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2023.9.21(木)曇り時々雨 UBER嘘日記

UBER10件配達。UBER雨の日クエスト8件獲得。menu1件配達。

 雨の日クエストがついたので出撃。板橋をぐるぐるした。街角には秋の交通安全運動のテントがあちこちに立っていて、そうか、秋なんだなあ…とおもた。

 雨は降ったり止んだり。これでクエストがいただけるならおいしい。熊野町交差点で雨男を見た。山手通りと川越街道の交わるところ。

 雨男は雨の日に出てくる黒い合羽を着た男だ。UBER界隈で雨男と言えば「ああ、あの黒い合羽の?」と話が通じる。同時多発的に目撃されていて、雨男が一人だと勘定が合わないため、おそらく雨男はいっぱいいると思われる。雨男たち?

 今日俺が目撃した雨男は、熊野町交差点で電動キックボードに乗って信号待ちをしていた。そのまま進めば逆走になる場所で信号を待っていた。俺も一回この交差点で逆走したことがある。
 この交差点では、山手通りが首都高の高架脚に裂かれて上り車線と下り車線が、独立した線を作っている。結果、上り車線の左側を下るという間違いが起きやすい。

 「それ逆走になりますよ」

 交通安全運動期間ということもあり。俺は雨男に声かけした。雨男はぎょっとした様子で俺に振り返った。深く被った合羽のフードがはらりとなりその顔の半分が見えた。異相であった。俺がびっくりした。雨男は逆走して俺から逃げ去った。あの顔は入れ墨だったのか? 印象派の人物画のようだった。

 俺のリアルが揺らいだ気がした。俺の平凡な日常は思いの他脆弱な地盤の上に立っているのだ。なんて言ってみた。

つづく

この日の嘘じゃないUBER日記

この連載小説のまとめ


この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。