遺伝子検査に向けて記録を残しておこう

発症前遺伝子検査を受けることになった(現在結果待ち)ので、せっかくだから記録を残しておこうと思いnoteに書き起こしてます。

発症前遺伝子検査とは?

 発症前遺伝子検査って何?と思う人が大半だと思うので、軽く説明します。発症前遺伝子検査は、遺伝子配列を調べることで、病気になる前にその病気の原因遺伝子を持っているか調べる検査のことです。簡単に言うと将来病気になるか調べてます。
 私の場合、父が遺伝性のalsを発症したので、alsの原因遺伝子を持っているかを調べることになります。
 遺伝子検査でわかるのは原因を持っているかどうかまでなので、病気によっては発症しないこともあります。しかし、今回私が調べる遺伝性alsは遺伝した場合発症率ほぼ100%です。悲しいね。

検査前のカウンセリングについて

 発症前遺伝子検査は、結果によっては検査対象者に大きなショックを与えることとなります。
(私が陽性の場合、若くて30代中盤、遅くとも60歳前後で体が動かなくなることがわかります。結構ショックですね。)
 そのため、検査の結果によって鬱病等にならないか、検査の内容をきちんと理解しているか等、専門医がカウンセリングを行います。
 カウンセリングは全4回で、私の場合は検査までに1ヶ月以上かかりました。(私は強靭な精神を持っていたので、一部性格検査などを省略しているのですが、それでもこのぐらいかかっています。)

カウンセリングの詳細


 カウンセリングでは病気や検査についての説明が行われ、その後質問に対して解答していきます。カウンセリングで聞かれた事としては、家族構成など遺伝にまつわる事、自身の将来設計、病気に対する不安、結果を聞いた他人の反応予想など、多岐にわたりました。私は3人姉弟なので、「姉弟間で誰が1番ショックを受けそうか」や、「1人だけ陽性になった場合どう思うか」といった質問がユニークで印象に残っています。
 面白かった質問としては、「筋骨隆々ですか?」という質問が突拍子もなさすぎて驚きました。alsの進行を遅らせるのに筋肉量は重要らしいです。私は強靭な精神を持っていますが肉体は強靭ではないので、強靭な肉体を手に入れ、完全強靭人間になりたいと思います。
 カウンセリングを行う中で、精神的に問題がなく、かつ本人が検査を希望している場合のみ、検査を行うことができます。検査には血液を使用するため、採血を行い、サンプルを検査する先生に渡す必要があります。
 検査に用いた血液サンプルは、他の研究で使用することがあると言う説明も受けました。遺伝性alsは結構珍しく、希少なサンプルなんだと思います。(研究の過程で他の遺伝子疾患が判明した場合教えてもらえるらしいです)提出したサンプルは、研究でゴリゴリ使ってもらって、役に立てばいいなぁと思っています。

採血、検査へ

カウンセリングでgoサインが出た後は、採血を行って、検査結果を待つことになります。
検査自体はpcrでターゲット配列を増幅→サンガーシーケンスで解析するという流れだと思います。
 採血当日はドタバタしており、採血では採取したサンプルに名前を書くための油性ペンがなく、先生が採血チューブに名前が書けなくて困っていました。採血した先生が、ドヤ顔でコンビニのレシートに名前書いて袋にまとめて入れれば混ざりません!と言っていました。コンビニで油性ペン買っといてくれ。

現在

今は検査の結果を待っているところです。1週間くらいで出ると聞いていて、今8日経って連絡が来ていません。はよ。

今、思う事

 父親のals発症から、急展開で人生が暴れ回ってて、もう大変って感じです。まぁでも、誰しも人生で大変なことってあるもんだと思うので、私の大変なことがこれなんだと思います。頑張って生きていこう。
 それはそれとして、将来に不安は残るわけです。このままだと何も残さず1人で死んでいくことになります。嫌すぎる。死ぬ時に何か残せる物が欲しい。結婚してぇ。結婚して父親安心させたい。彼女いねぇ。そんな気配すらねぇ。終わりだ…

 とにかく、検査を機に自分自身やその将来についてしっかりと考える方ができました。陰性であろうと、陽性であろうと、楽しくいろいろとやってみようと思います。まずはしばらく会ってなかった人間にでも会いにいこうかなと思ってます。

父について


検査や自分自身についてとは全く関係のないことですが、私の心が最も動かされた記録として、父について少し書いておこうと思います。読み返すとたぶん恥ずかしくなるような部分なので、興味ない方は読み飛ばしてもらえるとありがたいです。

 私の父は配管屋で働いています。大企業に勤めているわけでもなければ、学歴が高いわけでもない、普通の人だと思います。ちょっと天然が入っていますが、理不尽が少なく、私にとっては非常に良い父親です。私自身大学院まで通わせて頂いているので、感謝しても仕切れない部分があります。
 そんな父がalsで少しずつ動けなくなっていっています。私自身は一人暮らしをしているため、直接会う機会は少ないです。それでも、母からの報告や、帰省時にあった際など、症状が凄まじい勢いで進行していることは分かります。父のalsは進行が早く、薬が効かなければ1年持たないと言われています。薬も日本では未承認のもので、簡単に打つことはできません。おそらく、長くは持たないと思います。
 自分の尊敬していた人間が、何の抵抗のしようもなく少しずつ動かなくなっていくのは、結構心に来ます。仕事が心の支えだった父は、片足がまだ動いていた頃は、薬で進行を止めて何とか働くと意気込んでいましたが、病気が進行し、腹筋の力が弱まったことで座ることも難しくなった今では、仕事の話はあまりしないようになりました。

 はっきり言って今の父を見るのは辛いです。一人暮らしで会う機会が少なくてよかったとすら思っています。しかし、父の病気は遺伝性です。私が陽性であれば、今の父の姿が将来の私の姿です。目を背けてはいけない、と、思います。抗う手段がなくとも、精一杯、出来ることをやるべきなんだと思います。私に出来ることはほとんどありません。学生なのでお金を出すことができません。一緒に暮らしているわけではないので、介護の手伝いもほとんどできません。私は、父が安心できるように、ただ立派に育ったと思えるように、日々の生活を真面目に生きていくことしかできないのだと思います。

終わりに

ブログを書いてみて思った事としては、思ったよりも書くの大変だなと言う事です。最近小説読むのにハマってるんですが、あの文量書くのすごいなと関心してます。実際に自分の文章を文字起こししてみると、思った通りに書けないし、なんか恥ずかしい感じがしますね。まぁ皆さん誰しもが持っている黒歴史を私も作った、と言うことにしておきます。検査結果が陰性で、「何でこいつこんな思い詰めてんの?」と思えるように、父の治療がうまくいき、「当時こんなの書いてたんだよ」と笑い合えるように願って締めさせていただきたいと思います。

終わり
 


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