと共に)《遁走する蒸気族/Ranaway Steam-kin》が隣りにいると無限に出し入れができます。出し入れに飽きたらミスティカルアーカイブの《ぶどう弾/Grapeshot》を打って終了。
リミテッドではもちろんそのような悪用はできませんが、変則的なマナ加速として用いることが可能で、3ターン目にこれを置いておけば4ターン目に6マナの呪文を唱えることができます。ただし、起動はソーサリータイミングなので除去を回避することはできません。
マナ加速の一種ということで、フレーバーテキスト通りプリズマリのカードと言えるでしょう。これを戻したマナも使って《爆発的歓迎/Explosive Welcome》を打ち、出てきたマナでこれを出し直す、などという動きも魅力的です。
《講堂の監視者/Hall Monitor》
1/1/1速攻+α、ということで《怒り狂うゴブリン/Raging Goblin》の(クリーチャータイプを抜きにすれば)上位互換です。
起動型能力はタップがいりますが、速攻があるので出したターンから起動することができます。1体だけとはいえ最も大きいクリーチャーをブロックできなくさせれば格段に攻撃しやすくなるので、アグロにはありがたい能力といえます。単純にブロッカーを一体減らすことによりフルアタックで本体に通るダメージを増やすこともあるでしょう。
序盤はアタックしていくらかのライフを削り、中盤以降はマナに余裕があればアタッカーのサポートもできる。アグロ向けのなかなか器用なクリーチャーです。リミテッドの1マナ域の候補になるでしょう。
ロアホールドはアグロと言うほどではないですが殴っていくアーキタイプではありそうなので、1マナ域に採用することができるかもしれません。
《炎血の発想/Igneous Inspiration》
最近珍しくなってきた、どこにでも打てる3マナ3点火力です。履修もついています。ソーサリーなのが少し残念。
3マナ3点の時点で及第点、履修によってアドバンテージも得られる(かもしれない)となれば優秀な部類でしょう。講義がなくても除去として及第点なので、ピック順は早めになりそうです。
イラストやフレーバーテキストはプリズマリですが、癖のない火力なのでロアホールドでも使われるでしょう。
《マスコットの横取り/Mascot Interception》
やはりPestがボール代わりのよう
赤の定番、一時コントロール奪取です。今回はアンコモンでの収録です。従来品より1マナ重いですが、トークンが対象だと1マナまで軽減される、対象のパワーが+2されるというボーナスがあります。
この手のカードはアグロが最後の押し込みに使うか、黒赤でサクリファイスと併用するのが基本ですが、今回は赤いアグロがなく、黒赤はそもそも存在しません。
似たような使い方としては、プリズマリなら《再造形/Resculpt》、ロアホールドなら《記憶留出法/Reduce to Memory》と併用することが考えられます。前者は2マナのコモン、後者は3マナのアンコモン、しかも講義ということも考えると、プリズマリのほうが使いやすいでしょう。
また、忘れやすいですが自分のクリーチャーにも打てます。ロアホールドにはタップ能力を持ったクリーチャーが多いので、(マナがあれば)その能力を使ったあとにアンタップさせて攻撃、出したばかりのクリーチャーに打ってパワーアップ&速攻、というような使い方も(マナ効率がよくないながらも)可能です。
その他、クアンドリクスはとんでもない大きさのトークンを出してくることがありそうなので、それを奪って殴るだけで深刻なダメージを与えることができるかもしれません。
《ご破算/Start from Scratch》
”Start from Scratch”で「一から始める/やり直す」というイディオム。
《削剥/Abrade》《溶鉄破/Molten Blast》の流れを汲む、火力とアーティファクト除去のモードを選べる講義です。ダメージがついに一点になり、ソーサリーになってしまいました(講義なので仕方ないですが)。
火力が1点なのは寂しい限りですが、対象が限定的ということで、いかにも講義らしいデザインともいえます。ライブラリから引いてきたら腐りそうですが、タフネス1を除去したいときやアーティファクトを除去したいとき(や、ルーティングなどで捨てる予定があるとき)以外は持ってこなければいいだけの話です。
見た目はプリズマリのカードですが、クリーチャーとアーティファクトに対する除去であること、講義であることなどから特にどちらのカレッジ向きということもなさそうです。
《嵐窯の芸術家/Strom-kiln Artist》
4/2/2とマナレシオは今ひとつですが、魔技で宝物トークンを出すことができます。コピー呪文や履修からの講義など、連続で呪文を唱えたいときには有難いでしょう。また、宝物を使わない場合は本人のパワーがアップします。
ロアホールドで使えないわけではないですが、透かしが入っている通りプリズマリのカードでしょう。とかくマナがかかりがちなプリズマリにとって、場に居座ることができればよいエンジンになってくれるクリーチャーでしょう。
赤・レア
《陰謀の理論家/Conspiracy Theorist》
攻撃するたびに①を払ってルーティング(かき回し)する能力と、カードを捨てたときにそれを追放して唱えることができる能力を持っている熊です。
基本的には手札にあるカードを①重くしてキャントリップをつけるような効果で、無事に攻撃できれば強力です。生きている限りアドバンテージを稼ぎ続けてくれるでしょう。
自分の能力で捨てたカードでなくてもよいので、履修などと併用すれば攻撃に行かなくても能力を利用できます。その場合マナが余計にかかりますが、衝動ドローと違って自分で捨てたものを唱えるので、マナを計算してから唱えられるものを捨てればいいのが強みです。土地をプレイできないのが残念ですが、土地なら普通にルーティングしたと思えばよいでしょう。
イラストを見る限りロアホールドのカードで、一旦墓地に落ちてから追放するので「カードが墓地を離れたとき」の能力も誘発します。一方で最低限熊であり、能力も単体で機能するものなので、プリズマリでも採用されうるでしょう。
《ドラゴンの介入/Draconic Intervention》
dragonの形容詞はdragonicじゃなくてdraconicなんだねえ。
ストーリー上の一枚。火を吐いているのは《ガラゼス・プリズマリ/Galazeth Prismari》で、燃やされているのは《魔道士狩り/Mage Hunter》です。魔道士狩りはヴィランである(っぽい)オリークの軍勢なので、エルダードラゴンが学院を護りに来たか、オリークが彼または彼女を怒らせたか、まあそういうシーンなんだと思います。
墓地からインスタントかソーサリーを追放し、そのマナ総量に等しいダメージを各クリーチャーに与える火力です(プレイヤーには入りません)。
追放つきの全体除去ということで、下準備はいるもののリミテッドでは強力な効果です。準備が整うまで耐えたい、重量カードを墓地に捨てられる、とプリズマリの戦略にもちょうど合致します。7点や8点の全体火力、それも墓地からの復活も許さないとなれば、耐えられるクリーチャーはほとんどいません。ドラゴンに効かない点は、ドラゴンが神話にしかいないのであまり気にしなくていいと思います(KHMのように多相もいない)。
ロングゲームプランである、墓地利用である、という意味ではロアホールドにも向いたカードですが、できればプリズマリで使いたいところです。
《イフリートの炎塗り/Efreet Flamepainter》
《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhoard Arcanist》を思い起こさせる能力ですが、重い上に攻撃を通さなければならない分、書かれていることはさらに強烈です。マナコストの制限がなく、それでも踏み倒しで唱えられ、しかも二段攻撃があるので2回誘発します。
墓地に重い(あるいは即死コンボになるような)ソーサリーを二枚落としておいて、《騙し討ち/Sneak Attack》などでこれを投げてくるデッキが組まれるかもしれません。
赤いデッキが火力を拾うのも強そうですが、4マナクリーチャーの攻撃を通さなければならないと考えるとコントロール色のあるデッキがアドバンテージ源に使うというのも考えられます。ミスティカルアーカイブで帰ってきた《石の雨/Stone Rain》など土地破壊を2枚拾われたら投了でしょう。
いずれにせよ夢が広がるカードなので、色々と試されるでしょう。その中にもし実用レベルのものがあれば、構築でも見かけるカードになりそうです。踏み倒しで唱えられるので、コピー系の呪文や能力とも好相性です。
リミテッドでも当然強力ですが、いかにして攻撃を通すかが問題になります。《熱心な研究/Enthusiastic Study》などで強引にねじ込んで(この場合、講義も最大2枚持ってこられる)大ダメージを与えつつ除去を拾えばほぼ勝ちでしょう。魔技と相性がいいのも見逃せません。
見るからにプリズマリのカードで、重量スペルを複数捨てておいてこれの攻撃を通せばほぼ勝ちでしょう。一方で二段攻撃や墓地利用というロアホールド的側面もあるので、どちらのカレッジでも使うでしょう。
《白熱の熟達/Fervent Mastery》
熟達サイクルの赤です。
ライブラリから3枚もカードをサーチできますが、その後3枚を、しかも無作為に捨てなければなりません。結果的にカードを一枚損することになります。
この手のカードは手札にあっても墓地にあってもいいもの、あるいは墓地に落としておきたいものを持ってくるのがセオリーですが、無作為に捨ててしまうのは非常に不便です。持っておきたいカードが落ちて捨てたいカードだけ手札に残っている、ということになりかねません。
マナコストも5マナ、代替コストでも1マナ減るだけと重く、下準備のカードとしてはコンボに使うにも遅い気がします。
そんなに都合のいいカードばかり集められないリミテッドでは更に使いづらいカードです。手札にあっても墓地にあってもいいカードは確かに存在しますが、そのようなカードを複数集められるかは分かりませんし、5マナをかけて、有効カードが落ちるリスクを犯してまでサーチしてくるかと言うと怪しいところです。
効果自体は特殊なので今後なにか見つかるかもしれませんが、現時点ではあまりデッキに入れたくないカードのように思います。
《歴史解明学/Illuminate History》
大規模ルーティングカードです。《ヴァラクートの覚醒/Valakut Awakening》と少し似ていますが、カードを墓地に送れる、捨てた枚数しか引かないので手札が一枚減る(そのかわり墓地が肥えていればトークンが出る)、といった違いがあります。
リミテッドではいらない土地や墓地にあっても機能するカードをドローに変えつつ戦線にクリーチャーを一体追加する、という感じになるでしょう。この手のカードは序盤~中盤に腐るのが難点ですが、講義なので捨てたいものがたまってきてから持ってくればいいのが有難いところです。
ロアホールドのカードですが、講義でもあり、効果としてもプリズマリで使えないわけではありません。
《回収するフェニックス/Retriever Phoenix》
唱えたときに限りETBで履修を行うフェニックスです。復活能力に飛行・速攻と、いかにもフェニックスというデザインです。
復活の条件は履修を行うこと。正確に言えば、履修を行う代わりに墓地から戻すことができます。置換効果なので、一度の履修で一体しか戻せません。
速攻、墓地利用といかにもロアホールドのカードですが、履修はどのアーキタイプにも存在し、飛行ブロッカーにも便利ということでプリズマリでも採用されるでしょう。
赤・神話レア
《弾ける力/Crackle with Power》
「彼女は光明で卓絶で恐怖だった」って和訳、ちょっとひどない?
X体の対象に5Xのダメージを与える、プリズマリの真骨頂とでも言うべきド派手な呪文です。さすが神話レア。
X=1:5マナで1体に5点
普通の5マナ5点ソーサリーとして使用できます。若干弱いですがリミテッドなら十分使用できるでしょう。
X=2:8マナで2体に10点
対クリーチャーとしては既にオーバーキル感が出ていますが、二体除去として使うことができます。片方を本体にすればプレッシャーをかけられるでしょう。
X=3:11マナで3体に15点
3体除去もできますが、本体に打てば高確率でゲームが終わるでしょう。異界月エムラクールも一撃です(打てれば)。
X=4:14マナで4体に20点
4箇所に打てますが、一箇所で人が死にます。最大4箇所なので対象がなくて打てない心配もありません。
X=1でも機能しますが、どうせなら8マナ、できれば11マナで打ちたいところです。宝物を溜め込んで一撃必殺を狙いましょう。もちろんプリズマリのカードです。
そういえばこんなものが収録されていた気が(残念ながら赤緑のアーキタイプがない)
総評
ロアホールドの白のカードは長期戦を睨んだものが目立ちましたが、赤のカードは二段攻撃や速攻などの攻撃的なものが目立ちました。完全に遅いアーキタイプということではなく、墓地利用によってリソースを尽きさせない息の長いビートダウンという感じになりそうです。
墓地利用についてはプリズマリにも若干その要素があるので、一部のカードは奪い合いになるかもしれません。
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