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到来するか、若手の時代が②

①から続く

若手若手と言っても、ローカルに回らず中央四場に拘って騎乗を続ける、あるいはローカルは状況に応じてたまに行く、という騎手もいます。

代表的な騎手といえば、我らが野中君、武藤雅、坂井瑠星、川又、岩田Jrなどでしょうか。結果を残しているかどうかは別にして、リーディング上位がひしめき合う中に飛び込んでレースを続けるのは並大抵の精神力じゃできません。特に我らが野中君のように、騎乗数には恵まれても有力馬には恵まれず、勝ち星が伸びずにいると焦りの一つ二つあっても全くおかしくありませんし、むしろもっと焦ってがむしゃらな騎乗を試みるもんです。まぁ我らが野中君は達観してるのか、あまり焦りが見えないというか、厩舎の陣頭指揮の一翼を担っている分、どっちつかずになっている印象もありますが。

では、そうした若手の面々はどのような成績になっているのでしょうか。

まず最初は、やっぱり岩田Jrからでしょう。4/12現在、24勝でリーディング8位につけ、特別戦はもちろん重賞にもバンバン騎乗している若手でも1,2を争う騎手です。とても2年目とは思えませんね。特筆すべきは勝利数よりその中身で、24勝中10勝が1番人気、15勝が1~3番人気で挙げています。また、2着25回の内、1番人気は4回、1~3番人気は14回である事から有力馬が集中している事は間違いないですし、その大半が中央四場である事を考えると父親の七光りが無いとは言い難いでしょう。

それはそれで個人の力量と言えなくもないんですが、ローカルであれだけ有力馬を集めるのはちょっと引きますし、ローカルは卒業で良いと思うのですが。個人的にはそこまで重宝する騎手かなぁと思いますし、特別戦の勝ち鞍も少ないので減量取れた時が楽しみだなとニヤニヤしながら眺めています。

続いてギリ若手騎手の松若風馬は、先の高松宮記念でGⅠ初制覇を果たした若手のトップジョッキーです。ただ、今年はちょっと出遅れ気味で4/12現在、12勝でリーディング29位と苦戦しています。春競馬までローカル主体で騎乗していたのがマイナスになっている印象で、もうローカル回りしなくても良いと思うのですが本人はどう考えているのでしょうか。エージェントが今をときめく松山やベテラン芸人の和田と同じですし、トップトレーナーでもある自厩舎の馬に騎乗する事もあるのでどっちつかずになってるような気がしないでもないです。年平均50勝とコンスタントに勝つ安定感が売りですが、一皮向けてほしい部分もあるので、GⅠを制した今がその時かと期待しています。

それからすぐ下のリーディング30位には11勝の坂井瑠星がいます。昨年、初重賞を含む重賞3勝を挙げたものの、30勝に留まり、師匠や先輩から厳しい指摘を受けていましたが、今年はここまでキャリアハイのペースで勝ち星を量産。先日の東京スプリントで地方重賞を制して勢いに乗りたいところですね。こちらも自厩舎の馬に騎乗する機会が多く、今をときめくトップトレーナーの矢作先生があちこちに遠征させるもんだから、一日一鞍の日もあるくらい騎乗機会が制限されています。そんな状況でこれだけの結果は褒めて良いと思います。騎乗数は少ないけど重賞や特別戦にガンガン乗せてもらえるわけですから、そりゃローカルなんか行ってられないですよね。松若同様、師匠に恵まれた一人ですし、今後も注目していきたい存在です。

先々週に腰をやって休業中の武藤雅は、4/12現在、10勝でリーディング35位。成績の中身も有力馬の騎乗が少なく、中穴人気をよく馬券に絡めるという横山武の下位互換といった成績ですが、関東の若手にしては良い方です。ローカルに回らずこの成績を上げ、3年目で早々に100勝を達成し、海外遠征の経験もあるのでもっと伸びてほしいのですが、腰痛で離脱は印象が悪い。慢性的なものか、一時的なものかでも評価が分かれるでしょうが、いずれにしろベテランならともかく若手ですからね。今後が不安です。

鮫島克は春競馬までは小倉ベッタリで、中京開催以降は乗り鞍が集まりそうな場所を選んでいる印象を受けます。小倉大賞典で初重賞制覇を果たし、勢いに乗って人気薄の3着は増え、メインRにも騎乗でき、大阪杯のカデナも見事だったのですが、勝ち星的にはそこまでペースは変わらない様子。特別戦の勝ち鞍も若手の中では多いですが、物足りないと言えば物足りない。ローカルにベッタリする必要はないと思いますが、かといって中央四場で騎乗馬が集まるわけでもないのが痛いところ。カデナのようなお手馬がもう1,2頭いると良いのですが、古馬もクラシックも目ぼしいのが居ないという非常に難しい立場だと思います。

木幡巧もローカルには見向きもしない一人。今年3年ぶりに16番人気で重賞を制しましたし、ダービー卿CTも13番人気で2着と一応の成績は残しています。ここ2年ほどローカルを回っていましたが、今年は中央四場に拘っており、一皮むけようと努力している印象があります。4/12現在9勝は年33勝のペースなので、今のところその成果は出ていると言えますし、GⅠシーズンにどう騎乗馬を集められるかで成績が大きく変わるでしょう。

川又は中央四場とローカルを半々くらいで騎乗し、成績も半々くらいの結果です。騎乗数は決して多くなく、有力馬に騎乗する機会も少ないのもあって馬券に絡むのは人気薄ばかり。デビュー早々にフリーになり44勝を挙げるも、活躍した翌年以降に尻すぼみになる関西若手特有の流れに逆らえず今に至ります。ローカルに回りたいのを我慢しているのか、回っても騎乗馬が無いなら行かなくていいやと思っているのか分かりませんが、決して良い流れではないと思いますし、もっと足掻く必要があるのではないでしょうか。

石川裕紀人もローカルに向かわない一人ですが、関東の若手らしくここ3年は成績が低迷しています。昨年は重賞2つ勝ったものの勝ち星は30勝の大台に届かず、騎乗数は4年前から4割減となっており、ローカルに回っても良さそうな雰囲気があります。しかし、なかなか足は向きませんね。低迷して4年目ですし、そろそろ期待に応える何かを見せないと活きの良い後輩に取って食われる可能性もあります。

そして我らが野中君は泣きたくなる様な惨状から抜け出せずにいます。昨年は勝てば狂喜乱舞していましたが、今年は馬券に絡めば狂喜乱舞するくらいの落ち込み様で、何もかもがうまく行っていない印象を受けます。特に昨年12月の絶不調をそのまま引きずって新年を迎え、もがいている内に減量が取れてさらに苦しくなっていく姿は見るのも忍びないくらい。今の環境が心地よいという話をしていた事もありましたが、それでは現状から抜け出せないですし、海外に行くなり、エージェントを変えるなり、フリーになるなり、何かしらの変化を求めないとマズい状況だと思います。もう不安と心配で仕方ないですね。

とまぁこのように若手を見て参りましたが、全体的に言えるのは世代交代が進みそうな気配がするって事です。リーディング20位までに4人の若手がおり、21~40位に7人もいれば誰かしら突き抜けるだろうと思いますが、それには特別戦の勝ち鞍が3ヶ月半で平均2.5勝は少な過ぎますね。横山武や鮫島克が5勝していますが、皆これくらいは勝ってほしいし、これくらい勝てれば世代交代は近くなると思います。無観客競馬が続く春競馬ですが、今だからこそ下地を作って夏競馬、秋競馬で世代交代を印象付ける何かを見せてほしいところです。


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