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騎手の成績 2020年6月

宝塚記念が終了し、上期の競馬が終了しました。既にスタートしている2歳戦も未勝利戦が始まり、続々と若駒がデビューする季節に突入していくわけですが、振り返ってみれば早い上期でしたねぇ。騎手の受難、無観客競馬、移動出走制限と次々とレアなケースが飛び出して退屈しない上期だったと思います。来週以降も無観客競馬は続きますが、一日も早いコロナの終息と安全で公正な競馬がファンの前で実施される事を願っています。

さて、恒例の騎手成績ですが、6月期で半年分が確定しました。全部で13回の予定でしたが、7週も続く新潟・札幌開催で分割するのも面倒なんで12回の予定に変えようかと画策しております。ちなみに予定では7月期は福島・阪神・函館競馬の終了後、8月期は新潟・小倉・札幌競馬終了後、秋競馬は開催毎を予定しています。では早速、見て行きましょう。

ルメールに異変?踏ん張れるか川田

半年が経過した時点のリーディングは6月期15勝を挙げたルメールが堅守しました。相変わらず強いですね。ただ、毎年この時期は勢いが落ちるように重賞勝ちはありませんでした。この時期は重賞が少ないですし、過去にもユニコーンS、安田記念、エプソムCだけなので仕方ないとも言えますが、今年はレーンに騎乗馬を奪われている印象を受けます。アーモンドアイの敗戦に象徴されるようにルメールの時代に陰りとならなければ良いのですが。

2位も変わらず12勝を挙げた川田でした。勝つには勝つんですが、どうにも頼りない印象を受ける川田。昨年の勢いはどこへ行ったのでしょうか。重賞もオーシャンSを最後に未勝利が続いており、春競馬の重賞成績は0-2-1-16で、3番人気以上に限定すると0-1-1-8となっています。その3番人気以上も中山・阪神開催までは0-1-0-7、それ以降は0-0-1-1ですから、人気を裏切って騎乗馬の質が下がっているように見えます。あれだけハンデを貰ったのにリーディングを取られて為す術がないといったところでしょうか。勝率、連対率、3着内率、特別戦の勝利数はトップなんですがね。肝心要の重賞成績が悪ければ、見放されますよ。

3位は2月期から守り続けている武さん。5月に引き続き、しばらく無かった重賞勝ちを含む8勝を挙げ3位を堅守していますね。新馬で3勝しているように今から来年のクラシック、むしろ年末の2歳GⅠに向けた騎乗馬を探していってほしいです。何が何でも朝日杯とホープフルSは勝ってほしいと思ってるのは私だけは無いハズです。あとは松山に迫られていますが、有力馬での取りこぼしが多い気がします。6月期の1~3番人気での2,3着は16回ですから、もう少し減らせれば川田の背中が見えるかもしれない。

4位も3ヶ月連続で松山がランクイン。先月は落馬負傷による休養もあって6勝に止まりましたが、6月期は週4勝を2度達成して12を挙げる活躍を見せます。上位3人と違い、中穴や人気薄で2,3着に入るケースも多く、馬券を買う側としてはおいしい存在です。北村友が宝塚記念を勝って気を吐きましたが、こちらも全く負けてません。春競馬の勢いそのままに夏競馬で暴れて欲しいですね。

5位も3ヶ月連続で福永でした。上位の顔ぶれはほとんど変わりませんね。抜けた人気馬に乗せた福永は安心でき、6月期の12勝の内、1番人気は7頭、1倍台は5頭いるので、確勝級では信頼しています。半年が経過しての55勝は11年連続の100勝が期待できそうです。

6位は徐々に順位を上げてきた岩田Jrですが、6月期は6勝に止まりました。ところが上の藤岡兄が3勝とブレーキが掛かったために順位は一つ上がりました。ただ、特別戦の勝利が少なく、もちろん重賞勝利もないのですが、減量が取れたら不安である事は間違いありません。減量が取れるまであと17勝ですから、活躍次第では8月にも減量が取れる可能性があるので、夏競馬の間に減量がなくてもできるところを見せたいですね。個人的には函館に参戦してバチバチやってほしいところです。

7位の藤岡兄は移動制限があった5月期は11勝を挙げましたが、移動制限が解除された6月期はわずか3勝と勝ち星を1/4に減らしました。函館には開幕から参戦しているものの、リーディング上位とは思えないほど騎乗馬が集まらないのが原因でしょう。GⅠにも騎乗しないし、リーディング上位の矜持を見せて欲しいのですが。

8~10位は39勝で並ぶ大混戦で、抜け出したのは吉田隼人でした。ローカルの帝王はローカルの季節が終わってどうなるかと思いましたが、6月期は6勝を挙げてランクを一つ上げました。それにミルコが続くのですが、6月期はわずか2勝と大ブレーキです。関西圏では一日一鞍もあるように干されているのは間違いないようで、6月期はわずか31鞍にしか騎乗していません。それでも馬券圏内は12回、3着内率38.7%は素晴らしい数字ですし、トータルの35.4%は5本の指に入る数字ですから、まだまだ衰えているようには見えません。

そして2着の少なさで後塵を拝したのは横山武です。函館で8勝を挙げてランクを3つも上げた関東期待の若手が10位にランクインしました。相変わらず中穴でも勝てるセンスは父親譲りでしょうか。4~9人気で17勝、二桁人気で4勝は狙わずにはいられませんね。特別戦勝ちも多く、夏競馬で重賞勝ちでもすれば秋に主役を張れるかもしれません。

変化があったリーディング中位

顔ぶれが固まってきたと思っていたリーディング中位は変化がありました。まず、変化の無いところは11位の団野大成、15位の田辺、16位の和田、19位のノリさんです。

団野大成はローカル開催のリーディングに毎回絡むものの、惜しいところでトップに手が届きません。6月期も函館で8勝を挙げており、函館リーディングを狙える様相が無いわけじゃないですが、横山武が高い壁として立ちはだかっています。ただ、特別戦も勝って一皮向けた印象もありますし、北海道で騎乗を続けて腕を磨いてほしいと思います。田辺、和田、ノリさんは揃って4勝を挙げており、このクラスでは淡々と勝ち星を稼いでいる印象です。この辺は若手の壁になってほしいですね。

一方、変化があった組は13位の三浦はレーンと競り合い順位を3つ上げ、18位の池添は7つも順位を上げています。逆に14位の幸は4つ、17位の西村は5つも順位を下げています。

三浦は一時はレーンより上位に居ましたが、最終的には2着の差で先を譲りました。それでも東京で8勝を挙げ、レーンに簡単に勝たせないぞ!という気概が見受けられます。平場番長としてレーンごときには負けないで欲しいです。池添は安田記念でアーモンドアイを撃破する金星を含む10勝を挙げて一気に順位を上げてきました。開幕週から参戦する函館では格の違いを見せて8勝を挙げていますし、宝塚記念で12番人気のモズベッロを3着に導く好騎乗。まだまだ池添から目が離せません。

下げた組の中でも明暗は分かれているようで、幸は6月期に5勝を挙げており、勝ってはいるけど他がそれ以上に勝って順位を下げました。決して幸の成績が悪いわけではなく、ほぼ例年通りです。というか、2000年からずっと50勝前後をキープしているのは驚きですね。

問題は西村です。6月期はわずかに1勝、トータルで1-2-2-52という大不振でした。原因は分かっています。ローカルに回らなくなったから。前々から申し上げているように、西村はローカルでしか勝てません。中央四場で挙げた勝利数とその割合は、今年は4勝(12.9%)、昨年は6勝(10.9%)、一昨年は5勝(38.4%)で、まさに減量を生かしたローカル専門騎手という印象しかありません。5/16に減量が取れた以降の大不振なので、もしかしたら減量が取れた事も理由の一つかもしれませんね。調子に乗った関西若手の末路はいつも同じなのでしょうか。

虎視眈々と上位を窺う騎手たち

リーディング21位以降は数字的にも、いつ上位に顔を出してもおかしくない騎手ばかりです。21位の松若風馬はなかなか有力馬が回ってきませんでしたが、4勝を挙げて上位から離れません。どんな人気でも馬券に絡む魅力がある一方で、1~3番人気であっさり負ける脆さもあります。初GⅠ勝ちをした今こそ、さらなる飛躍を期待したいです。

23位の岩田父は落馬休養からスピード復帰で早々に勝利を挙げましたが、元々はリーディング10位前後にいた騎手ですから、分散するこの時期に油断すると上位陣は獲って喰われる可能性は高いです。歳も歳なんで怪我だけは無いようにお願いします。

24位の坂井瑠星は6月期3勝と一息入りました。函館の開幕から参戦していますが、そこでわずか1勝しか挙げられず、どうにも函館が苦手なようです。昨年も開幕から参戦しましたが25戦未勝利で、しかも落馬して1ヶ月以上の休養しましたから、苦手意識があるのかもしれません。有力馬が回ってこない分、チャンスは逃さず頑張ってほしいですね。

26位の菱田は函館5勝で順位を6つも上げました。春の中京でリーディング争いをしていたので、これくらいやれる実力はあります。ここ数年低迷していますが、半年が経過したところで22勝なので4年ぶりの40勝を超えを狙えそうですし、吉田隼人をローカルの帝王から引き摺り下ろすくらいの気持ちで勝ち星を挙げてほしいです。

29位の亀田は函館で6勝を挙げて順位を9つ上げました。3月期3勝、4月期0勝、5月期3勝からすれば大活躍ですね。1番人気の新馬を任されているように減量の取れた西村に替わって目を掛けられている可能性もあります。前年比の3着内率の上昇率は岩田Jrに続く全体2位ですし、まだ30勝そこそこなので減量取れるの先の話ですし、夏競馬で減量の恩恵を最大限に生かして荒稼ぎしたらガチで西村の替わりになりそうです。

30位以下で気になる騎手

30位以下で気になるのは北村友、浜中、斉藤新辺りでしょうか。北村友は宝塚記念で圧勝したように普通に乗れる騎手です。しかし、素行というかお行儀の悪さで騎乗停止が響き、お手馬を武さんに奪われたりと散々な春シーズンだったでしょう。ただ、デビュー以来、手綱を放さないクロノジェネシスをグランプリ制覇に導きましたし、彼レベルの騎手ならコツコツと信頼を回復していく事が成績アップの近道だと思いますね。

浜中は昨年、落馬負傷の影響で11年続いた年間50勝が途切れ、春競馬から復帰した今年は18勝に止まっており、不安な目で見守っている今日この頃です。エージェント的にどうしても3番手になりますし、新人の泉谷にも騎乗馬を回されていたら目も当てられません。ただ、6月期は6勝を挙げており、まともならコレくらいは当たり前の騎手ですし、巻き返しだって容易です。夏競馬でうまく騎乗馬を分散させて4人を効率良く使って下さいよエージェントさん。

斉藤新は6月期未勝利で、2年目の7人の中では完全に置いて行かれましたね。関東の小林凌、休養中の大塚はともかく、岩田Jr、団野大成、亀田には完全に差を付けられていますし、落馬負傷があった菅原も6月期3勝と徐々に取り戻しています。西村より一足早く中央四場に主戦場を移したはいいですが、結果が伴わず西村同様、苦しい状況に。昨年の最多勝利新人騎手の勢いは取り戻せるのでしょうか。

我らが野中君は大幅アップ!!

野中君は一時は目を覆うばかりの成績でしたが、6月期3勝で一気に68位までジャンプアップしました。呼応するように3着内率も改善し、ワースト7から昨年並みに戻しています。しかし、ここから上がる事は容易ではなく、2勝しても3つ、3勝しても7つしか上がらず、昨年の43位は遠いですね。オセアグレイトの失敗もそうですが、驚きの215連敗も響いていますし、ここ2週は有力馬での取りこぼしも目立ちますので、その辺の改善がほしいところ。

ただですね、来週からの福島は中山に似たコースですし、昨年は芝コースで東京並の勝率6.7%、3着内率17.8%を記録しているので意外と期待できるのですよ。うまく噛み合ってポンポンポンと勝てば流れに乗れますし、まずは1勝、できれば福島で3~5勝、新潟で7勝くらいを目標に頑張ってほしいです。

なんなら新潟じゃなくて札幌行ってもいいんですよ?意外と遠征してきた関西の調教師さんも乗せてくれますし、野中君自身が小回りのコースが合いそうな雰囲気もありますし。少なくとも夏の間に二桁に到達してくれると踊り狂えます。



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