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トップジョッキーとトップトレーナー

JRAは9/24、武さんから海外渡航届の提出があったことを発表しました。理由は凱旋門賞に騎乗するためだそうです。少し前にキーファーズ所有のジャパンが凱旋門賞に挑戦するなら乗りに行くというニュースがありましたが、正直、マジで?としか思いません。

ジャパンは昨年、パリ大賞とインターナショナルSを連勝し、凱旋門賞で4着と好走しましたが、今年に入ってからはプリンスオブウェールズで4着、エクリプスSとキングジョージで3着、愛チャンピオンSで5着とほとんど良いところを見せられず、ガイヤースやエネイブルなどの強敵に肉薄する事すら難しいという現状です。

そんな中、日本のトップジョッキーである武豊騎手が、言葉は悪いですが馬場掃除のために凱旋門賞に参戦するというのはあまり好ましいことではないと思います。ジャパンは武豊応援団のキーファーズ(松島代表)が、武豊に凱旋門賞を獲らせるために、わざわざクルーモアに直談判して、どうしても武さんに凱旋門賞を獲らせたいんじゃあ!と現役中に権利の半分を買った馬ですし、昨年もブルームで同じ事をしようとして失敗した背景も考慮すれば、使えるなら使いたいという事なんでしょう。

しかしですね、はやり病が収まらないこの御時勢に、はやり病が蔓延る欧州に遠征するというのはリスクが高すぎるのではないでしょうか。はやり病に罹患するリスクもそうですし、下降中のリーディングの更なる悪化というリスク、帰国時の自主隔離によって秋のGⅠ戦線の序盤を棒に振るリスク、そしてジャパンの現状を総合的に判断すれば、見送るのが正解でしょう。

ちなみにフランスは7/1から日本を含む一部の国に対して入国制限を解除していますが、日本では9/24現在、日本に帰国する場合は入国の次の日から起算して14日間待機する滞在場所を確保することを求められており、当然ならがJRAも自主隔離期間として施設への入場すら拒否するでしょう。つまり、はやり病に感染していなくてもスプリンターズSと秋華賞は参戦できず、感染していたら最低でも菊花賞、天皇賞・秋への参戦はできないでしょう。

ダービーと同じ様に、どんな立場でも凱旋門賞当日はその場に居たいという気持ちは理解できます。長年の夢でもありますし、それを応援してくれる人もいるわけですから、期待に応えたい気持ちもあると思います。しかし、騎手会長という立場もありますし、やる事やれば問題ないだろって再び海外遠征する若手が現れても不思議じゃありません。JRAとしても開催と止めずに継続してきた中で、初めて感染した騎手が武豊だとしたらダメージは大きいでしょう。しかも、わざわざ海外に行って貰ってきたとなれば批判は免れません。

こういう板ばさみは辛いでしょうが、今ははやり病を終息させる事が最優先ですからね。できれば自重してほしいと思います。あくまでも個人的には、ですが。というか、ジャパンが回避すれば話は早いのですがね。


それから藤沢和先生のJRA通算1500勝を達成した記念碑が美浦トレセンに建造され、9/23に除幕式が行われました。史上最多記録は尾形藤吉先生の1670勝ですが、こちらは戦前からの記録で、馬房数制限も定年も無い時代の話。1500勝という数字は、馬房数制限や定年が導入された後の記録としては空前絶後の大記録と言えます。

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デイリースポーツさんの写真ですが、とても良い笑顔です。デイリーさんは写真は上手い印象があります。この一勝より一生という言葉は、馬優先主義の藤沢和先生を体現した言葉ですね。これだけ偉大な先生が再来年2月で見られなくなるかと思うと失恋したかのような喪失感に襲われますよ。

私個人は前々から主張しているように、一定の成績を残した調教師に関しては定年を5~10年間延長する事が望ましいと思います。そもそも定年制は限られた馬房数に対し、高齢の調教師が引退しないために世代交代が進まず、調教師試験の合格率が低迷した事が大きな理由です。なんだかどこかの騎手界隈の話みたいですね。

しかし、高齢だからと言って無条件に引退させるのは、技術を売りにする言わば職人である調教師には失礼だし、技術や経験の継承と言う側面から見たらマイナスでしょう。だからこそ、一定の成績を残した調教師は定年を延長して日本競馬界の発展に貢献してもらう方が、長い目で見たらメリットがあると思います。

そうなると【一定の成績】をどれくらいにするのかがポイントとなりますが、やはり1000勝実働25年以上で年数×30勝GⅠ20勝程度の高いハードルは必要ではないかと思います。現在の現役調教師で言えば、藤沢和先生以外には国枝先生、音無先生、安田隆先生、角居先生、池江泰先生辺りが引っ掛かるかなぁといった程度でしょうか。

ただ、今はGⅠの数も多いですし、海外遠征も頻繁に行われているので、GⅠ勝利数は30勝くらいに挙げても良いかもしれません。ちなみに現役調教師のGⅠ勝利数は下記のような形になっています。地方GⅠは国際GⅠのみ対象としている点に留意して下さい。

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これを見るとGⅠ20勝の壁は相当厚いなぁと思いますね。ただ、海外GⅠで底上げし過ぎているのも、う~ん・・といった感じになるのですよ。なのでJRA・GⅠ20勝でもいいかもしれませんし、1000勝以外は定年から3年前までの成績でJRAが総合的に判断する的な条件を付けても良いかもしれません。

いずれにしろ、何十年やっても重賞の一つも取れない調教師を残すくらいなら、その枠をこうした名人に譲った方が日本競馬界の利益になると思いますね。同じく世代交代が上手く行っていない騎手界隈ですが、こちらは削れば開催に支障が出ますし、他の問題も絡んでくるので少し違うかな。まぁ時間があれば記事にするかもしれません。

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