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柳田泰己騎手 逝去

ニュージーランドを拠点に活動していた柳田泰己騎手が、現地時間9日に亡くなった事が分かりました。

柳田騎手は、先週水曜にケンブリッジ競馬場の最終レースに騎乗した際に、ゴールまで約250mの地点で落馬しました。病院に運ばれる前から意識は無く、頭と脊椎に深刻な損傷を受け、人工的な昏睡状態という処置を受けていましたが、どうやら日本から駆け付けた母親ら家族が尊厳死を選択(もしくは延命措置の停止)したようで、残念ながら帰らぬ人となりました。

柳田騎手は、騎手を目指して2013年に「大山ヒルズ」で下積みを開始し、ニュージーランドに渡ってからはオサリバン厩舎で働きながら2017年10月にデビューしました。昨シーズンはキャリアハイの42勝を挙げ、GⅡウェストバリークラシック、GⅢサンラインヴァーズを勝つなどの活躍を見せ、通算1577戦162勝の成績で今後が期待されていた騎手の一人だったそうです。

訃報を受けた関係者は以下のようなコメントを発表しました。

■池添謙一騎手
柳田泰己くん 知り合って、2か月も経ってません。色々話をしようと、相談させてくださいと言われてまだ全然できてなかった。ただただ残念でなりません。ご冥福をお祈りします。

■藤井勘一郎騎手
ビザを自分で手配しながら、海外で騎手活動をしていた事。本当に騎手という職業が好きだったんだなと思います。人生をかけて戦った騎手。ご冥福をお祈りいたします。

■佐藤弘典(大山ヒルズで柳田騎手に馬乗りを教えた)
素人の状態から門をたたき、海外ジョッキーになるんだという夢を達成し、喜んでいた。本当に残念でかわいそうで仕方がない。あまりにもショックで空っぽになった感じです。

■大山ヒルズ関係者
マジメで野心があって騎手になりたい気持ちがブレなかった。最初は右も左も分からない状態だったが、努力を重ねて『行ってきます!』と海外へ飛び立ったことを覚えている。


SNS上ではニュージーランドの同僚や競馬関係者、ファンが「タイキのために祈ります」「タイガー(柳田騎手の愛称)、回復してください」「タイキ、あなたにはみんながついています」と次々にメッセージを寄せていましたし、地元メディアは「礼儀正しく、献身的な若者を忘れない。タイキは夢を叶え、それは彼から決して奪うことはできない」(オタゴ・デイリー・タイムス紙)、「(ニュージーランド)北島で最も躍進している人気ジョッキー」(ニュージーランド・ヘラルド)などと報じていました。

本当に残念でなりません。騎手と言う職業柄、いつ何時こういう事が起きるか分かりませんが、騎手はそれを覚悟で騎乗します。勝てない騎手や下手を打った騎手をネット上で叩く人はいますが、その前にいつ死んでも不思議じゃない世界で騎乗を続けることはとても勇気があることです。

日本でもこうした事故が起こらないように安全を重視したレース、方策を心掛けてほしいですね。柳田泰己騎手のご冥福をお祈り申し上げます。


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