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ワークショップ第12回『逆行列から一般逆行列へ 〜ペンローズに愛を込めて〜』【数学部】[20210830-0912]

皆さんこんにちは! 数学部部長のHirotoです.

今回のWSでは,線型代数の応用で登場する「一般逆行列」について扱いました.

まず数学部内の活動として演習を通じて「一般逆行列」の理解を深め,各部員がそれぞれ解いた演習問題を解説するという形で今回のWSは進行しました.

以下,その内容を皆さんに公開いたします.よろしくどーぞ.(リアルタイムでないと伝わらない記述はカットしています.)

1日目:Hirotoによる行列前提知識まとめ

Hiroto
おはようございます!
今日から2週間、数学部がWSを担当いたします。
今回のWSの概要は以下のようになります。
○テーマ
「逆行列から一般逆行列へ 〜ペンローズに愛を込めて〜」
○概要
線型代数には逆行列という概念があります。そして、あまり有名ではありませんが、「一般逆行列・擬逆行列」という逆行列の拡張概念が存在します。一般逆行列について演習形式で部内で学んだ結果を皆さんと共有するのが、今回のWSの目的です。
○形式
以下の日程表の通りにWSを進行します。
8/30-9/12
1日目:hirotoによる行列前提知識まとめ
2-7日目:イヤープラグさざなみさんによる一問ごとの解説(および感想)
8-10日目:yuumaさんによる一問ごとの解説(および感想)
11-13日目:ていりふびにさんによる一問ごとの解説(および感想)
14日目:hirotoによる総括と、線型空間論とのつながり
解説は主に手書き(もしくはTeX)のPDFにて行われる予定です。
○その他
今回は休憩日を設けなかったため、質問などはどのタイミングでしていただいても構いません!
質問をいただけると私たちも勉強になるので、少しでも疑問が生じたら聞いていただけると嬉しいです!
○開会宣言
それでは2週間よろしくお願いします!!
Hiroto
https://drive.google.com/file/d/1zy33XFeYYFy8osrYNOSvHWYctkAgF70P/view?usp=sharing
部長Hirotoによります,「行列前提知識まとめ」です.
Def:定義
Prop:命題
Example:例
として読んでください.

Hiroto
全ての主張の証明は省いてあります.しかし質問があれば,どの主張に対しても証明をつけて返すので,興味があればなんでも聞いてください.
このまとめでの「目次」を以下羅列します.明日からの議論はこれら各項目を前提として進むことになります.

Hiroto
○行列の定義と演算
・Def.行列
・Def.行列の和とスカラー倍と積
 ・行列の演算の性質
 ・Def.単位行列
  ・単位行列の性質
・Def.行列の転置と共役と随伴
 ・転置と共役と随伴の性質
・行列の区分けと積との整合
○正方行列
・Def.正則行列と逆行列
 ・正則行列および逆行列の性質
○階数
・Def.基本行列,基本変形
・「階数」と呼ぶべきものの一意性(定義可能性の担保)
 ・Def.階数
 ・階数による正則条件
○一次方程式系
・一次方程式の一般的な解の形
 ・一次方程式の解による正則条件
○内積
・Def.(エルミート)内積
 ・内積の性質(抽象的な意味での内積の公理)
・Def.ノルム
・内積と随伴行列の性質

Hiroto
余談ですが、「目次」を頭に構築可能になることが、学習の1ループ目(部分→全体)完了の証なんじゃないかと最近感じています。
コアレクチャーの思想とも通ずる主張のような気がします。数学書を読むときにも、目次の構築を最近心がけるようになりました。

2-7日目:イヤープラグさざなみさんによる一問ごとの解説(および感想)

2日目

イヤープラグさざなみ
一週目担当のイヤープラグさざなみです。よろしくお願いします。
おはようございます。本日の問題を投下します。解答はお昼頃にUP予定です。
本問は、私の場合はヒントに次ぐヒントなしでは解けませんでした。

イヤープラグさざなみ
存在を示す問題なので、1つ見つけてくればOKです。
イヤープラグさざなみ
ヒントです。
このヒントさえあれば答えはもうすぐそこ…
イヤープラグさざなみ
本日の問題の解答です。
ヒントで示した部分が難関でした。部長によると、標準形に対して題意を示し、それを用いて題意を示すことは王道の一つらしいです。
問題とその解答、またWSの進行方法に関して何かあったら言ってください。明日も今日と同様に、問題提示→(ヒント)→解答提示の流れで進めていこうと思っています。よろしくお願いします。
Hiroto
1問目ありがとうございます!
この問での階数標準形に限らず、
①何かしらの「いい形」(ジョルダン標準形や階数標準形など)だったと仮定して命題を示す。
②①に帰着させる形で、一般の命題を示す。
という形の示し方は、線型代数で頻出です。
①が往々にして簡単なことが多いため、この定石が頭にあれば、脳死でいけることも少なくないと思います。

3日目

イヤープラグさざなみ
おはようございます。2日目です。
本日の問題です。都合により、解答の投下は昨日と違う時間帯になってしまうかもしれません。
イヤープラグさざなみ
1)は方程式が解を持つことを使います。
2)は方程式の解集合が問題で与えられた形になることを示します。2つの集合A、Bの相等関係は、(x∈A)⇔(x∈B)によって示します。
イヤープラグさざなみ
本日の問題の解答です!

Hiroto
第二問ありがとうございます!
補足2に関しては、高校数学でもあまり強調して触れられない(存在命題をあまり表立って扱わない)ので、当たり前ではあるのですが、改めて主張することには非常に意義があると思います。

4日目

イヤープラグさざなみ
こんにちは。3日目です。
本日の問題は、昨日の問題の解答の流れを抑えていれば解けると思います!
イヤープラグさざなみ
解集合の表記に関しましては、昨日の問題の補足2にある通り、厳密には
何かしらの(l,m)型K行列Wを用いて上のような形に表される(l,m)型K行列全体の集合のことです。

イヤープラグさざなみ
本日の問題の解答です!
Hiroto
第三問ありがとうございます!
極限まで丁寧かつ厳密で、とてもわかりやすいです!

5日目

イヤープラグさざなみ
おはようございます。比較的難しい(少なくとも私にとってはそうだった)28をとばして先に29です。
またまた集合の相等を示す問題です!
イヤープラグさざなみ
本日の解答です!
Hiroto
第4問ありがとうございます!
だいぶ集合の相等に慣れてきました!!!!!!!!!(と自分で解いたときにも感じました。線型代数というよりも、集合の基本に慣れる問題といった感じだと思います。一般逆行列の威力を示すというのがもちろん主目的ではありますが。)

6日目

イヤープラグさざなみ
こんにちは。本日の問題です。
イヤープラグさざなみ
本日の解答です!問題に一部ミスがありましたので訂正しました。すみません。
Takuma Kogawa
ここまでのテキストを一通り読み、問題の解答をなぞるところまでやりましたので簡単に感想を書いてみます。
私は高校の数学Cと大学教養でのみ線形代数学をやりましたが、高校では三角関数を絡めた行列のn乗の計算、大学では掃き出し法を用いて連立方程式を解いたり正方行列の逆行列を求めたりしていました。このワークショップで、正方行列以外にも逆行列の概念があることを初めて知りました。
話はそれますが、高校数学から行列が削除されてから複素数平面が復活し、統計が追加されましたね。統計よりも行列を学んだ方が、数学の基礎を知るという意味ではいいと思うのですが…。

イヤープラグさざなみ
@Takuma Kogawa
参加いただきありがとうございます!
一般逆行列の存在は私も今回のWSの準備で初めて知りました。
高校のときに扱ったのは複素平面までで、大学に入って初めて線型代数を学び始めましたが、高校で習った諸分野とのつながりが色々なところで見られて面白いです。
統計を数学の必須カリキュラムとして組み込むのはどうなんでしょうね…。統計は数学なのでしょうか。

7日目

イヤープラグさざなみ
おはようございます。本日の問題、問28です。
問27を利用することがカギとなります。

イヤープラグさざなみ
(1)(2)は問27でそれぞれB、Aを単位行列としたものになっています。

イヤープラグさざなみ
本日の解答です!
Hiroto
第6問ありがとうございます!
初見時、「問27を使う」ことが思い浮かばずに撃沈したのを覚えています笑。全ての問が誘導になりうることをそれからは強烈に意識するようになりました。
改めて、担当範囲お疲れ様でした!
明日からyuumaさんにバトンタッチです。

8-10日目:yuumaさんによる一問ごとの解説(および感想)

8日目

yuuma
おはようございます。本日から担当するyuumaです。
初日はこんな問題を考えます。答えは後ほどアップするので是非考えてみてください。
yuuma
本日の答えです。個人的に一番難しいと思ったのは(2)ですね。これはHirotoさんに内積を使うヒントをもらうまで何すればいいのか全く思いつきませんでした。問題に書いてあるヒントの一次方程式系を見れば,内積を考えるのは自然な発想だと今では思えますが,初見ではわかりませんでした。次に難しかったのが(1)で,最初の式変形が多少技巧的ですかね。(積の形で表すことを考えれば自然ではある)
他の問題は定義に従っていけば良いのであまり難しくありませんでしたが,初見では(5)において,最初に与えられた4つの条件式を満たすものが擬逆行列の定義であるという認識が足りてなくて,(3)で考えたXで議論をしていました。あくまでも(3)のXはXの具体例であり,それ以外の形で表されるXが存在しないことは言えてないので,この考え方は数学的に正しくありませんでした。
ただ,それさえ注意すれば,4つの条件式を用いて式変形することと,左右の対称性に着目すればわかりやすかったかなと思います。
yuuma
なお,定理[5.5]の証明が欲しい方がいましたら,アップします。

yuuma
ちなみにこれが一番最初の解答です。間違いだらけだしメモ書きなのでこんな感じで考えてたんだ―程度で見てください。
Hiroto
第7問目ありがとうございます!
半ば定石として、随伴行列や転置行列が絡んだときは「内積」を見るとうまくいくことが多いです。
現在輪読している斎藤線型において随伴行列は内積メインで導入されていることからも、内積と関わりが深いことがわかると思います。
「内積使いたい」→「ベクトルの話にしたい」→「一次方程式の話で正則性示そう!」が思考の流れだと思いますが、僕はヒントなしで思いつくかと言われたら微妙です、、笑

9日目

yuuma
本日の問題です。後ほど答えアップします。
追記:(4)のAはm×n行列で,α_i ≠ 0 (1<= i <= r),他は0です。
yuuma
昨日の答えの下に今日の答えを追加しております。また,昨日の解答に見つかったミスも訂正しておきました。
今日の問題は,ただ計算するだけだったので特に解説することはありません。(4)についても,階数分解ができるということに気づければそこまで難しくなかったかなと思います。
初見時は,(4)がここまで綺麗になるとは思わなかったので途中で計算をやめていたのですが,今考えると答えがこのようになることは直感的にもわかります。(AA^+A=A,A^+AA^+=A^+なので,AA^+やA^+Aを計算すると,r行目までの対角成分が1になる気がするため,ブロック行列で考えたときに,A^+はこうなるのかな?という予想が立てられる。)
一つ注意点があるとすれば,(4)の成分は実数とは言われていないため,複素数で考える必要があります。そのため,B_rとC_rの取り方によっては複素数の√が出てくるので,きちんと最初に断らないと議論がめんどくさくなります。
今回の解答ではそれを避けるために一方を単位行列と考えて回避することにしましたが,他にもいろんな取り方があるので考えてみてください。
((3)まではAが実有理行列のため,A^+も実有理行列になることがわかっており,成分を実数の範囲で考えて良かった。)
Hiroto
第8問ありがとうございます!
具体的な計算は今回のwsでこの問が唯一となります。後に僕が「線型空間」の話から今回のwsをまとめ直しますが、そのあとにこの問題を解くと、実は脳内だけで解けてしまったりします。そういった意味で、この問は理論的背景を反映する良い具体例だと思います。

yuuma
訂正があります。(4)でα^2と書いてある部分は全てαα*です。自分で複素数って言ってたのに変なミスをしてしまいました。答えは変わりませんが,訂正版をアップしておきます。
yuuma
それと今思ったのですが,任意の行列は適当な正則行列をかけることで標準系に変形できるので,任意の行列は,31で示した階数分解A=BCを用いた具体例でA^+を求められるんですよね?

Hiroto
その通りです!僕がdiscordに上げた解答はその路線で解答しています。

10日目

yuuma
おはようございます。今日が僕の担当の最終日です。
今回の問題は擬逆行列の性質の証明です!
yuuma
本日の解答です!今回の問題は,示すべき擬逆行列が与えられているため,それが定義式を満たすかを調べるパズル問題という感じでしょうかね。数学が苦手な方でもパズルと思って解けば解けると思います。
Hiroto
9問目ありがとうございます!
「擬逆行列が唯一」であることがこの問全体のキモになっています。それさえ掴んで仕舞えば、おっしゃる通りパズルとして解けると思います。
3問お疲れ様でした!明日からはていりふびにさんにバトンタッチです。

Hiroto
細かいですが、(78)の左辺の1/2の位置が異なると思います。右上と左下を入れ替える必要がありそうです。

11-13日目:ていりふびにさんによる一問ごとの解説(および感想)

11日目

ていりふびに
おはようございます。本日から3日間ていりふびにが担当します。
よろしくお願いします。一応読めるように書いたつもりですが、汚いと思うので読めなかったら遠慮なくいってください。
僕が担当する問題は連立方程式の解を考える中で疑逆行列の意義を示しています。
それでは一問目です。
ていりふびに
本日の問題の解答です。
この問題では下記の2つを示す必要があります。
(i)A^+bが解である
(ii)解の中でA^+bが二乗ノルムが最も小さい
今回は問26で一般解を導出しているので、そこに気付ければ(i)はすぐに解けて、(ii)も手を動かすことはできると思います。
(ii)の計算では「ノルムは0または正の実数」ということを念頭に置くと式変形がスムーズにできます。
また、この類の計算は数学ではよく出てくるので経験のある人はすぐに解けたかもしれません。
ちなみにですが問26がなかったら自力で解くのは難しかったです。
僕は一般解が与えられてないとすると Ax=b を満たすという条件から考えると思うので、泥沼にはまっていたでしょう。
不思議ですが、一番素朴な手段である一般解を出すというのは意外と忘れがちなものです....
Hiroto
10問目ありがとうございます!
僕も問26の一般解がなければ、この解答は到底できないと思います。そういったことも含めて、今回のwsは「一連の問題全てを順番に解く」ことが重要な気がします。

Hiroto
また、今回の問34の式変形は広い意味での「ピタゴラスの定理」と見ることができます。そういった視点で見てみると、新しい発見があるかもしれません。

12日目

ていりふびに
おはようございます。本日もよろしくお願いします。
先日の問題は連立方程式に解がある場合でしたが、本日は解を持たない場合です。
解がないとしても、ある種の最適性を持つ近似解を導くことができます。
そこで重要になるのが疑逆行列です。
それでは本日の問題です。
ていりふびに
本日の問題の解答です。
今朝投稿した文章に書いた「ある種の最適性」というのは||Ax-b||^2を最小にするという意味での最適性でした。
問題pdfのRemarkにも書きましたが要するに Ax と b が近くなる x を近似解としようということです。その近さを測る道具として今回の二乗ノルムを採用しています。
それでは解答の補足に入っていきます。
この問題では下記の2つを示す必要があります。
(i)u_0が最小二乗近似解である
(ii)u_0が最小二乗近似解の中で二乗ノルムが最も小さい唯一の解。
(i)は||Ax-b||^2 から ||Au_0-b||^2 を分離するために解答のような式変形をしています。
あとは先日の問題の式変形と近いので計算自体はできると思います。
(ii)も先日と同じような流れです。二乗ノルムが最も小さい唯一の解であることは等号条件を深堀すると見えてきます。
僕は最初に問題文を読み違えて最小二乗近似解が唯一であることを示そうとしていました。
塾講師をバイトでやっていた時は散々問題を読めと生徒にいっていたのに、人のこと言えませんね。
(ちなみに最小二乗近似解が唯一であるためにはもうすこし条件が必要です)
Hiroto
11問目ありがとうございます!
実は僕も初見時に問題を誤読していて、最小二乗解であることを示しただけで終わってしまっていました。
このように複数人で回答を共有し合うことで細部の綻びに気づくことは、貴重な体験だと感じました。

13日目

ていりふびに
おはようございます。本日もよろしくお願いします。
本日は正規方程式に関する問題です。統計学を勉強したことのある人は回帰分析でおなじみですね。
それでは本日の問題です。
ていりふびに
本日の問題の解答です。
問題自体は先日考えた最小二乗近似解となる条件Ax=Au_{0}が正規方程式の形が近いと気づけばすんなり解けると思います。
この正規方程式は||Ax-b||^2の最小値をxに関して微分することによって導出しようとすると出てきます。
計算のためには行列の微分等の知識が必要になりますが、考え方としては数IIの極値導出の考え方と同じです。
今回は問題の流れとして擬逆行列を定義してからその性質を調べましたが、連立方程式の最小二乗近似解という所からスタートして擬逆行列を議論しても面白いと思います。
僕の担当部分はここまでです。ありがとうございました。
Hiroto
12問目ありがとうございます!
僕も大学の講義で最小二乗近似を習いましたが,この擬逆行列との結びつきはかなりマニアックらしく,講義でも触れられませんでした.応用数学の専門的な講義では少し扱うようですが,ここまで理論的にも応用的にも興味をそそる擬逆行列の知名度が低いのはなかなか惜しいなと思います.
担当範囲ありがとうございました!明日は僕がまとめとおまけを投下して締めたいと思います!

14日目:Hirotoによる総括と、線型空間論とのつながり

Hiroto
おはようございます.最終日でございます.
今までのまとめと,線形空間論のお話です.ご査収ください.
https://drive.google.com/file/d/1VF2CsOjDFGsuL8RImDTDTlPEj_2uWKRx/view?usp=sharing

Hiroto
線形空間論との絡みについていくつか補足を.
・線形空間論の話についていくには少し前提知識が必要なので,今すぐには読めないかもしれません.
・ただ,ここまではただの計算(代数的)だった「擬逆行列」という概念が,線形空間論の言葉で「幾何的」に操作できるようになります.これはとてつもない威力を発揮しており,例えば問32の具体的計算問題なんかも脳内で解いてしまうことができるようになります.(ものすごく例えるなら,座標平面でガチャガチャ計算して解いた問題を,補助線一本で解くイメージでしょうか)
思想的に,『「幾何的直感」を運用できるように「空間の言葉」で記述し直す』ことが有用であることを感じ取っていただければと思います.
Hiroto
まとめ(知識を必要としない思想的なもの)
・既存概念を無理やりにでも「拡張」することで,思いがけない地平が広がることがある.
・問題の答えを「具体的に書き並べる」ことで,別問題の解決に結びつくことがある.
・略記は便利であるが,「それが何の略記であるのか」に無自覚になると,質の深い思考では足を掬われる.
・条件に制限を加えると,答えが一つに絞れることがある.
・答えがないとき,妥協して「答えに一番近いもの」を適切な基準のもと取ってくることは,理論上・応用上共に非常に役に立つ.
・整備した概念を,全く別の角度から整理し直すと,思考の幅が広がったり,適切なアナロジーによってリソースが削減されたりする.

Hiroto
まとめ(数学的なもの)
・一般逆行列・擬逆行列は,どのような行列にも「逆行列」のようなものを与え,「連立一次方程式」に暫定的な解を与えられることができる点で,非常に素晴らしい.
・理論的にも今回のWSのように非常にすっきりしているし,応用的にも非常に有用な概念である.
・擬逆行列は「ムーア・ペンローズ逆行列」とも呼ばれます.ムーアが発見し,ペンローズが整理しました.特にこのペンローズは,2020年にブラックホール研究でノーベル物理学賞を取っており,科学者として広い分野で活躍していることがわかります.今が旬という意味も込めて,今回のWSテーマに選ばせていただきました.
Hiroto
今回のWSはこれにて終了させていただきます。
ここまで問題の解説を投下してくださった部員の皆さん、お付き合いいただいた皆さん、どうもありがとうございました!!
また次回のWS「複素数体の手作り実習」でお会いしましょう!

まとめ

今回のWSでは一般逆行列・擬逆行列について扱いました.(内容のまとめはすぐ上を参照)

今回はあまり双方向性の絡みができませんでした.しかし,初めて部員全員が主体となってWSを実施することができました.今後は,今回のような部員主体のWSと,部長による講義スタイルのWSを織り交ぜながら進めていきたいと思います.

それでは,次回のWSでお会いしましょう.ペンローズに愛を込めて.

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