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もう一人のわたし

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地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ず…
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#物語

07.甘い酒と苦いお茶---「もう一人のわたし」より

久遠の昔、私たちは宇宙の中心でテーブル越しに向き合った。 丸い机の上にはコップがあり、それぞれ甘い酒と苦いお茶が入っていた。 甘い酒を飲めば、幸せと喜びに満ちた、素晴らしい一生を歩んでいくことになり、一方で苦いお茶は努力と勇気の成分が充実し、一生懸命励まなければならない。 君が辛い目に遭うのを恐れて、私は苦いお茶が入っているコップを真っ先に奪い、たんと飲んだ。 でもしかめっ面になった優しい君も私の不幸を恐れていたので、 暮らしの道連れになってくれることを誓ったのだ。 こうして

01.誕生日 ---「もう一人のわたし」より

~ 地球に住むわたし、Bがいる。 そしてAがいる。もう一つの宇宙で生きる双子きょうだいだ。 姿形が同じでなくても、性格がそれぞれ違っていても、心はいつも一つ。 おおむかしのある日、ずっと一緒だったエネルギーの塊が二人に分かれた。 その瞬間から、対話録が始まった。そして、今も続いている。~ B:「ねえ、きみ誕生日いつ?」 A:「分からないな。そもそも自分に誕生日というもの、あるかな?」 B:「ふむ。じゃ私にも無さそうだね。」 「まあ、どうでもいい。どうせ、この3次元にたどり着