08.カラスと蝉 ---「もう一人のわたし」より
(公園にて。松の木の上で、カラスがカァ-カァ-鳴いている)
B:「とても近く聞こえるね。今まで聞こえたカラスの声、これほど響くのあまりなかったな。」
A:「うん、気を腹部に全部集中したような、力強い声だね。」
(木のもっと高いところに、蝉がいた。シ-ンシ-ンと、空を裂けるように音を出した。)
B:「あっ、同じ木の上で、今度は蝉だ。」
A:「ええ?でも、見てごらん。」
(蝉が音を出してまもない間に、カラスはぴょんぴょんと、階段をあがるように枝をのぼった。すると、キ--と一音が空