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慈恵医大の偉大なる外科医大木先生の提言を読んでみよう

年明けから医療クラスタをザワザワさせていたある大物医師の提言のことである。

大木隆生医師は慈恵医科大学外科統括なんとか部長とかいう大袈裟な肩書の持ち主であるが、その肩書に以上に経歴がすごい。アメリカで大動脈ステントのパイオニアとして名を挙げ、色々と表彰されてきた凄い人なのである。どう凄いのかは血管外科は門外漢なので具体的にはよくわからないが、とにかく凄いのだ。あと英語めちゃくちゃ上手いらしいです。

私は血管外科医で、全国から手術不能とさじを投げられた患者がきます。06年に米国の医科大外科教授のイスを捨てて帰国し、最先端の血管外科医療を慈恵に持ちこみました。最初の7、8年間は、週1回の外来では朝昼夜食抜きで連続20時間やっていました。手術は毎日朝から晩まで執刀しても半年待ち。私自身過労で4回入院しました。これは医療崩壊でしょうか

はい、崩壊です。コロナの前から日本の医療は崩壊してる。

それはさておき、提言の趣旨の一つは、雑にまとめると、日本人にとっては新型コロナウイルスはさほどの脅威ではないから、経済活動にダメージを与えることなく医療体制を強化することで乗り切ろうというものである。反自粛派といっていいだろう。

しかし中身をよくみると、「ぼくのかんがえたさいきょうの」的なところもあって、現場で苦闘する医療者からは反発あるやろなあって感じである。特に公的な病院は国や自治体の統制が効くのだからもっとコロナの病床を増やすべきとかいう件は炎上必至である。よく実名顔出しでそんな多大なる怒られが発生しそうなこと言えるな。僭越ながらnoteの有料エリアに書いたらいいですよって教えてあげたい気分である。

また政治学者の三浦瑠麗氏が好意的に拡散したこともあり火に油をそそいだ感がある。彼女は右にも左にも嫌われてるからね。

しかし国難にあって、自分たちには戦う用意があると高らかに宣言したことは尊いと私は考える。

これこそ真のナショナリズムではないだろうか。男の中の男といっても過言ではあるまい。

私の提言は、彼ら(引用者註;内科医、集中治療医など)の疲弊状況を否定するものではありません。ただ、そこがアップアップしているから日本経済を止める、というのには飛躍があります。私ら外科医はメスを握るために日々精進していますが、国難にあっては『人工呼吸器も扱う』と言う用意があるし、部下もその心づもりでいる。そういうことまでひっくるめて医療崩壊を論じてほしいと思います

さすが天下に聞こえた慈恵外科だ。内科医だけで足りないなら俺達がいるぜ!といってるのである。

医療の現場は俺達が守り抜いてみせる、だからみんなは経済を回せ。若者は街に出ろ!

とまでは言ってないけど、行間を読むとそういうことになるだろう。その証拠にこの力強いツイートだ。

いやいや、N95だれもしてへんやん。それに直接介助の看護師以外はフェイスガードしてないし、それどころかメガネもバイザーもしてない人いてるし、大木先生は大動脈ステントの名手なのに術野血塗れだし(まあそういう術式だったんでしょう)、というか夜中に人大杉だし(慈恵のマンパワーをアピりたいのかしら)、、、ツッコミどころ満載やんか。。。

たぶん関係ない写真をアップしたんでしょうね。SNSに写真アップしていいですかって患者さんに聞く暇なかっただろうし。

というわけで首都圏は安心だな、たぶん。

以前に東京のことをボロクソに書いたけど実はけっこう心配していました。

私は東京に6年ほど住んでいたので知り合いがいっぱいいます。仲良くなった人もいる。いっしょに仕事した人もいる。
Facebookを開けば、連日首都圏のお医者さんたちの悲鳴が流れてくる。。。今すぐにでも飛んで行って助けたいと思うこともある(本当です)。

機動警察パトレイバー劇場版2作目のラストで特車二課第一小隊隊長の南雲しのぶは、事件の首謀者でありかつての恋人である柘植行人を東京湾上の人工島で追い詰める。柘植は「ここからだと、あの街が蜃気楼の様に見える。そう思わないか」と問う。南雲しのぶ答えて曰く、

例え幻であろうと、あの街ではそれを現実として生きる人々がいる。それともあなたにはその人達も幻に見えるの?

それはけっして幻ではない。

きっと美しい世界だろう。


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