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2022.9 情報の壁

 個人情報の保護が法律で定められて年月がたつ。急に世の中に登場して目にしたり耳にしたりする人がいて、その人を知りたいと思っても以前ほどは簡単に情報が取れなくなった。
 新聞の記事に学者や専門家の意見が掲載される。簡単な紹介として経歴が付記されているが、最近は生年や最終学歴などが省かれていることも多い。
 書かれている文章を読めば、その人の考えやそう考える理由、指摘する問題点などはわかってくる。ただ生年や出身大学名などがあれば、その人の背景まで知ることができて理解が深まるように思うが、これも世の流れなのだろう。
 その一方で、SNSを通じて情報発信している人は多くいる。匿名が認められているので、性別、年齢、職業などを明かす必要がなく発信ができてハードルが低い。
 ジャンルは自由だ。身辺雑記のようなその人の関心事、体験談や旅行記、かつての成功譚、日常の不快な思いや困っていること、恋愛話、家族の問題、闘病記、レシピ等々。多少のお手盛りは仕方ないにしても、その人を知るには得難い記録になっている。
 7月に安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなった事件は、世を震撼させた。さらに容疑者が投稿していたSNSから旧統一教会の問題が露見した。匿名が明かされ、思わぬほど大きな社会問題にまで広がっている。
 先ごろ、経済産業省内で大臣出張時のマニュアルが作成されていると報じられた。
 簡略すると「お土産の購入量が多いので荷物持ちの人員が必要」、「(夕食の)弁当購入部隊とサラダ購入部隊の二手に分かれて対応」などとなっている。表に出てはいけない文書が世に出された格好だ。うっかりなのか意図的なのかわからないが、官僚側から流出したことは間違いない。「過度に気を使う必要なし」と西村康稔大臣は会見したが、改めなくちゃならないのがどちらかは明らかだ。


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