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騎手の成績 2021年6月

宝塚記念の終了をもって、春競馬も終了しました。今週末からは夏競馬が始まりますが、未だにはやり病の騒動が収まる気配を見せず、さらに五輪だなんだって話も絡んできて日本社会は混乱の一途を辿っています。それもこれも無能なマスコミが足を引っ張っているからですが、それを疑問視する声が多数を占めても一向に改善する姿勢を見せないマスコミには大いに疑問が残ります。個人的には、ここで世間一般の声を反映した番組作りをした方が好感が持たれますし、それはそのまま視聴率に繋がると思いますがね。

そういや競馬関係のマスコミにも同じ様な輩がいましたね。給付金の不正受給問題で手助けをした某スポーツ新聞の競馬記者は職務を外され、JRAから出禁になったそうですが、加担した馬主には何のお咎めもなしという結論は波紋を呼びました。6/28の定例会見でJRAは、関連規約の関係で手が届かなかった馬主の処分について、「社会常識を逸脱した行為で中央競馬の信頼を損ねた場合」に処分が出来るように規約の改正を検討するそうです。世間の声が痛かったのでしょう。

また、競馬中継をする某番組にも、おおよそ競馬実況とは思えないような実況を繰り返すアナウンサーがおりますが、さすがに限度があります。個人的な理由で90年代からのGⅠレースを見直していたのですが、2000年に入ってから徐々によく分からない実況が増え始め、2010年を過ぎたら公式以外は見られたもんじゃないといった実況が大半を占める様に感じました。ネット上でも批判の対象となるケースも多いですし、番組内の間違いや失敗も目を覆う内容ばかりです。にも関わらず、世間の声なんか知ったことか俺たちが居なくなったら競馬中継できんのだぞ、という態度が見え隠れするほど改善しない番組には不愉快を通り越して呆れますね。

競馬会の内部は世間の声に耳を傾ける姿勢はありそうですが、外部の競馬関係者にそれが見えないのは残念です。世間の声を聞くことが今の世の中で重要な事だと思うのですが。

とは言っても、JRAだっていつまで経ってもジャパンC問題に対処しようとしていないので、全部を肯定するわけありません。先の定例会見でジャパンC当日に外国馬の帯同馬用の条件戦を用意するなんて案を出してきて、個人的には失敗する未来しか見えないのですが。既に4月から東京競馬場の国際厩舎の新設に着手しているようですし、これで改善できると本気で思っているのであれば唖然としてしまいます。後で世間の声を聞いとけよなぁと言われないように頑張ってもらいたいですね。


上半期の上位はいつも通り

それでは6月期の騎手成績を見て行きましょう。1位は定位置のルメールでした。半年間1位を確保し続けるのはさすがですね。宝塚記念では見事に代役を務め上げ、このまま凱旋門賞の鞍上もゲットした模様です。

成績は20-7-5-24、3着内率0.571と一気に上げてきました。昨年と同程度まで上がったのは2歳戦が始まったからでしょう。毎年そうですもんね。気になるのはルメールにしては重賞勝ち鞍が少ないなぁと言ったところですが、それでも上半期GⅠ4勝ですからねぇ。武さんの記録を抜くのも時間の問題でしょう。まぁ記録面で武さんと同列に語るのは違うと思いますが、数字だけ見るなら間違いありませんから。


続いて2位は川田です。このポジションはもう見慣れてしまいました。年初はもたついていましたが、気がつけば重賞バンバン勝って、いつものポジションを確保したのはさすがです。重賞11勝、GⅠ3勝とルメールと同等の数字を残していますし、間違いなく今の日本人騎手の中でトップと言える存在でしょう。

6月期は18-8-8-14、3着内率0.708と驚異的な数字を残し、上半期で0.533、前年比-0.039まで改善してきました。3月では前年比ワースト1位だったのに、6月にはワースト14位ですからねぇ。ちょっと恐ろしい方です。


3位は福永で9-10-10-41で3着内率0.414となりました。これはこれで素晴らしい数字なんですが、川田の半分ちょっとと考えると、そんなもん?と思ってしまいます。批判できる部分をしっかり残してくれるのは、さすが福永

この上位3名はいずれも前年比の3着内率がマイナスとなっており、いかに昨年が素晴らしい成績だったのかが分かりますが、一昨年と比べると3名の中で唯一、福永だけが横ばいなんですね。昨年はキャリアハイの数字だったので、今年は一昨年程度の成績を維持できるのであれば、まだまだトップに居られそうです。悔しいです。


4位の松山は9-8-6-40で3着内率0.365と意外と良いです。今年はキャリアハイを維持し続けていますが、私の馬券とは相性が悪いです(笑)人気馬が結構居たので腹立たしいですねぇ。

重賞も2月末の中山記念から連敗中ですし、成績は上がっているのに肝心なところは上手くいってないんですね。それを察した若い新馬にちょっかい掛けられて怪我をしてしまうところも運がないようです。気持ちを切り替えられるか、心配してしまいます。


5位の吉田隼人は、さすがローカルの帝王というところを見せてくれました。6勝中5勝が札幌で挙げたもので、2歳戦は一切無し。あくまで今までのスタイルを維持する方向は変えないようですね。3着内率も0.330とキャリアハイを記録していますし、後半戦のソダシとともに注目です。


7位の横山武は一休みから戻ってきたようです。6月期は7-8-6-38で3着内率0.355でトップジョッキーと遜色ない数字ですし、安田記念のシュネルマイスター3着はお見事でした。ただ、重賞騎乗はこの安田記念のみですし、吉田隼人と同様にとっとと札幌に行ってしまったので、あまり印象に残る感じではなかったですね。夏でもう一皮剥けてほしいところです。


8位の横山和は、前月に続いて順位を上げてきました。正直、このポジションに居るのは違和感しかありませんが、3着内率は0.318でキャリアハイですし、前年比も+0.114で総合2位と大活躍の上半期だったと思います。GⅠにも騎乗できましたし、マーメイドSでは1番人気を任されるなど、これから期待される感がありますね。夏競馬で突出できるか。


9位は田辺が返り咲きました。先月は12位まで落ちて、このまま下がって行くかな、と思いましたが、意外や意外。最終週の4勝を挙げる活躍を見せました。ただ、夏競馬もこの調子を維持できるとはとても思えませんし、3着内率も下がり気味で馬券勝負は躊躇しますね。少し様子を見たいです。


10位の岩田Jrは5月期12勝から、6月期4勝と落としました。父の影響か、本人の態度かは分かりませんが、どうもかつての勢いがありません。花の35期生の中でトップで重賞を勝つと思われていたのに、気がつけば4人に先を越され、隣には未だ二桁も勝てない小林凌大と例の大塚が居る状況。そろそろ関係者も持ってない感を感じ取りそうです。


落ち着いてきた11位以下

11位の鮫島克は6月期3勝に終わりましたが、函館SSを含む2着が7回と取りこぼした印象を受けます。早々に札幌に行ったので、もう少し勝ち星を上積みできたら良かったのですが。一方、かつては見向きもされなかった重賞で人気馬を任されるようになり、さらに馬券に絡む活躍は素晴らしい。キャリアハイを維持したまま焦らず進んで欲しいですね。

12位の西村は個人的に期待外れかなぁと思います。昨年も春にグンッと成績が上がり中央四場に挑戦して跳ね返されると、そのまま20位前後をウロウロしていたのですが、今年も似たような雰囲気があります。3着内率も昨年も今年も前年比で落とし続けていますし、夏が踏ん張りどころかと思います。

13位の戸崎はかつてのリーディングジョッキーの面影は見えなくなってきましたね。しかし、海外に行ったり、GⅠで馬券に絡んだりしているのを見ると、今の状況の方が応援したくなります。夏の間にもう2つ3つ上に行きたいところ。

14位の菅原は予想外でした。春の新潟開催が終了してから札幌に向かわず、東京で騎乗を続けたのですが、そこで5-10-4-49と意外な好成績を残しました。昨年の西村のように跳ね返されるかな、と思っていたので良い意味で予想を裏切ってくれましたね。順調に成長しているようで何よりです。

15位のミルコは徐々に回復傾向にありますが、6月期は一休みですね。勝ち星は少ないものの3着内率が高いのがミルコの良いところだったのですが、先週は珍しく15鞍に騎乗したので、その分下がった感じですね。ただ、馬券の面から見れば順位以上に頼りになります

16位のバシシューは6月期もキャリアハイを維持。3着内率0.361は全体7番目で、前年比+0.099は全体4番目の上げ幅なので、ミルコ同様、隠れた注目騎手です。サラッと重賞勝ってますし、気がついたら活躍していたとかありそうで怖い。

20位の泉谷は先月より落としましたが、未だに好調をキープしています。前年比の3着内率は+0.115で全体トップを堅守していますし、函館SSでは初めて勝負になる馬に騎乗できました。まだ2年目なので全幅の信頼とまではいきませんが、着実に成長してほしいです。


中位以下には意外な名前が?

21位の団野大成は、正直ここまで下がるもんかぁと思いました。4月に福島牝馬Sを勝てたものの、わずか2勝に終わった事もあり、一時は10位だった順位は気がつけばここまで落ちています。初重賞を含む、重賞2勝を挙げていますし、関西若手の3年目のジンクスだとは思いませんが、これ以上下がるのは今後に響きますので、なんとか踏ん張って欲しいです。

22位の武さんは負傷休養から復帰後、あまり良いところがありません。天皇賞・春に間に合わせた結果、5,6月をそれぞれ4勝に終わりました。休養前の3ヶ月弱で22勝を挙げていた時の比べると明らかに落ちています。3着内率の前年比でもいきなりワースト5位に顔を出したくらいですし、重賞もほぼノーチャンスの馬ばかりで、もう一回休養挟んだ方が良いような成績です。

23位の藤岡兄は北海道シリーズで水を得た魚のような活躍です。ビアンフェで早々に重賞を獲ると7-7-7-25の成績で3着内率は0.456とルメール川田並の数字を叩き出しました。前年11位でしたし、本来はもう少し上に居てもおかしくない騎手で、20位後半をウロウロとしているのが不思議なくらいです。

26位の浜中も3着内率0.313と3割越えを記録する一流騎手の一人です。6月期はわずか2勝と振るいませんでしたが、重賞の騎乗数もそこそこ多く、この辺りの順位にいるような騎手じゃないんですがね。まぁ今はリーディングなんてただの飾りで、偉い人にはそれが分からんのですから仕方ありません。

38位のノリさんはもう勝ち星とか関係ないんでしょうね。息子2人に道を譲ってのんびり騎乗を続けて行くのかな。でも、かつての姿を見てきた人間としては寂しいですね。良い終わり方を探して欲しいです


若手の躍進は?!

リーディング上位に居座る若手以外にも活きのいい若手はたくさん居ます。その代表格が32位の坂井瑠星です。中東遠征があった分、国内の騎乗機会は限られていましたが、復帰後は8週連続勝利を記録し、それがやっと途切れた翌週に重賞制覇、その翌週には宝塚記念であわやの2着に食い込むなど、若手の中では間違いなくNo.1と言えるでしょう。

はやり病の状況下において自宅で10人も集めて合コンをして騎手会から大目玉を食らったとの記事もありましたが、そんな失敗はどこ吹く風。結果を出せば良いんだよとばかりに急速に勝ち星を重ねる姿には次世代のトップ騎手の夢を見てしまいますね。願わくば、師匠の指導をしっかりと受けて、武さんみたいなタイプに育ってほしいです。


また29位の亀田も注目です。昨年も人知れず勝ち星を重ねていた彼ですが、今年は葵Sで重賞初制覇を果たし、問題児になりかけている岩田Jrに一矢報いた点を大いに評価したいです。今年は減量が取れないと思いますし、馬券的に狙うなら今年中が勝負でしょうか。

さらに31位の富田も5年目で3着内率のキャリアハイを更新中です。決して勝ち星は多くありませんが、ほとんどローカルに向かわず阪神、中京で腕を磨いている点は好印象を受けます。こちらも減量が取れるまで16勝ありますので、そこまでは馬券的に狙いたいところです。

一方で、39位の斎藤新、50位の武藤雅、52位の藤田、65位の荻野極などはもっとしっかりしろと言いたい。海外遠征や負傷休養、自主謹慎などがあったにせよ、さすがにこの順位はいただけない。3着内率で見ても、ほとんどが前年比マイナスもしくは横ばいですし、馬券に絡めなければそれだけ関係者の覚えも悪いでしょう。

特に藤田は10勝中9勝がローカル、内7勝が新潟であり、完全に新潟専用機になっています。通過順を見ても逃げるか尻から行くかの両極端なケースが多く、戦術の幅が広がっていないように見えますね。古川奈が離脱している今こそ、女性騎手の第一人者としての意地を見せたいところですが、6月期は未勝利とうまく行きません。このままローカル専用騎手になってしまうのでしょうか。

それから荻野極は陰ながら見守ってきた騎手ですが、もうそれも難しいですね。現在62位ですが、すぐ上にはあの小林凌が居るんですよ?3年目で未だ通算20勝も挙げていない小林凌より下なんですよ?いやいや、どうしてこうなったと思わざるを得ないですね。2年目の47勝をピークに徐々に勝ち星を減らしていき、下位が定位置になるのは関西若手に良く見られる傾向ですが、彼はそれに抗う様子が見られないんですよ。期待していたとは言いませんが、次世代のトップ騎手になれる可能性があった騎手だけに、残念でなりません。


あと、今年デビューの新人ですが、メディアでも良く取り上げられているのが我らが猛蔵です。デビュー前に面白そうな注目株として指名した時にはこうなるのとは思いませんでしたね。13勝中8勝が東京で、馬券に絡んだ33回中、実に26回が東京での結果なので、関係者に大きなアピールになっている事は間違いないでしょう。次は夏競馬、ローカル開催でどこまでやれるか楽しみです。

一方、同期の中でその猛蔵より上位にいるのが小沢です。この2人はいつも競り合っていて、いつもくっついているのですが、上位に居るのは必ず小沢のような気がします。その小沢も札幌が始まるまではローカルより中央四場の方が多く、北海道シリーズが始まると札幌に移動しているので、夏はそっちで頑張るのかな。この2人の争いにも注目です。

それからあまり話題に上がってきませんが、角田もじわりじわりと追い上げています。しかし、彼はデビュー直後の3月だけで9つの3着を記録したように取りこぼしが多い印象があり、しかもそこそこ人気がある馬も多いので、何か一つパンチが足りないんですかね。噛み合ったら一気に勝ち星を量産しそうな感じがします。


我らが野中君は・・・

すっかり下位に定着してしまった野中君ですが、上昇気配はありません。いつも通りの中山、東京集中騎乗で、それが終われば苦しい夏のローカル戦が待っています。それなりに腕はあると思うのですよ。今年は1~3人に6回騎乗して2-0-3-1の成績ですし、人気馬に乗れればそこそこ勝てるハズです。

しかし、人気馬に乗る事が大変な騎手の世界、そう簡単に有力馬は回ってきません。特に今年は芝で未勝利ですし、主戦場となる未勝利戦も後が無い馬ばかりなので、なかなか頼みにくいですよね。

このまま年間10勝程度の騎手で終わってしまうのは悲しいですが、その可能性は非常に高そうです。はやり病が無ければ再び海外遠征して、少しは腕を磨けたと思いますが、今からじゃそれも難しいでしょう。結局、海外武者修行後の一瞬だけ輝いた形になってしまいました。藤懸のように粘り強く続けてチャンスを待つ騎手にはなって欲しくないなぁ。自分でチャンスを掴みに行って欲しかったよ・・・

なんだかこれで終わりのような文章ですが、もうそろそろ野中の応援を終えてもいいかなと思っているのですよ。もう一人の注目若手、坂井瑠星があそこまで活躍してしまうと、毎週毎週少ない騎乗馬と成績のデータをまとめ、落胆するのも辛いですからね。同じ海外武者修行組である坂井瑠星と比べながら追いかけてきましたが、今は菅原やミルコを追いかける方が楽しいですし、秋になれば丸2年になります。それだけの期間があって期待できる何かを見せられなかったのは野中君ですし、そうやって馬主や調教師、関係者の信頼も変化していくもんですから、たかが一ファンの私が諦めたっていいでしょう。

というわけで、野中君には最後に夏競馬で良い思い出を見せて欲しいもんです。

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