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07.甘い酒と苦いお茶---「もう一人のわたし」より

久遠の昔、私たちは宇宙の中心でテーブル越しに向き合った。
丸い机の上にはコップがあり、それぞれ甘い酒と苦いお茶が入っていた。
甘い酒を飲めば、幸せと喜びに満ちた、素晴らしい一生を歩んでいくことになり、一方で苦いお茶は努力と勇気の成分が充実し、一生懸命励まなければならない。
君が辛い目に遭うのを恐れて、私は苦いお茶が入っているコップを真っ先に奪い、たんと飲んだ。
でもしかめっ面になった優しい君も私の不幸を恐れていたので、
暮らしの道連れになってくれることを誓ったのだ。
こうして、私は今日も、仕事の終わりかけに、君と一緒に紡ぐ物語を書き下ろしている。