騎手の成績 2024年5月
ダービーも終了し、やっと一年が終わりました。また今週から新しい一年が始まりますねぇ。さて、騎手界隈では引退した騎手もいれば、落馬負傷した騎手もいましたし、海外遠征で活躍する騎手、GⅠ初勝利、短期免許が掛かったモレイラの最終週など相変わらずあれやこれやと色々な事がありました。早速見ていきましょう。
■5月期リーディング&通算リーディング
さて、5月期のリーディングは川田が獲りましたが、ルメールとはわずかに2勝差です。その次に岩田jrが今年初の二桁勝利、海外遠征や騎乗停止で数字が低迷していた坂井瑠星などが続き、ローカルに回った丹内、佐々木が上位に食い込みました。
通算リーディングを見ると、トップは出遅れたルメールを突き放した川田が堅守。勝率は0.329、3着内率0.628と高い水準をキープしていますが、68勝の勝ち星のほとんどが1・2番人気での勝利で、3番人気でも5勝、4番人気以下の勝利は4勝となっています。これはどう評価するべきか。重賞はジャンタルマンタルのNHKマイルのみですし、こんなもんと言えばこんなもんですが・・・う~ん・・・
まぁ2番手のルメールもそれは同じなんですがね。62勝中、3番人気はわずかに3勝、4番人気以下は1勝のみですから、いかに有力馬が偏っているかが分かりますね。それでいて勝率0.297、3着内率0.598で、重賞もオークスのチェルヴィニアのみですからねぇ・・・うん、6月に期待。
4位の坂井瑠星は3、4月期に5勝ずつと大きく遅れたものの、5月期は香港や米国で海外GⅠを転戦し、ケンタッキーダービーではハナ、ハナ差の3着という成績を残し、また一つ日本人、日本馬の壁を取り払いました。毎週のようにコツコツと勝ち星を重ねて再びこのポジションまで上がって来て、横山武との若手騎手の一番手争いが白熱してきました。ただ、ケンタッキーダービーや日本ダービーでもそうですが、真っ直ぐ走らせる事が苦手なのかムチを打った後にヨレるケースが散見されます。そこら辺をしっかりと御せればもっと良い成績になるかなぁと期待しています。
5位の横山武はちょっと心配になります。東京が苦手なのは分かりますが、12日間の東京開催の内、初日に福島行って1勝挙げた以外は東京にベッタリで6勝ですからねぇ。重賞も3勝目を挙げたものの、GⅠに繋がりにくいですし、前2年間で0.400を超えた3着内率も、今年は0.354に留まっています。関係者の信頼を失っているのは明白ですが、一方で重賞で人気馬に乗れば3-2-1-3とまだまだ信用できます。ソールオリエンスで割を食った感はありますが、ここから巻き返していかないと坂井瑠星に離されてしまうんじゃないかなぁ・・・
6位の岩田jrも一時は将来を約束された感があった若手騎手ですが、ちょうど一年前に師匠の藤原先生から追い出されて、何とか夏競馬までは我慢したものの、秋競馬に入ると存在感を失い始め、勝利数も下降気味となっていました。しかし、ひと月半とはいえ、この5月にやっと昨年8月以来となる二桁勝利を記録し、重賞も勝ったことから復調気配を感じます。まぁ礼節を欠く言動を見ていると大した騎手じゃないとは思っていますが、どこまで戻って来れるか。
7位の鮫島克は大ブレーキが掛かった5月期でしたね。4月期は13勝と約一年振りとなる二桁勝利を挙げたのですが、5月期は12日間開催の初日を福島に向かい、残りの11日間の半分を東京遠征に注ぎ込んだ結果、約一ヶ月間の未勝利を味わうとか苦行どころではありません。騎乗数もそこそこありますし、重賞にも騎乗し、ダービーは初騎乗だったそうです。でも勝てない。中穴から大穴をよく馬券圏内に持って来ては居るのですがねぇ・・・
10位の武豊は4月期3勝から二桁勝利に巻き返しました。シュガークンで自らダービーチケットを獲りましたし、全体的に調子は良かったと思いますが、もうワンパンチ欲しいところですね。特に重賞ではサリエラ、ボンドガール、ナミュールと立て続けに人気馬を馬券圏外に飛ばしていますし、ドバイのドウデュースと合わせると見栄えは悪いです。頑張ってほしいなぁ~
■重賞成績
5月期は複数勝利が松山のみで、きれいに分散しましたね。川田、ルメールがGⅠを1勝のみというのも驚きましたが、団野や三浦がノルマとばかりに重賞勝ち、混沌としています。また16あった重賞競走の内、3分の1にあたる5競走で6番人気以下が勝利しており、少し荒れ気味のように見えますが、1・2番人気が勝利したのは9競走と堅いところは堅いです。この傾向は6月も続くのでしょうか。
人気馬での成績は10戦以上が順位の対象となりますが、5月期になってやっともう2名の順位が付きました。6月期にはもう3~4名は入ってきそうです。このランキングでは馬券になるかどうかを見ているので、3着内率によって順位を付けており、それで見ると戸崎は人気馬で未勝利ながら2着が6回、3着2回と圧倒的なシルバーコレクター感で3着内率0.667を記録しました。3回に2回は馬券に絡んでくれるので、人気馬に乗ったらとりあえず買えばいいと分かります。
坂井瑠星も0.500で4位に入っていますが、人気薄でも2-0-3-7と最低限の結果を残しており、意外と信用できます。
■記録
ルメール 『騎乗機会連続連対記録更新(11回)』
武豊 『JRA通算4500勝』
丹内 『JRA通算500勝』
佐々木 『JRA通算100勝』
『第1回新潟リーディング(9勝)』
和田 『JRA通算1500勝』
菱田 『GⅠ初勝利』
横山典 『JRA通算2944勝(歴代単独2位)』
『ダービーおよびJRA・GⅠ最年長勝利』
武豊の4500勝は何も言うことはないでしょう。たぶん、ルメールや川田でも抜けません。丹内は21年目で500勝ですが、近年の活躍を見ると、600~800勝くらいは行きそうです。佐々木は3年目ですが、一つ上の猛蔵を一気に追い越しましたね。昨年は全国リーディング12位ですし、間違わなければ関東の期待の若手になれそうです。
和田は1500勝したのが信じられないくらい。こんなに勝ってたんですね。コンスタントに50~70勝してますし、もう29年目ですか・・・私も歳を取ったなぁ・・・
菱田は初GⅠ勝利ですね。悪くはないけど良くはない感じで10年以上やってきましたが、師匠の管理馬で、師匠も初のGⅠ勝利ですから、テーオーロイヤルと関係者に感謝ですね。
ノリさんはもう別格でしょう。武豊とは異質の天才ですよ。そして競馬を良く理解していますが、川田とは違った意味で一方からしか競馬を見ていないんですよね。それがホクトベガとの約束かもしれませんが、ダメならダメと割り切ってしまう部分をもう少し馬ではなく競馬に向けてくれたら、ファンにとっても嬉しい騎手になるんですが。
■騎乗停止等
横山典 5月4日、京都11Rで斜行、5月18日の騎乗停止
■短期免許組
まず、今週でラストとなるモレイラですが、安田記念で勝利しないと恐らく短期免許の要件を満たせませんので、来年以降に来日できなくなります。私としてはそちらの方が良いのですが、果たしてどうなるでしょうか。
4月期は4つの重賞で3勝、2着1回と目を見張る活躍がありましたが、5月期は行方不明になることもあり、重賞は7つ乗って1勝、3着2回という成績でした。マスクトディーヴァのようにやらかす事もありましたし、そこまで信用できる感はありません。
それは数字を見ても明らかで、全24勝中、実に20勝が1番人気で挙げたもので、残りは2番人気で3勝、3番人気で1勝です。つまり、人気馬に乗らないと勝てない騎手、それがモレイラという風にも見えます。しかも1番人気は41回で20-9-2-10と勝率48.8%、3着内率75.6%を記録していることから断然人気の馬で勝っている事が分かりますね。
一方、2番人気は騎乗数17回で勝利率17.6%、3着内率52.9%、3番人気は同8回で勝率12.5%、3着内率37.5%と多く下げています。通算で勝率27.0%、3着内率51.7%は素晴らしいですが、他の短期免許組、例えばムーア、Cデムーロ、マーフィー辺りと比べるとどっこいどっこい程度です。モレイラは彼らよりかは馬質が良いので、そう考えると期待したほどではない、とも言えます。まぁレーンよりは上なんですが。
仮にこの馬質を武豊とか横山武、ミルコ辺りに割り振ったら、モレイラとまではいかないにせよ、それに近い数字か、8掛けくらいの数字は出せると思いますね。まぁここまで有力馬を集中させるやり方は、長期的に見たら日本競馬をダメにさせる遠因になるでしょう。
それからオシュアの方は、ずっと東京で乗ってますが、なんら目立った成績を残しているわけではありませんね。1番人気の勝率が50.0%なのはさすがUAEリーディングを12年獲るだけあるなと思いますが、なかなかネームバリューが無い分、良い騎乗馬が集まらない印象を受けます。あと2週ありますので、爪痕を残せるような何かを見せてほしいところです。
■その他
今月も負傷が多かったですね。吉田隼人は落馬負傷後に兄の吉田豊から状況報告がありました。「くも膜下出血です。意識はありますが、意識障害がある状態です。体は動かせているので麻痺とかはなさそうですけど、しゃべることや記憶がどれだけ残るか。病院の先生からもすぐに良くなる感じではなく、長く見てくださいと言われています。あれだけの怪我でも命は助かったので」とのことでしたが、藤井元騎手がお見舞いに行った際に写真を撮ってくれまして、元気な様子が伺えて一安心です。「同期の津村騎手がG1を勝ったこと、などお母様も一緒に笑いも交えながら30分以上話していました」との事なので、普通の生活には戻れそうです。
一方、今村や荻野、木幡初、今週は柴田裕も落馬負傷しました。レース中だけでなく、その前後、調教中などでも危険と隣り合わせですので、騎手の皆様には細心の注意を望みたいですね。
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