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どんだけ恥さらしなんだ?

まったくため息が出るようなニュースが飛び込んできました。その内容は、東西のトレセンで働く調教助手が、はやり病で困窮する事業者に対する持続化給付金を受給していたというものです。正直、これを聞いた時、この恥さらしがぁ!!と思ったの同時に『調教助手って個人事業主だっけ?』と思いましたね。


そもそも持続化給付金とは、

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であり、その給付対象は

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です。簡単に言えば、事業所得があって事業継続を希望し、前年同月比で収入が半減した月がある方が対象ですね。また、同じ事業主等でも、主たる収入が雑所得または給与所得で確定申告をしている方を対象とした制度もあり、そちらの対象は

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となります。事業活動しているのに給与所得ってなんだよとは思いますが。こちらは雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入を主たる収入として確定申告している事が条件なんですね。

いずれも制度も給付の対象外となる方は、

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であり、後者の方は下記の条件も加わります。

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これを見ると、どうしてこの条件で受給できると思ったのでしょう?そもそも調教助手の雇用主は調教師であるハズです。個人事業主であるならまずストライキとか無理ですからね。それ以前に被雇用者はダメってしっかり書いているのに、なんでこういうバカな事をしたのかと言えば、某税理士法人に勧められたからだそうです。

なんでも、この大阪市の税理士法人は、過去に税務処理を請け負った調教助手らに『原則として皆さまが給付対象』『厩舎関係者は満額が給付される可能性が高い』『成功報酬は受給額の7~10%』といった内容の文書を送付しており、『はやり病の影響を受けたかどうかは申請者本人の申告に基づいていて、不適切な申請はしていない』と主張しているとの事です。

給付金の申請には収入が半減している月があればOKなんで、月々の収入を把握していたであろう税理士法人には都合が良かったのかもしれません。しかも調教助手や厩務員は進上金を受け取っているので、はやり病に関係なく競走成績によって収入が増減するのは当たり前で、申請すればあっさり通るという考えもあったと思います。

ただねぇ・・・これって税理士の仕事?税理士の業務って『税務代理・税務書類の作成・税務相談』に大別されるのですが、持続化給付金の申請ってどれにも該当しないような気がするんですよ。共同の記事では『男性税理士は資料作成だけでなく、給付要件を満たしているかを調査するサポート契約も結んでいた。』とありますが、これは税務書類じゃないですし、むしろ行政書士の業務範囲じゃないかって気がしますが・・どうなんでしょう。そこまで調べて記事にしてくれたら高得点なんですが。

そうこう考えていたら、当の税理士法人が『弁護士を加えて行った再精査の結果、改めて適正な手続きであったことを確認している』『不正受給疑惑なるものと当法人を安易に結びつけるような報道は厳に慎んでいただきたい』とのコメントを出しましたが、今回の件が発覚した際に返還したいと相談した相手に返さなくていいと指示を出したという報道もありますよね。落とし所すら見つからないような気がします。


一方、そんな噂があったのか、なかったのか定かではありませんが、調教師会は昨年11月に『はやり病の影響はねぇだろ!受給した奴は返還せぇよ!』と通達を出していたそうです。調教師会としては、はやり病が蔓延する中、競馬を実施して国庫に納付できたプラス分を、こんな事で吐き出したくなかったんでしょう。

しかし、事は大きくなり、お上のトップである理事長だけではなく、雲の上の存在である農水大臣にも対応をさせてしまいました。2/17の衆議院予算委員会では、所管の野上農水大臣が『競馬への信頼を確保するため、不正受給があれば返還させるなど厳正な対応を取るよう指示した』と答弁しており、出席していたJRAの後藤理事長も『日本調教師会に調査を要請した。必要な対応をとりたい』と説明しています。

農水大臣がJRAに指示をしたって大きな意味を持ちますね。これができるなら短期免許やエージェント制も問題にして、ごにょごにょ・・・としてもらいたいところです。個人の願望ですが。そんな事よりも、こんな事でお手を煩わせてしまい、ホント野上大臣には申し訳なく思います。


んで、その日本調教師会を束ねる橋田満先生は、『ただいまのところ、記事に記載されている事案の実態は調教師会としては把握していません。今回話題になっている厩舎従業員の収入の一部が変動していることは事実であり、規定の受給資格はありますが、受給要件のコロナの影響を受けてのものなのか否かは、個々に適切な判断をしなければならないことだと考えます。競馬開催が全て実施できたこともあり、あまり影響を受けていないのではないかとの考えを事業主である調教師には伝え、受給申請を考える場合は的確な判断をするように要請していますし、その方針はこれからも変わりません。競馬を応援していただいているファンの皆さまのご支援を引き続き賜りますように、競馬関係者はもちろんのこと、競馬社会全体の規律を保っていくことに最善を尽くしたいと考えております。これからもよろしくお願い申し上げます』とのコメントを出しました。

まぁやる事やっているぞ、これからも方針は変わらないぞって事ですね。でも、調教師には申請するなら的確に判断しろって言われたら、この問題は調教助手だけじゃなかったのかなぁとも邪推できますが、まぁ調教師からしたら最大100万円の給付金なんてそこまで多い金額じゃないので、口車に乗せられた調教助手だけと思いたいです。

なお、日本調教師会の関東本部長である手塚先生もコメントを出しており、『現段階で不正受給の実態すべてを把握し切れていませんが、何らかの対応をすべき事案なのは間違いないです。関東では持続化給付金の申請をしないよう昨年に文書で通達しており、美浦の従業員に受給者がいるようなら非常に残念な出来事。調教師会としては、今後発表されるであろう競馬会からの指導に則し行動していく形になります。』との事です。こちらも我々はやる事やったが、アホな奴がいたのでゴメンねって感じですが、一応別組織の関係団体なのでJRAからの指導って言うのはどうかなと思います。細かくてすいません。

最後にJRAのコメントは、『ご指摘の報道については承知していない。厩務員を雇用している一般社団法人日本調教師会らと協議し、事実関係の確認に努めたい。』との事。

・・・お上か!!!まぁお上なんですが、何とも公務員的な文章ですね。
これ以上のコメントは出せないとは言え、もう少し言い方ってもんが・・・
と思ってしまうのは、日頃からJRAに良い感情を持ってないからでしょう。

週末には今年初めのGⅠが開催されるってのに、どんよりしたニュースで嫌になりますね。新人騎手や騎手クラブの寄付など良いニュースがたくさんあったハズなんですが台無しです。なんにせよ、数千億も国庫に入れてやってるんだ!という態度ではなく、感謝の気持ちを込めて日本競馬を開催していってほしいですね。



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