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レーン帰国、2年目はどうだった?

コロナ下にもかかわらず意気揚々と来日し、2週間の自主隔離期間を置いて鳴り物入りで2年目を迎えたレーンでしたが、ここまで酷いとは思いませんでした。早速、見て行きましょう。

2年目のレーンは大失敗?

まず、レーンの昨年の成績を見て行きましょう。

無題2

続いて今年の成績はコチラです。

無題1

これは残念な数字ですね。ほぼ全ての項目で成績を下げています。しかも昨年より期間が一ヶ月多く、騎乗数は1.5倍に増え、さらに関東No.1ジョッキー戸崎が不在で、馬質は昨年以上のラインナップでした。にもかかわらず、この結果では呼んだ馬主の吉田和美、身元引受調教師の堀先生は目も当てらず頭を抱え込んでいるでしょうね。唯一、上がった項目が勝利数ですが、一ヶ月多く乗ってわずか3勝のアップでは言い訳にもなりません。

人気別で見ていくと、騎乗馬のほとんどが3番人気以上でした。昨年は人気薄で早々に結果を出して有力馬を集め、さらにそれらで結果を出したために依頼が殺到した形でした。そのため1~3番人気は全体の73.6%という高い割合でしたが、今年は最初から期待を掛けられており、ダービーが終了するまでの一ヵ月半で100鞍に騎乗して4番人気以下はわずかに6鞍、1~3番人気の割合は実に94%というとんでもない数字を叩き出していました。しかし、それだけの騎乗馬を確保したにもかかわらず、その期間の成績は28-15-13-44で、勝率28.0%、3着内率56.0%と、レーンクラスではギリギリ及第点といった成績に終わりました。

この体たらくが尾を引いたのか、6月以降は13-15-12-52で、勝率25.0%、3着内率43.4%と大きく落としています。これくらいの数字なら戸崎、福永、ミルコでも記録した数字ですし、三顧の礼で迎えた短期免許の外国人騎手なら期待外れと言えるでしょう。1~3番人気の割合も94%から78.2%に下げており、関係者のちょっと任せにくいなという失望感と、それでも期待したいという願望がせめぎ合っている様子が見て取れます。そして最終的には、以下のような減少幅となりました。

1番人気 勝率  39.5% → 31.4%
        3着内率  63.2% → 58.1% 
2番人気 勝率  39.4% → 19.6%
        3着内率  63.6% → 53.6% 
3番人気 勝率  28.6% → 10.7%
        3着内率  52.4% → 50.0% 

3着内率も下げていますが、勝率はかなり酷いですね。2,3番人気はそれぞれ二割弱も下げており、1番人気ではなければ勝てない騎手に成り下がったみたいです。その1番人気も一割弱下げており、とても短期免許の趣旨に該当するような騎手ではなく、傭兵としても疑問符がつく成績です。

私個人は、そこそこの人気である4番人気の0-1-0-12という数字がレーンを物語っているようが気がします。この4番人気の3着内率が7.6%というのは、私が追っている若手騎手の野中君(46.1%)、坂井瑠星(17.8%)、松若風馬(25.0%)、武藤雅(38.0%)と比べても、やる気無いのか?と思わざるを得ない数字ですからね。さすがにそれはないだろうと。

肝心の重賞成績も2-4-1-8と散々でした。人気は4-6-1-4で4番人気2回、5,6番人気が1回ずつと有力馬を多数揃えただけに、勝ち切れないどころか、馬券にも絡めず沈んでいく馬達を見て、馬主さんはファン以上に落胆した事でしょう。もちろん、アーモンドアイやコントレイル、デアリングタクトといった強い一頭を相手にしている点は考慮しますが、それでも6月以降は持ったままで勝てるカフェファラオ以外の惨敗続きは目を覆うばかりです。

今後のレーンはどうなる?

こうなってくると来年以降のレーンはどうなるのか?という点に目が向きます。まず来日する場合ですが、2019年にコーフィールドCとコックスプレートを勝っており、【過去2年において指定外国競走を2勝以上】という項目に該当するため、2021年の短期免許は取れます。ただし、以下の記事でも触れましたが、今年のレーンは騎乗停止を受けていますので、来年の短期免許は2ヶ月までしか取れません。

『明暗分かれた若手騎手』
https://note.com/boost_quinty/n/n9a2b522978a9

2022年以降については今年の成績にもよりますが、ちょっと厳しそうです。短期免許の条件は①母国のリーディングで指定された順位以内であること、②指定外国競走を2勝する事のいずれかを満たす必要があり、過去2年以内の成績が対象となります。レーンが所属する豪州は運営組織が統一されていないため【ヴィクトリア地区のリーディング3位以内】が①の条件となりますが、これがなかなか厳しい。レーンのリーディング成績は以下の通りです。

レーン 2020年-1

これはJRAが発表している短期免許のリリースです。これ以前の2016/17年シーズンはVIC地区6位でした。豪州のシーズンは8/1から7/31までですが、日本での騎乗停止があるので豪州に戻ってもすぐには騎乗することはできません。しかも、豪州では帰国後の自主隔離がまだ継続しているハズです。そのため2019/20年シーズンの順位をこれ以上上げる事はまず無理でしょう。

2020/21年シーズンも、日本に来日した分だけリーディング争いでは遅れを取りますので、ただでさえリーディングどころか3位以内に入った事も一度しかないレーンが条件を満たすのは相当頑張らないといけません。そうなると①の条件で来日する事は非常に厳しいと言えるでしょう。

次に②の条件についてですが、こちらも意外と難しく、レーンが所属する豪州ではコーフィールドCコックスプレートメルボルンCの3競走のみが指定外国競走の対象となっていますが、それらを2年間、計6レースで2勝するのは至難の業ではないでしょうか。そもそもレーンが勝った指定外国競走はいずれも日本馬に騎乗しての事ですから、新進気鋭の若手騎手とは言え、ちょっと成績を挙げたからって日本に長期遠征していた若造に、そう簡単に有力馬を用意するほど豪州の関係者は甘くないでしょう。

また、日本馬が主要遠征先の一つである香港は、対象競走がチャンピオンズマイルのみであり、年末の香港国際競走は対象にはなっておらず、日本馬を遠征させてレーンを乗せるという方法は取れません。もう一つの主要遠征先であるドバイミーティングはドバイWCシーマCターフの3競走が対象ですが、これに勝てるクラスの競走馬の遠征にわざわざレーンを配するとは考えにくいですね。だってルメールやらマーフィーやらムーア、モレイラなどがいますから。この成績のレーンをわざわざ使います?そう考えると、②の条件も非常に難しいと言わざるを得ません。

以上の事から、2022年に短期免許で来日する事は非常に難しいと言えます。奇跡的にリーディング3位以内に入れたとしても、今年の成績を見たらそこまで有力馬を集中させようとは思わないでしょうし、来年は3ヶ月間フルに乗れるヒューイがいますからねぇ。もし、レーンの馬質をそのままヒューイに流したら、レーン以上になるかも・・と考えるのは自然な流れでしょう。それならレーンには来年リーディング3位以内に入れるように豪州に集中してもらい、その間にヒューイを試すって事は十分考えられます。

いずれにしろ、ルメールに続く使えるJRA所属騎手が見当たらない以上、使える傭兵を確保しておく事は重要ですし、色々とチャンスを与えつつ品定めしていく事は決して悪い方策ではないと思います。できれば、香港はモレイラ、欧州やドバイはマーフィーやムーア、スミヨン、豪州はレーンといった具合に、世界各国に日本と繋がりの深い一流騎手を抱えておくと世界進出時の助けになるでしょう。

私個人は有力馬には外国人騎手や武さんで仕方ないと思いますが、そこまでチャンスの多くない馬なら若手騎手をガンガン連れて行ってほしいですね。活きの良い若手がゴロゴロしている以上、どんどん経験を積ませて行けば川田よりも化ける可能性は十分にあると信じています。



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