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#632 アルバム論36|PANIC ATTACK / UNICORN(1988)

UNICORNのアルバム論、続けでどんどんいきましょう。
今回は88年にリリースされた2ndアルバム「PANIC ATTACK」いきます。


「PANIC ATTACK」リリース時のUNICORN

BOOMリリース後に、キーボードの向井ミドリちゃんが抜けてこのアルバムリリース時期は4人だったユニコーンでしたが、実際にはアルバムのレコーディングなどは後に加入する阿部がガンガンやっていたとの事なので、アルバム撮影していた時だけ4人だったということなのでしょう。

ジャケットでは民生がしかめっ面をしていてその後のおふざけ路線の片鱗が垣間見えます。

前作同様、ほぼほぼ民生が作詞作曲した楽曲がメインですが、前作BOOMは全曲が英語タイトルで真面目だったのに対して、今作はタイトルも日本語と英語が半々ですし、「抱けないあの娘」「シンデレラ・アカデミー」「ぺケペケ」などファニーなタイトルが並んであり、尚且つ歌詞もふざけた曲なども増えており、いい感じで3rd以降のユニコーンに繋がりつつある、そんなアルバムです。

個人的にも結構好きなアルバムですね。


PANIC ATTACK 全曲解説

1. I'M A LOSER

いきなり民生のアカペラで始まる、このアルバムを代表する名曲です。
とにかくメロディアスで、歌詞もメロウで、とにかくユニコーンの初期って感じの曲ですね。キーボードが非常に◎で、BOOM時代の系譜を辿った曲です。
PVも作られているパワープッシュな曲で、YouTubeは探せませんでしたがPVでは楽器を持たずに「エア」で演奏しています。
ちなみにこの曲はスカパラとTHE STARBEMSがトリビュートでカヴァーしてるのですが、どちらもカッコいいです。


2. HEY MAN!

この曲は3rd服部以降のエッセンスを感じさせる曲です。
主人公の男は彼女に浮気され、フラれるんですが、そのNTRした相手がなかなかエグイです。相手はヒゲ面メガネでのゲーハーオヤジだったという感じで、正に次作の「服部」の主人公にも通用するイケオジが対象なんですが、そのプロトタイプみたいな曲ですね。

ちなみに以前、「チャンカラ」という雑誌でユニコーンの曲の人気投票をした結果をメンバーみんなで見ていたんですが、このHEY MANがPANIC ATTACKで人気最下位で、ネタにされていたのを覚えています笑


3. SUGAR BOY

この曲もBOOMの系譜を受け継ぐ曲ですね。
イントロのキーボードをメインとした演奏のセンスはやはりずば抜けていて、感動すら覚えます。
歌詞はゲイに好かれる少年の曲ですが…笑
初期時代のユニコーンを代表する名曲ですね。


4. 抱けないあの娘-Great Hip in Japan-

そしてこの曲は完全に3rd以降のユニコーンの曲ですね。
可愛い彼女がどんどん太ってしまって、いろんな意味で「抱けない」という悲しい調べですが、その悲しくもポップな歌詞とメロディが非常に秀逸。

歌詞の「3分待ってくれ」はカップラーメンのCMを意識して作ったというのも面白いエピソードですが、全体の歌詞を見た時にカップラーメンの曲として適切なのかは不明ですね笑

とにかく最高に楽しい曲で、この曲ものちのユニコーンに繋がる感じの曲です。


5. FINALLY

そしてこの曲は完全にBOOMの時代のユニコーンの曲ですね。
鬼のように切ない、メロウなバラードです。
デビュー時期からあった曲とは思いますが、このアルバムで最もBOOMの時代を感じさせる名曲です。弱ってるときに聞いたら泣きそうになりますね。


6. シンデレラ・アカデミー

この曲はアルバムで唯一民生以外が作曲した曲で、EBIが作詞作曲した楽しい曲です。
EBIの作った前作のALONE TOGETHERはストリーキングの曲でしたが、この曲は地味な子は実はダイヤの原石だったという曲ですね。
イントロから楽しく、Aメロ、Bメロ、サビのスカパート、そしてオカズで入る楽しい演出など非常に優れた曲ですね。


7. サービス

この曲も何というか切なくメロウな曲で、この曲もFINALLYなどと並んで真面目なユニコーンの時代の曲ですね。
昔の民生が作ったんだなーと感じさせる曲で、このアルバムでは珍しく男が強い(優位な)ラブソングですね。


8. ペケペケ

そしてこの曲ですね。
このアルバムのベストソングであり、ユニコーンの今後の方向性を大きく左右した超名曲です。
インド風のイントロで始まり、AメロはEBIがソプラノボイスで、西川くんが書いた「女の子は嫌いではないのだ」という意味不明の弱いペケペケ男目線の歌詞を歌い、サビになって民生が強い女目線の歌詞を歌うという完璧なスタイル。最高です。
この路線で「これだ!」と掴んで、服部以降はほぼ全曲がこのノリになり、僕も大好きなユニコーンのノリになります。

この曲はPVも本当にアホで良いんですが、YouTubeではクソ粗いやつしかなかったので・・・なんかのTVで収録されたやつを貼っておきます。


9. SHE SAID

この曲は激しくメロウな曲ですね。
とにかくメロディラインの美しさが神がかっている、このアルバム屈指の名曲ですね。歌詞もBOOMの系譜から続く内容ですが、この曲で最後ですね。

ちなみに余談ですが初めて聞いた中1の頃、僕は「So Long」という英語が「サヨナラ」を意味しているのを知らず、文字通り「とても長い」という意味でとらえて、She Said "So Long"を、「彼女は"とても長い"と言った」と訳した下ネタの曲と捉えていました笑


10. 眠る

この「眠る」は死を意味するので、ちょっと怖い曲ですが、個人的には結構好きですね。
バラードにカテゴライズされがちですが、僕の中ではあんまりバラードって感じはせずに、遅いロックって感じがします。伝わりにくいと思いますが…


11. ツイストで目を覚ませ-Twistin’in Suits’85-

そして眠った後には「目を覚ませ」ですね。
あまり世代じゃないので分からないのですが、完全にビートルズサウンドとのことですが、個人的にも結構この曲は好きですね。
サビの「きどり」「かもね」の3文字が好きです。

そして伝説の深夜番組「夢で逢えたら」内の企画バッハスタジオで、何故かこの曲をセレクトしているという笑


まとめ

そんな感じでユニコーンの過渡期であったこの時期のアルバム、とにかく玉石混交…というのは例えは悪いですが、「BOOM期の系譜を受け継ぐ真面目な曲」「服部以降のアホな曲」「その中間」見たいな感じが混在しているアルバムですね。

個人的には結構好きですが、やはり以降の「服部」「ケダモノの嵐」がすばらしいので、やはり自分はそのノリが好きですね!
てなわけで次回は「服部」を紹介します!

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