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#146 漫画論14|あしたのジョー

前回の「がんばれ元気」に続いて、ボクシング漫画の金字塔「あしたのジョー」を紹介しましょう。
漫画界のレジェンド of レジェンド。おそらくこの漫画の存在を知らない人はいないでしょう。
それだけインパクトがあり、当時センセーショナルな漫画だったのが現在でも伺えます。


あしたのジョー あらすじ

主人公の矢吹丈(ジョー)は生まれながらに施設で育ち、脱走を繰り返すような悪ガキでした。
で、そんな最中ブラリと立ち寄ったドヤ街で、ヤクザの抗争に巻き込まれてヤクザを片っぱしからやっつけていくんですが、その姿を見て身体能力に惚れた丹下段平(拳キチ)がジョーにはボクシングの素質があると見抜き、そこでボクシングを教えようとします。
が、ジョーはボクシングを教えてもらいながら「契約金をくれ」と拳キチから金をせびり、更には詐欺なども繰り返して少年院に収監されてしまうのです。

そして少年院で暴れ狂うジョーに対して、拳キチはハガキで「あしたのために Vo.1 ジャブ」という形でボクシングについて教え、少年院でも問題ばかり起こして独房に閉じ込めやることのないジョーはそのハガキを読んでジャブをマスターし、少年院で生涯のライバルと言われた力石と闘うも完敗。
「ジャブだけはプロ級なのにそれ以外は全然ダメだな」と言われ、そこから打倒力石を掲げボクシングにのめり込んでいく・・・という話。

そしてデビュー以来連戦連勝するジョーですが、力石との激闘を経て、イップス状態に苦しみ、それを乗り越えて激闘を繰り返した結果、パンチドランカーの症状を疑われ・・・
それでも「燃え尽きて真っ白な灰になるまで戦う」と宣言し、世界チャンピオンのホセ・メンドーサとの激戦を終えて終了。

とにかく、登場人物が誰も幸せにならない漫画です。


あしたのジョーの魅力

とても50年前の漫画とは思えないくらい、少し古さとかは感じつつも、今見ても抜群に面白いです。
俺が初めて読んだのがいつだったか覚えてないけど多分小学生の頃で、町の図書館に全部あったのかな?そこで読みましたね。
とにかく悲しいながらも、編集王のカンパチの如く続きが気になり気になり、魅了されました。

やはりこの漫画の魅力はジョーという男に尽きるでしょう。
最初はチャランポランな阿呆だったんですが、ボクシングを真剣に初めてからは心身ともに成長し、気づけば立派な「男」に成長していました。
そして心の中で生き続けている力石への贖罪意識もあり、力石のために、とにかくストイックに強さだけを求め、戦い続ける求道者。そして破滅に向かっていく様。
当時のジョーに焦がれた読者は多いのではないでしょうか。

敵がどんどん強くなっていくというのも、当時の漫画界におけるエポックメーキング的な存在だったのではないでしょうか(想像で書いてます)
まずはマンモス西 → 力石(少年院編) → ウルフ金串 → 力石(プロ編) → ゴロマキ遠藤 → カーロス・リベラ → 金龍飛 → ハリマオ → ホセ・メンドーサという感じで、少しずつ強くなっていく敵。
非常に魅力的でしたね。


あしたのジョー 個人的ベストバウト

10位 矢吹丈 VS 鬼姫会

1巻の第1話でこの鬼姫会というヤクザとジョーが大立ち回りをするのを見て、そのパンチ力やバネなどの身体能力に魅了され、拳キチはジョーのボクサーとしてのセンスを感じるのですね。


9位 矢吹丈 VS ウルフ金串

ウルフ金串はボクサー編の最初のライバルですね。
拳キチがビックリするくらいボクシング協会で評判が悪く、拳キチが経営する「丹下拳闘クラブ」はボクシングジムとして認可されなかったので、ジョーがその当て馬としてウルフに喧嘩を売り、ウルフを倒してメディアの力を利用して力ずくで認可させたのですが、そこからのライバルとなりました。
トリプルクロスカウンターとかはもはやよく分からなかったですが、なかなか熱い試合で、力石も「本物だった・・・!本物だった・・・!本物だった・・・!」と興奮してましたね笑


8位 矢吹丈 VS ハリマオ

ハリマオはジョーの最後の1つ前の対戦者でした。
そんなハリマオはジョーの野生さが失われつつある事を危惧した白木葉子が招聘した野生児で、もうジャングルで育ってルール無用、会話不能のストⅡで言うところのブランカ、がんばれ元気で言うゴステロを悪くした感じです。
かなり無理がある必殺パンチを打ってました笑


7位 矢吹丈 VS 青山

青山は少年院(なんで収監されたかは謎)にいる大人しいいじめられっ子ですが、丹下の指導でディフェンスの鬼となり、メキメキ強くなっていきます。
そしてジョーに守備の大事さを伝える貴重なキャラクターでした。
最後の方でもチラッと出てくるのが良かったですね。


6位 矢吹丈 VS 紀ちゃん

紀ちゃんは少年院を出所したマンモス西が働く乾物屋の娘で、元々はジョーに気があったんですが、ジョーはボクシングにしか興味のない朴念仁であり、もうついていけないとマンモスと結婚します。
そんな紀ちゃんが結婚式で、ジョーがマンモスの友人代表のスピーチをした後に無言でジョーを見て「・・・・・」と言うのがすごい怖いです!
おそらく読んだ人にはわかると思います!


5位 矢吹丈 VS マンモス西

マンモス西とはジョーが少年院に収監される前の鑑別所で出会います。
その鑑別所のボスで、ジョーに引くくらいのリンチをするんですけど、そのリベンジでジョーにボコボコにされて、一緒に少年院に収監されて以降は唯一のジョーの相棒として登場し続けます(怯えた演技をしてたのは謎でした)

そしてジョーと一緒にボクサーとしてデビューし、うどんのくだりは割愛しますが最後までジョーを支えてくれる、唯一の理解者でしたね。


4位 矢吹丈 VS カーロス・リベラ

カーロス・リベラは力石以降で初めてジョーが熱くなれたライバルでした。
ジョーと最終的には3回くらい戦ってましたが、全部決着がつかずに有耶無耶で終わるという笑
最後は廃人になってしまうのですが、その描写がなかなかエグかったですね。


3位 矢吹丈 VS 白木葉子

このお嬢はなかなかのサイコキラーで、最後までジョーを苦しめます笑
当時全然共感できず、久々に最近読みましたがやっぱあまり立ち位置がよく分かりませんでした。
最後にジョーに告白するんですけど、それも分かるような分からないようなでした。展開が急なんだよ、急!
ただ、最後の告白のシーンは名シーンですね。それは認めます。


2位 矢吹丈 VS ホセ・メンドーサ

ホセは作中最強の男で、最後にジョーが戦う相手です。
戦い終えたジョーが真っ白な灰になる相手ですが、ホセも相当ボコボコにされて、最後は白髪になるくらい恐怖を味わうという、そんな壮絶なラストマッチでした。
とにかく完璧なチャンピオンでしたね。


1位 矢吹丈 VS 力石徹

そして1位は力石徹でしか無いでしょう。
少年院時代にジョーのライバルとなり、プロの世界で戦おうと言うことで、ジョーの階級に合わせて減量し、階級を下げてジョーと戦うも・・・その時の過度な減量とジョーから受けたパンチの影響で帰らぬ人に。
この力石の死はかなりセンセーショナルで、現実世界でも葬儀が行われたと言うのがこの漫画がいかに社会現象を生んでいたかが伺える証左ですね。


まとめ

以上、そんな感じですが、とにかくこの漫画はマジでジョーしか闘ってませんね。
はじめの一歩とか脇役も闘っていてそれはそれで面白いんですが、やはりジョーが主人公の漫画でした。

時代を感じさせる描写はありながらも、今読んでも盛り上がるそんな漫画ですね。

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