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2023.6.5(月)曇り UBER嘘日記

 UBER3件配達。menu2件配達。

 健康診断で渋谷に行ったついでにUBERした。配達は渋谷から東に流れた。その3件目で六本木ヒルズのマックに呼ばれた。なかなかの盛況でパネルは予約で埋まっている。10分ほど待って、ようやく次が俺の番号。このタイミングで俺はカウンターに近づいた。ところがなかなか俺の番号が上がってこない。店員さんはドリンクをあーだこーだといじっている。「このアイスティーってどこの?」「あれ?」なんてことをやっている。

 店員さんの手つきに動揺が見える。おちつけ。俺は心の中でエールを送る。店員さんはちらと俺の姿を見る。カウンターの俺の存在が彼女を慌てさせている面もあるだろう。申し訳ないね。じっと後ろで待っていた方がよかったね。彼女は意を決したように手元のボタンを押す。俺の持っている番号がモニターに上がる。俺は手を上げUBERですと言った。「すいません。UBERさんお待たせしました」「いえ、全然今来たところです」

 俺は彼女の目の前にずっといたので全然、今来たところではない。ギャグを言ってみました。店員さんは笑った。パァァっと花が咲いた。これか。俺はバブルの話を思い出す。六本木ヒルズのマックには、笑顔のステキな名物店員がいると。その名はまくどなる子ちゃん。 …この娘なのか? 

 ともあれ俺は商品を受け取って配達に向かった。

 ありがとうございます。ウーバーイーツです。チャイムを押してお客さんに商品を手渡すと、お客さんが「あれ?注文したアイスティーが入ってないみたいなんですけど?」と言う。そのアイスティーには心当たりがあった。まくどなる子ちゃんが袋詰めに慌てていた時のアレだ。俺も心の中でエールを送るのではなく、アプリで注文を確認するべきだった。

 俺はお客さんに、運営に連絡していただければ返金か改めて配達されるかの対応があります申し訳ありません、と平謝りしてその場を去った。

 バブルに聞いたまくどなる子ちゃんの特徴は笑顔がステキというのが、まず一つ。それとあと、もう一つあった。ドジっ子という話。なるほど、あの娘がまくどなる子ちゃんに違いない。

 おかしなことにまくどなる子ちゃんは、大山の女子高生と同じ顔だった。何だコレ。なんか俺、顔の描き分けのできていないマンガに迷い込んでいるみたいだ。

つづく

この日の嘘じゃないUBER日記

この連載小説のまとめ 


この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。