タイムマシンは殺人マシン

東京リベンジャーズを読んだ(でいる)。時間を移動して色んな世界線が生まれる話が、ドラえもんを読んだときからずっと好きだ。だからリベンジャーズもどハマりした。

以下ネタバレあり。

いくつかのタイムリープを終えたタケミチが現代に戻ると、タケミチはいつのまにか卍會の一員として成り上がっていた!!というシーンがある。過去改変の影響である。
戻ってきたタケミチは、防犯カメラに映る少し前の自分(つまり本編のタケミチの知らない世界線のタケミチ)の行動を見て絶望する。その世界線のタケミチは本編タケミチとは正反対の、完全ダークサイドの人間であり、その事実は多くの読者に衝撃を与えた。

こういったシーンを読むといつも思うことがある。「これ、人殺しじゃない?」と。

もちろんダークサイドタケミチが人殺しをしていることを指しているのではない。むしろ、ダークサイドタケミチが本編世界線のタケミチに殺されていると感じるのだ。

私の感覚はおかしいのだろうか。Back to the Futureだってそうだ。パート1の最後のマーティは、親が成功した世界線で生まれたマーティを殺していると感じる。これの何がハッピーエンドなのか、逆立ちしても理解できないのだ。(BTTFはもちろん大好きだ。)

過去改変によって分岐した世界線。その世界線で人生を歩んだ自分自身が確実に存在する。リベンジャーズのようなタイムリープものは、現代に戻る際その改変後の自分に憑依する。つまり、そこまでの人生を歩んだ改変後時空の自分は、その時点で綺麗さっぱり消滅するのだ。

私はどうやら、人の人格をその人の「記憶」に委ねているようだ。5億年ボタンは僕には押せない。5億年過ごしてくれた「私のようなもの」を私は明確に殺すことになる。そんな真似は私にはできない。

もし私にクリエイターの才能があるのなら、「分岐した世界線の人格が、精神世界に残り続ける」設定で物語を描きたい。面白くなるかは分からないが、無闇な"殺生"は防げるはずである。いつかそんな類の作品が世に出る(世に出ていたら教えてください)のを、楽しみに待つこととする。

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