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騎手の成績 2020年8月

長かった夏競馬も終わり、久々に騎手の成績を見てみましょう。今夏は東京五輪仕様の悪名高き二場開催の影響でリーディング下位の騎手が大きな影響を受けましたが、同時に中位層の躍進もありました。他にもルメールの未勝利問題、札幌1番人気全敗問題などもあり、見ていくのが楽しみですね。
固まったリーディング順位がどれだけ変化したか、そしてどこまで変化しそうか、早速見て行きましょう。

ルメールに異変?川田も異変?

リーディングトップは今月もルメール。ただ、磐石というわけでもなく、少々異変がありました。まず、8/29,30の1節で未勝利に終わり、国内で騎乗した際の1節未勝利は2018年の1/13,14以来、2年7ヶ月ぶりとの事です。この時は1/13が騎乗停止中でしたので、2日以上騎乗した上で未勝利だったのは2017年の1/21,22以来、3年7ヶ月ぶりだそうです。嵐でも来るんじゃないでしょうか。

春先はドバイ遠征+隔離措置で約1ヶ月も休んでいたにも関わらず、昨年より早いペースで勝ち星を積み重ねていましたが、6月後半から徐々にブレーキが掛かり、ついに未勝利の週が出るという展開となっています。勝利数の流れは以下のとおりです。

1~2月   33勝      東京開催まで
3~4月中旬 21勝(計 54勝)  中山開催まで
4~5月   26勝(計 80勝)  ダービーまで
6月      15勝(計 95勝)
7月中旬      9勝(計104勝) 函館開催まで
7~9月上旬 28勝(計132勝) 札幌開催まで

数字だけ見れば例年のとおりというか、215勝した2018年より速いペースです。関東のNo1,2の騎手が長期休養中だった事を差し引いても例年以上の数字なのですが、6月後半の4日間で5勝、8月末から先週までの4日間で4勝、8/29,30は未勝利などルメールらしくないシーンが見られますし、重賞もヴィクトリアMからレパードSまで3ヶ月弱も勝てずにいました。出来ているが、出来ていないという状態をどう見ればいいのか分かりません。残りの34節で83勝を挙げれば最多勝を更新しますが、果たして秋競馬のルメールはどうなるでしょうか。

一方、4ヶ月連続で2位に甘んじている川田は18勝を挙げたものの、2勝差だった7月期から12勝に差が開いてしまいました。18-15-8-39(1~3番人気は17-13-7-33)は、ちょっと取りこぼしが多いかなぁという気がします。相変わらず勝負弱いなぁと思って特別戦の数字を見てみると9勝も挙げていますし、重賞は京王杯SC以来となる馬券圏内に2回も食い込む活躍を見せました。昨今の川田らしくないですね。ボロクソに言ってやろうかと思いましたが、それなりに頑張っているじゃないですか。新馬が本格化する秋競馬でどれだけ勝ち星を稼げるかがリーディングを獲れるポイントでしょう。私個人の予想は今年も2番手で終わると思います。

3位は22勝を挙げて5位から3位にランクアップした福永。さすが2歳に強い騎手らしく全体の6割にあたる13勝を荒稼ぎしました。それとは別に重賞も2勝し、11年連続の100勝も確実視されるだけでなく、3着内率0.437はキャリアハイでもあります。残り34節ですし、この勢いを維持できたら川田越えとキャリアハイが見えてきます。

4位は15勝を挙げて武さんを交わした松山が入りました。2週間の騎乗停止処分があっても川田と3勝差ですから、なんとも勿体ないなぁと思います。デアリングタクトは秋華賞に直行するようですし、それまでに調子を落とさないように気をつけて欲しいところです。

5位は2ランクダウンとなった武さん。毎週のように勝ってはいるものの、単発に終わってしまう事が多く、12勝しか挙げられませんでした。川田同様、取りこぼしが多く、2,3着は22回(内1番人気が12回)は残念ですね。また、小倉2歳Sを勝ったものの、出遅れからポジションを上げて大外をぶん回しで勝つという、あまり褒められるような騎乗ではありませんでしたし、エアスピネルやランブリングアレー、トゥラヴェスーラ、ダイアトニック、ピンクカメハメハなどの人気馬で大敗するなど期待に応えられない内容は騎乗馬に影響するかもしれません。

躍進と低迷

6位には横山武が21勝を挙げて一気に上位に割って入ってきました。二場開催中でも6勝を確保し、三場開催に戻った瞬間に8勝を挙げる隙のない活躍で、関東No.2の座が見えてきました。特別戦でも8勝を挙げるだけでなく、勝ち星は全て3番人気以上と、馬質が伴わなくても頑張ってきた実力者に馬質が伴った結果がこうなったと考えれば、十分親父の後継と見る事ができます。後はこれを継続できるように頑張ってほしいですね。間違っても秋のローカルに参戦しないようにお願いします。

7位は12勝を挙げた吉田隼人が入りました。6月期からずっと函館、札幌に滞在し、函館記念、クイーンS、札幌2歳Sと重賞を3勝し、ローカルの帝王の名を欲しいままにしましたね。二桁人気で重賞を2勝するだけでなく、人気馬でも勝ちますし、中穴人気で2,3着に入る事11回は馬券ファンに嬉しい存在です。ここまでやれる騎手なんですが、どうしても中央四場には来ないのですよ。ローカルが居心地が良いのか、身の程をわきまえているのか、中舘御大の後継者の立場は当分安泰のようです。

8位は安定したいる藤岡兄ですが、徐々に成績が下がっていますね。8月期は14日間でわずか6勝、約一ヶ月勝ち星無しと苦しい状況で、特別戦の騎乗依頼はあるものの重賞は2戦しか乗れず、今年はずっと安定しているのに低迷しているような印象しかありません。年初の『大レースにはリーディング上位から選ばれる。だからリーディング上位につけたい』という抱負どおりに上位に付けているのですが、肝心要の大レースには乗れていないのは戦略ミスなのかなぁ。

9位は3ランク下げた岩田Jrです。7月期は6日間(内2日はドタキャン)で6勝だったのでまだ許せましたが、8月期は14日間で4勝と散々な成績に終わりました。これは間違いなくお灸を据えられたのでしょうね。なんせ2/15,16にも同じドタキャンをしていますし、3/28には減量失敗による+0.5キロ加算で過怠金10万円、騎乗停止もありますから、後8勝で減量脱出となる2年目の若手にいつまでも良い顔できないといったところでしょうか。さすが関西。秋はローカルからやり直すくらいの心構えじゃないと沈む関西若手の呪縛から逃れられないかもしれません。

10位は今や皆に応援されるミルコが入りました。岩田Jrよりマシな7勝を挙げており、騎乗数の割には2,3着も多いのですが、どうにも馬質が回復する兆しは見られません。そんなに嫌われてるのでしょうか?NHKマイル以降の重賞は0-3-2-10と惜しい競馬が続いていますが、3番人気で6回も掲示板を外しているので、持ってないなぁという印象を受けますね。それは特別戦でも同じで、1~3番人気の有力馬を飛ばす事飛ばす事・・関東の調教師がせっかく良い馬を用意しても、あっさり飛ばしたり、早々に諦める姿勢を見せたら良い顔しませんよね。秋競馬で何か変化を見せられるでしょうか。

固まる顔ぶれに変化あり?

11位は4ランク挙げた三浦皇成が入りました。平場番長らしく平場6勝を含む8勝を挙げますが、三浦クラスでも二場開催は苦しく、7/25,26、8/1,2は未勝利に終わりました。その原因は17回を数える2着10回を数える3着といった取りこぼしでしょう。もちろん中穴以下の馬も居ますが、ちょっと多いですよね。7年連続重賞1勝の記録も微妙になってきましたし、そろそろ三浦を重用するのは終わりにしましょうかねぇ。やはり重賞で勝てる騎手が上位に来るべきですし、平場だけ勝っても評価できませんから。

12位は7勝を挙げた幸ですが、非常に安定していますね。しかもジリジリと順位を上げている点が面白い。10回ある2着の1/3でも勝てればTOP10入りですから、ニコニコした顔してバッサリやるタイプに見えます。はやり病でゴルフに行けずに競馬に集中した上での結果ならなお面白いですね。

13位は田辺ですが、先週土曜に落馬負傷してしまいました。頚椎捻挫という面倒な怪我ですぐには復帰できないかもしれませんが、まずはしっかりと怪我を治して下さい。8月期は5勝ですが、三浦と同様に二場開催は苦しかった様で、その期間はわずか1勝のみに終わっています。横山武に突き放され、ローカルの帝王にも格の違いを見せ付けられ、2ヶ月ハンデがあった三浦にも交わされてしまい、後方から関東No.1が追いかけてくるという状況で、関東No.3の座は守りきれないのは残念で仕方ないです。

14位の団野大成は7勝を挙げ、辛うじて順位をキープしました。7月期はわずか2勝に終わりましたが、8月は回復した形になります。ただ7月期より勝ったとはいえ対象期間は長くなっていますし、先輩若手騎手が躍進し、同期の若手騎手が低迷している状況では、もう少し勝ち星が欲しかったですね。

15位の池添は11勝を挙げて徐々に順位を挙げています。4月末まで30位以下だった騎手とは思えない活躍です。最初からやっていればグランアレグリアも手放さずに済んだかも・・それはないか。池添だもんね。スプリンターズSではタワーオブロンドンでブッコ抜いてくれる事を期待しています。

17位のノリさんも11勝を挙げて順位を挙げていますね。エージェントが無い状態で素晴らしい数字だと思います。かつて自分でそういう事をやってきたから、そこまで苦にならないのでしょう。札幌記念のノームコアも見事な騎乗ですし、リーディングで争うより騎手としての腕を争っているような感じがして年寄りは嬉しいです。

18位の和田竜は7勝、2着11回、3着10回と上々の成績に加えて取りこぼしが多い印象です。夏は得意なイメージがありますが、ここで稼げないとなると短期免許勢が来る秋競馬で順位が下がるかもしれません。今年はどれくらい来るのかにも寄りますがね。全く来ないとは思えないのですよ私は。

19位の坂井瑠星は8勝ですが、キーンランドCで昨秋の中日新聞杯以来の重賞勝ちとなりましたし、期待のモーリス産駒であるカイザーノヴァでOP勝ちもしましたので躍進と言っていいでしょう。バスラットレオンで札幌2歳Sを勝てれば評価が一気に上がったと思いますが。秋競馬でも成長を続け、10月期くらいには団野大成、岩田Jrを抜いてくれると嬉しいですね。野中君の次に応援しています。

20位の西村は4月期の10位から12位⇒17位⇒18位⇒20位とドンドン下がっています。8月期は不注意騎乗を繰り返し3週間の騎乗停止処分を受けたので下がるのは当然なんですが。8/8は前回5/10の騎乗停止からギリギリ3ヶ月以内という部分も持ってないですね。春先のローカル巡りではガンガン勝っていましたが、中央四場に挑戦してから6月期に1勝、7月期にも1勝、8月期に3勝できたけど3週間の騎乗停止という流れでを見ると、彼はこのまま沈んでいく気もしなくはないのですよ。村社会の日本競馬界で筋を通さない態度がどこまで続くかと思ってましたが、意外と粘りましたね。ここから横山武や団野大成、坂井瑠星に逆転するのは一筋縄じゃいかないと思います。私個人は喜ばしい事だと思いますが。

中位以降も変化あり

21位には北村友が食い込みました。1月期77位、3月期60位、6月期31位からの巻き返しとなりましたが、7月期に8勝、8月期に7勝もすれば中位では躍進しますわな。過去2年ほどに回復するのは難しいかもしれませんが、若手の壁になってほしいと思います。

22位の松若風馬は6勝を挙げましたが、二場開催中は新潟で1勝のみと露骨に影響を受けました。三場開催の8日間で5勝なので、例年通りならもっと数字は上がったと思います。このクラスだと3週間は大きな差でしょう。やはり今年の五輪日程は失敗でした。理事長の功罪シリーズでも書きましたが、こういう部分にもっと目を向けられないもんでしょうかねJRAさん。2週間の夏季休暇導入を目指して下さい。

25位の亀田は8勝を挙げる活躍を見せました。このクラスでは大きな数字です。勝ったシーンはいずれも先手を取ったものですし、人気薄ではそれだけではなく後方一気で3着に食い込むなど北海道シリーズの走り方を掴んだような成績です。秋競馬でこの勢いが維持できるとは思いませんが、西村より注目したいですね。

30位の丹内は大躍進と言っていいと思います。あと5勝でキャリアハイに並びますが、それの躍進を支えたのは間違いなく函館から続く北海道シリーズでしょう。27勝中16勝を今夏の北海道シリーズで挙げており、10番人気で重賞まで勝ってしまいました。師匠も函館が地元の丹内が中穴をガンガン持ってきてくれると喜んでおりましたね。マイネル軍団の主戦の座を大知と激しく争っていましたが、これを続けられたら大きく前進すると思います。

30位以下の注目は?

30位以下はメンツがあまり変わりません。北村宏、浜中、斎藤新、武藤雅、藤田、内田などですね。浜中はもっと上でも良いような気がしますが2,3着19回は多いですよ。その1/3でも勝てたら20位台の上位ですし、安心できるポジションなのですが。36位の戸崎はさすが関東No.1というところを見せ、関屋記念、新潟2歳Sと重賞2勝を含む10勝を挙げました。長期休養明けでも淡々と勝利数を伸ばせるのはさすがです。

武藤雅、藤田、内田は相変わらずこの辺をウロウロしており、なかなか上位へ抜け出す事ができません。特に藤田は得意の新潟で4勝に終わったのは誤算だったかもしれません。減量が取れた今年が勝負でしたが、まだまだ話題先行なのでしょう。それから若手の菅原はもっと上に来るかと思いましたが、伸び悩んでますね。もう少しローカル回りが必要かもしれません。ルーキーの秋山は札幌で6勝、函館で2勝を挙げて話題になりましたね。何か掴めた部分があるのかもしれません。スタートダッシュが良かった泉谷に追い付け追い越せで頑張ってほしいと思いますが、調子乗る事だけはダメですよ。

見限るぞ野中

我らが野中君を応援して何年が経ったでしょうか。noteで大々的に応援を始めてからもうすぐ一年ですね。何度も期待と絶望を繰り返してきましたが、堪忍袋はそろそろ一杯です。穴太郎としてだけでなく、スリーアウト回避要員、賞金確保要員としての需要はあるのでしょうが、もっと高いレベルでの野中君を見たいのです。我らが野中君はそれができる人だと思ってました。

ところが昨秋からの大不振が尾を引いて、良かった頃の思い切りやコレはと思わせる騎乗が少なくなったように思います。それが騎乗馬の質に繋がり、主戦場である未勝利戦で苦戦する要因になっているのではないでしょうか。

8月期は未勝利、2着も2回、3着も2回、たまに引いた有力馬も着外へ飛ばしてしまえば成績向上なんて夢のまた夢です。もしかして私のせいですかね。私が応援する馬は軒並み敗れるのですよ。この一年の馬券収支がそれを証明していますから。という事は、私が野中君の応援を止めたら野中君の成績が上がる可能性もありますね。もしそうならやってみましょうか。

まぁこのままの状況が続くのであれば、来月末のnote1周年で野中君の応援をガッツリ止めます。50位くらいに居るなら応援継続もありますが、もう5年以上騎手やってますし、伸び代も予想が付きます。田辺のように遅咲きの可能性も否定しませんが、現在の関東には活きの良い若手ルメール短期免許の外国人が居ますからね。それらを差し置いて成績が向上するとは、現状からすればまず考えられません。

もちろん、再度海外武者修行に行くとか、地方行脚を始めるとか、フリーになるとか、自分で何かしらの変化を起こせば違うのでしょうが、そこそこ上位の兄弟子と話題の妹弟子に挟まれ、師匠の真似事をしている現状に満足しているようにも見えるのですよ。だから騎乗が甘く見えるのです。

いずれにしろ、秋の2歳馬で良い所を見せなきゃ騎手人生が窮地に立たされる事を覚悟した方が良いと思いますね。



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