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2023.3.9(木)晴れ UBER嘘日記

UBER5件配達。UBER週間15件クエスト達成。

 UBER配達員は確定申告をしなければならない。バブルはどうしているだろうか。3月15日が期限だ。会計ソフトを使えば、青色申告も可能と伝えたのだがバブルは人に倍して面倒くさがりだ。連絡を取ってみると、まだ何もしていないとのこと。おせっかいかもしれないが、部屋にお邪魔する。気味悪がられる。そうなのだ。俺はこれまで人のために働かない人間だった。そんな人間がおせっかいでお宅訪問をするのだからキャラ変もいいところだ。俺だって気恥ずかしい。しかしだ、俺がそんな気恥ずかしさを押して今、おまえの部屋にいるのは、前向きに背筋を伸ばして生きて行こうと決めたからなのだよ。そのようにバブルに伝えると、バブルはへーと言った。

 俺はバブルのスマホを取り、会計ソフトをダウンロード。レクチャーを始める。「面倒なのが現金払いの扱いでね、俺はお客さんから受け取った商品代金は前受金として処理している。で、UBERから配達料の振込があった日に前受金を返却した体で処理してる。でもこれにも、数パターンあって…」「めんどくさ」とバブル。

 バブルは白色で申告するそうだ。それならそうでいい。そっちの方が楽。その後、部屋飲みした。
「バブルさんよ、ちょっとした提案なんだけど」
「何」
「前に劇団で作ったTシャツ、あれ、すごい在庫あるじゃん」
「あるね」
「あれ着てUBERやろうぜ」
「別にいいけど、何で」
「俺たちが今謳っている正義にちょうど合ってるかな、と思って」

 Tシャツには、ちょっとした警句がプリントされているのだ。
 One love, one heart. Let’s get together and feel alright.
 和訳するとこうなる。
 ひとつの愛、ひとつの心。みんなで一つになれば、いい気分になれるさ。

つづく

この日の嘘じゃないUBER日記

この連載小説のまとめ


この文章で上がった収益は、全てボス村松の演劇活動と植毛に充てられます。砂漠に水を。セイブ ザ ボース。