【SCP感想】SCP‐3001‐JPを感じたい


〇はじめに

 これはSCP財団日本支部3000jpコンテス:テーマ【幻想】で投稿された作品の一つ【SCP‐3001‐JP 漂流者たちのボトルキープ】を読んで感じたことを書き連ねた記事です。主観であるため、間違いや思い込みがあるかもしれないことを留意してください。
 

☟見て☟








〇【解説】SCP‐3001‐JPとは?

・SCP‐3001‐JPとは?

 正体不明の帆船であり、一定の期間(6月2日0時0分から6月3日0時0分~6月3日0時0分から6月3日0時0分)、決まった場所(カリブ海上)に出現する。
 危害を加えた人物をカリブ海上のいずれかの島に強制的に転移する。

・SCP‐3001‐JP‐1とは?

 SCP‐3001‐JPのバーにいる唯一の乗組員を自称する素性不明の人型実態です。外見はコーカソイド系の中年男性であり、礼儀正しい。また、バーテンダーで一部の客(25%)に特別な酒(SCP‐3001‐JP‐2)を提供している。
 危害を加えた人物をカリブ海上のいずれかの島に強制的に転移する。

・SCP‐3001‐JP‐2とは?

 SCP‐3001‐JP‐1が提供する様々な種類の特別な酒。
 SCP‐3001‐JP‐1の説明によると、前世にキープされた酒であり、ボトルキープした人物の記憶を蘇らせるらしい。実際に飲むと未知の記憶を想起し、【同じ失敗をしたこと】を後悔して殆どが抑うつを発症させる。この記憶や抑うつは記憶処理剤で消去可能。
 また、提供された客以外が飲んでも効果は表れない。


・なぜEuclidなのか?

 上記の通り、危害を加えた人物を転移させることから物理的な収容は難しい。しかし、出現時期や場所は固定されているため、現時点でEuclidが妥当であると判断されている。




〇SCP‐3001‐JP‐2の摂取実験 3つ

①第■回実験 201■年6月2日

担当  ハルトマン博士
被験者 D‐8610 (反政府組織の構成員)
店内bgm:不明はジャズ調の曲
SCP‐3001‐JP‐2:年代物のラム酒
 コーラ割で飲用

●摂取後
 8610は自身の前世がウィリアム・キッドであることを認識し、想起した記憶を今世の記憶(テロ活動や妻)と混同しながら語る。

「ああ、俺はまた、妻を一人にしてしまったのか」

※ウィリム・キッド 1645年(或いは1655年)~1701年
 イギリスの私掠船(国公認の海賊)の船長

②第■回実験 202■年6月2日

担当  ハルトマン博士
被験者 エージェント 戸神
店内bgm:不明はクラシック調の曲
SCP‐3001‐JP‐2:7つの海を渡り熟成さえたマデイラ・ワイン
 オレンジピールを添えたロックで飲用

●摂取後
 戸神は英海軍士官ジョサイア・ニズベットの記憶を想起する。養父(母の再婚相手)はホレーショ・ネルソン提督。本来の記憶(エージェント蒼井)とネルソンとの記憶を混合させながらジョサイアの記憶を語る。また、恩人の蒼井とネルソンに対して「自分を捨てたこと」への思いを吐露している。

※ホレーショ・ネルソン 1758~1805
 イギリス海軍提督。最後の戦いで「英国は各員がその義務を尽くすことを期待する」と残す。

※エージェント 蒼井
 戸神が慕うかつての先輩であり、指導教官。
 過去の罪悪感(スパイだった相棒の片岡を粛清したこと)から独断でSCP‐606‐JP(拷問協会)に入る。戸神に「俺みたいになるなよ」と言い残して行方不明となる。

※SCP‐606‐JP(拷問協会)
 キリスト教の教会堂と推測される建造物。石造りの部屋に入場者がいない時に条件を満たした人物(殺人や過失致死、強姦罪などを犯したことがある者)が入室するとシスターが現れ、この教会で罪を償えば損害を回復させることを提案する(達成できたものがいないため、実際に可能なのかは不明)。了承すると石壁の部屋に転移し拷問が始まる。この後に中断を懇願すると死体が教会の祭壇に転移する。
 蒼井の転移後■■■日経っているが、現在もシスターは現れないため、拷問は継続されていると思われる。



「僕はまた、恩人に何の恩返しもできなかったのか」


③第■回実験 202■年6月2日

担当  ハルトマン博士
被験者 ハルトマン博士
店内bgm:不明は民族音楽調の曲

SCP‐3001‐JP‐2:オロムアの霊酒 
 クムナの果汁割を頼もうとするが実が存在しないため、ストレートで飲用

 SCP‐3001‐JP‐1は博士が実験を観測していたことを知っていた様子であり、博士もSCP‐3001‐JP‐1と霊酒のことを徐々に思い出していた。 博士からSCP‐3001‐JP‐2の摂取を希望し、SCP‐3001‐JP‐1による再度の確認の後に提供される。

 博士はアトランティス国立科学ムセイオン(研究、教育施設)の科学者であるエンケラドゥス・メルクリデス・オプトミリオンの記憶を想起する。 
 前世(博士は自身の捏造の可能性があることを自覚している)では数々の発明をし、賞賛と妬みを受ける天才だった。今世の博士は霊体撮影機(SCP‐1970‐JPの撮影に成功している)の発明をしていた。
 
 また、アトランティスの命運をかけた実験も行っていた。世代を重ねて始祖ポセイドンの血が薄れた結果、国民が堕落したため、神殿の乙女たちに神々を降ろすことになった。実験は完璧であることを自負していたが、地下に大地母神ガイアが眠っていたため、ガイアが降りてしまい、大陸中の火山が噴火して大陸は引き裂かれた結果、アトランティスは沈んでしまった。
 今世の博士も霊界との接触実験により、あるサイトが地獄に落としてしまったらしい(セキュリティクリアランスにより詳しい情報は隠されている)。また、前世は皇帝、今世はO5が情報を隠匿していたために発生したとも考えているらしい。

「ああ、私はまた、同じ失敗を繰り返してしまったのか」


※SCP‐1970‐JP 13
 アポロ13号の月着陸船"アクエリアス"の複製と乗組員。地球への降下による大気圏での焼失を繰り返しており、財団は地表への落下を防ぐために様々な対策をしている。
 ハルトマン博士が発明した霊体撮影機のみによって観測できる。

 幽霊船のように地球と月の間をさまよい続けている。





〇その後

監督評議会による機密指定 
要セキュリティクリアランス・レベル5 
ID Aaron Siegel

※セキュリティクリアランス・レベル5
財団内の最高位の管理職職者のみ与えられる。


③第■回実験 202■年6月2日の続き

 SCP‐3001‐JP‐1は新しいボトル(ナポレオンに献上されるはずだった最高級X.Oコニャックを提案)をキープするか博士に伺う。

博士がSCP‐3001‐JP‐1に目的について質問すると、客にカルマを克服してもらうことだと返答する。また、SCP‐3001‐JP‐1にとってカルマとは転生を経ても消えない、魂そのものの性質であり、前世と似た人生、成功と失敗を繰り返す。SCP‐3001‐JP‐1は一人でもカルマを克服した客を見たいと思っているが、未だに叶っていないと話す。

 加えて、ボトルキープ中の客は来世で再来店することを運命づけられている。そのため、ボトルキープがある限り人類は滅びることはないだろうと説明した。



ハルトマン博士から監督評議会への連絡

 内容はThaumielクラスオブジェクト運用【プロトコル・ボトルキープ】提案。想定されているKークラスシナリオの50%(人類が消滅するようなモノ)を防ぐことができると考えた。
 また、効果を確かめるため、ボトルキープを終えた自分自身が来世でSCP‐3001‐JP‐2を摂取することでハルトマンの記憶を想起するか実験を行うことできると説明する。(博士は不治の病で長くはないらしい)
 懸念点はボトルキープはSCP‐3001‐JP‐1の説明を理解し、了承した上でなければならないため、Ⅾクラスに無理強いはできない。この点からキープした人間は来世も財団の職務に関わり、繰り返しの失敗を自覚させることを確定させるという自己犠牲精神が必要であると説明している。

監督評議会からの返信

 Thaumiel検討中に仮分類し、最終的な判断はハルトマン博士の実験と倫理委員会の審査後に予定している。相談は返信者であるO5‐1が担当する。


P.S すまなかった、ベン。君が来世に船出する前に、また一緒に酒が飲みたい。

アーロン

※O5‐1 アーロン
 創設者(ザ・ファウンダー)であり、超人的な寿命を持つヨーロッパ系アメリカ人の男性であるらしいが、如何せんO5 であるため、詳細は不明。
 また、ハルトマン博士の霊界接触実験と関係がある可能性がある。
 
 少なくとも、この報告書ではハルトマン博士と個人的な関係があったらしい。しかも、ログインIDが【Aaron Siegeⅼ】と同名であることから、たった今記事に書き込んだのか、回顧のために見返しているのかと思われる(Thaumielに変更されていないため、却下されたか、審議中である)。



〇おわりに:感想、考察

〇【考察】SCP‐3001‐JP‐1は何者なのか?

 確証のある情報が無く不明である。
 でも。それだけだと面白くないので予想してみる。
 
 彼の話した言葉が真実だとした上、且つ時間移動などをしていないのであれば、アトランティス大陸が存在した時代にはすでにボトルキープしていたと考えられる。アトランティス大陸はプラトン(紀元前427年から紀元前347年)の著書に記された大陸であり、プラトンの時代から9000年前に沈んだらしい。6月2日と縁深い聖エルモは紀元前300年頃の聖人である。
 また、自分を永遠に彷徨い続ける幽霊船フライング・ダッチマン号の船長、海賊黒髭の子孫、タイムスリップしたヴァイキングなどと自己紹介しており、彼自身が転生して活動している可能性もあるが、かなりの期間、人間を観察できるような超常的な存在であることは変わりない。
 しかし、カルマに囚われているのは人間だけではなく、それに固執しているSCP‐3001‐JP‐1もだろう。

 以上のことは全て、SCP‐3001‐JP‐1が嘘つきでなければの話なのだが。不確かな過去や未来と同じように幻想的な存在である。



【感想】メタタイトルについて

 メタタイトル【漂流者のボトルキープ】であるが、私は無意識に【漂流者のボトルメール】と認識してしまい、読んでいる最中に勘違いに気づいた。勘違いの原因は漂流とボトルを早とちりしたせいだが、読了後は何らかの関係性があるのでは思っている。
 まず、単純にどちらも瓶詰(ボトル)であること、別の場所(来世)へメッセージ(前世の記憶)を伝える点である。ボトルメールの場合は海流に左右されるために送る相手を選べないが、その仲介をSCP‐3001‐JPが担っていると考えられる。また、何らかの理由で入港できない船と陸地を行き来する【テンダーボート】というものが存在するようで、時間から独立したSCP‐3001‐JPと今の世界を繋ぐ【バーテンダー】ともいえるのではとも考えた。
 SCP‐3001‐JP自体も濡れることがないが、人の輪廻と共に不明な目的地まで漂流する瓶詰の船【ボトルシップ】なのではと思うとロマンがあるような気がする。

 
 

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