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JRA理事長の功罪は?②

思った以上に長くなってしまいました。まさか2014年秋から2015年で①が終わるとは思いませんでしたね。ちょっとペースを上げないとまたダービーの時のような長ったらしい記事を並べる事になりそうです。

2016年(平成28年)
  9月 ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズを開始
10月 凱旋門賞で国内初の海外競馬の馬券発売を実施
   ジャパンオータムインターナショナルの褒賞金の増額
   指定外国競走の勝ち馬なら出走するだけで約1000万円

2017年(平成29年)
  1月 短期免許制度の改正
   全レースのパトロールビデオをHPで配信
  4月 大坂杯がGⅠに昇格
10月 ジャパンCの褒賞金を倍増
12月 ホープフルSがGⅠに昇格

2018年(平成30年)
  1月 騎乗依頼仲介者(エージェント)制度の見直し
  4月 スマッピー投票を開始
  9月 UMACA投票を開始
11月 JBC3競走を京都競馬場で実施
   ジャパンCでの世界レコードに東京競馬場の馬場問題が顕著に

2019年(平成31年)
  1月 一部オープン競走をリステッド競走に格付け
   若手騎手競走の騎乗資格を見直し、勝利度数を撤廃
  3月 女性騎手の減量制度を導入
  6月 降級制度を廃止
   降級制度の廃止に伴い、クラス呼称の変更
   飼料添加物への禁止薬物混入が発覚し、156頭が競走除外に
   それに伴い、給与の10%を3ヶ月返上
11月 ジャパンCの外国馬出走0頭を達成

2020年(令和2年)
  3月 弥生賞の名称をディープインパクト記念に変更
  9月 馬場情報の追加【芝馬場のクッション値】

さて2016年には『JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY』と題して、ケンタッキーダービーを目指そうの会が始まりました。国際畑出身の理事長の肝いり施策なのでしょうか。当初はカトレア賞ヒヤシンスSが対象でしたが、翌年からは全日本2歳優駿、翌々年からは伏竜Sが対象となりました。なお、2020年は流行り病の影響でケンタッキーダービーが9月に延期されましたので、ユニコーンSとジャパンダートダービーも対象となっています。また、あまり知られていないのですが、実は欧州にも『European Road to the Kentucky Derby』というのがありまして、芝とAWで1400~1600mの重賞などが対象となっています。後述する馬場条件を考えるとこちらの方が直結するかなと思います。

ケンタッキーダービーを目指すという意味では良い試みですが、正直な話、ここまでする必要があるのかなと思います。おそらく海外馬券の発売が解禁され、一定のジャパンマネーが転がり込んでくる事を理解したアメリカさんが熱心な誘致活動をしたと予想されますが、そもそも日本の若駒は芝がメインで、ダートは余りモノという傾向があります。最初からダートを使い続ける馬ってそこまで多くなく、エピカリス、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、カフェファラオなどハナから期待されていた馬ぐらいでしょうか。そんな馬達でもケンタッキーには向かいません。なぜなら日本とアメリカのダートは根本から違うからです。

日本はレース中に砂が舞うように基本は砂です。雨が降るとタイムが速くなるのは、砂場に水巻いて砂が固まったと考えれば分かりやすいと思います。一方のアメリカはです。かなり踏み固められているそうで砂が舞うような事はありませんし、どちからと言えばスピードとスタミナで力勝負をするのに向いた馬場です。関係者の多くが日本馬は世界トップレベルだと口を揃えますが、アメリカのダートGⅠを取れるような日本のダート馬はまずいません。日本の芝と欧州の芝の違いよりも大きな差があるわけですから。そのため、そもそも参戦する可能性が低いイベントを始めたのはいかがなもんか、と思います私は。可能性が開けたという意味ではアリかもしれませんがね。

続いてジャパンオータムインターナショナルの褒賞金の増額がありました。ジャパンオータムインターナショナルとは、エリザベス女王杯マイルCSジャパンCチャンピオンズCの4レースをシリーズ化した言葉なんですが、ほとんど聞きませんよね。それくらい外国馬の参戦が稀なのですよ日本競馬は。というか、外国馬が参戦してくれないからって指定外国競走を増やし、さらに賞金を増額するなんて愚行をよくも堂々でできるもんですね。さらにジャパンCでは、1~3着に褒賞金が交付されるのはまだしも、4着以下にも10万ドル出すってんだから札束で顔を叩いているようなもんなのに・・大した知恵ですよまったく。

ところが、そこまでしたのに改善が見られないとの思ったのか、翌年には倍増するってんだから呆れてモノも言えません。さらに2020年には再び増額を決断し、指定外国競走の優勝馬がジャパンCに勝利した場合、300万ドルの褒賞金が追加されることになりました。2.3着でも一気に3倍増となる120万ドルと75万ドル、4着以下でも20万ドルで、ついでに褒賞金の対象外だった馬にも出走すれば10万ドルを出すそうです。ここまで来るともう病的ですね。円○するおじさんが○Kに対して『3万出すよ!ダメ?じゃあ5万!それでもダメなの?仕方ない10万ならどう?』って言うのと同じくらい気持ち悪いですよ。

そもそも、なぜ来ないのかを理解していないのでしょうか。来ない問題があるなら、そこを改善するのが先でしょう。それはもちろん検疫ですよ。農水省はJRAの親分ですが、農水省からすればビックマネーを納めている部下でもあります。そこに圧力を掛けて、根回しをして、何とか競馬場で検疫を受けられるようにするのが先だと思いますよ。それに国際招待競走なのに、来てくれた関係者に対してキチンとおもてなしをしていますか?相手は世界の大富豪ですからね?日本のそれと同レベルで考えちゃダメですよ。国際畑出身の理事長として対応が甘すぎます。

そして2017年には短期免許制度の改正が行われました。従来よりも取得条件を厳しくし、新規の取得者や制裁点が多い場合は取得期間を短くするなど短期免許の外国人を容易に受け入れない姿勢を明確にしました。これは日本の若手騎手にも大きなメリットがあり、反対する人間は短期免許の外国人を傭兵のように起用したい一部の関係者のみでしょう。まぁ短期免許に関しては以下のようにずらずらと記事を書いているので、良かったらご覧下さい。

『短期免許の外国人騎手成績と制度改革の必要性②』
https://note.com/boost_quinty/n/n2c4162dc2857
『外国人旋風は止まらない? 』
https://note.com/boost_quinty/n/nbc29be5903ff
『短期免許の条件は? 』
https://note.com/boost_quinty/n/ndd1a0692a829
『レーン帰国、2年目はどうだった? 』
https://note.com/boost_quinty/n/n4c2fb6fef8ca
『短期免許の取得要件を新設 』
https://note.com/boost_quinty/n/nc9e15820be13

③に続く

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