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DJ Boonzzyの第66回グラミー賞大予想#3〜ロック&オルタナ部門

今週くらいから日本で毎年独占中継しているWOWOWでもグラミーのプレ番組がぼつぼつ始まってますね。こちらの予想の方も急ぎましょう。次はロック&オルタナ部門の予想。


9.最優秀ロック・パフォーマンス部門

  Sculptures Of Anything Goes - Arctic Monkeys
  More Than A Love Song - Black Pumas
◎ Not Strong Enough - boygenius
○ Rescued - Foo Fighters
✗ Lux AEterna - Metallica

毎年のグラミーの傾向の一つとして、主要4部門にノミネートされたけど、そこでの受賞の目が薄いアーティストは、自分が属するジャンル部門でしっかり受賞を確保していく、というのがあります。このロック部門もその例外ではなく、昨年この部門受賞のブランディ・カーライル(ROYとアルバム部門ノミネート)なんかはその典型的パターンだったわけです。で、この顔ぶれの中で唯一主要部門(ROYとアルバム部門)にノミネートされてるのがジュリアン・ベイカー、フィービー・ブリッジャーズ、ルーシー・ダカスによるインディ・フォーク・スーパーグループのボーイジニアス。業界でも評価の高い彼女達のこと、楽曲も判り安くアップビートなインディ・ロック・ナンバーなので、ここはこの部門でがっちり受賞していくだろう、ということで本命◎はボーイジニアス

一方、ボーイジニアスがいなければおそらく間違いなく本命◎候補だっただろう、と思われるのがフーファイの「Rescued」。一昨年の64回でもこの部門を含めソング、アルバムとロック部門3部門受賞、ロック関連部門では過去13回と圧倒的な強さを誇るフーファイ、今回のこの曲はドラマーのテイラー・ホーキンスの死去による喪失感を歌ったということで対抗○はもう間違いなく彼らでしょう。

そして穴✗は、7年ぶりとコロナ期をまたいで間を開けていながら、キャリアを積み重ねてもなおハイスピード・メタルな安定したソリッドな楽曲満載のアルバム『72 Seasons』をリリースしたメタリカの、メインストリーム・メタル・ロックのお手本というか、教科書に使ってもいいようなそんな絵に描いたようなシングル「Lux AEterna」しかないでしょうね、これも。

10.最優秀メタル・パフォーマンス部門

  Bad Man - Disturbed
○ Phantom Of The Opera - Ghost
◎ 72 Seasons - Metallica
✗ Hive Mind - Slipknot

  Jaded - Spiritbox

そうなってくると、この部門、そのメインストリーム・メタル・ロックのお手本の王道アルバム『72 Seasons』のメタリカ以外に本命◎はないはず。従ってこの部門は対抗○が誰か、というところに興味が絞られてくるわけですが、これがよく言えば、いずれ劣らぬ顔ぶれで、悪く言うとダンゴ状態のラインアップ。そんな中で他の4組のうち唯一この部門で過去受賞経験のあるのがスウェーデンのコスプレ・メタル・バンド、ゴースト。彼らがいろんな曲のカバーをやった5曲入りEP『Phantomime』からの、アイアン・メイデンのカバー曲「Phantom Of The Opera」がもしメタリカに対抗できる可能性ありかな、ということで対抗○は彼らに。

穴✗は更に難しい(というかほぼほぼ受賞の可能性はゼロ)ですが、対抗○がコスプレ・メタル・バンドならええい、穴✗もコスプレ・メタル・バンドのスリップノットにしてしまえ!というわけでもないんですが(笑)残りの3組の中では最も実力派と思われるスリップノットにしておきました。ただこの曲の入ったアルバム『The End, So Far』って2022/9/30リリースなので、ホントは対象期間前のはずなんだけど、おかしいなあ

11.最優秀ロック・ソング部門(作者に与えられる賞)

✗ Angry - The Rolling Stones (Mick Jagger, Keith Richards & Andrew Watt)
  Ballad Of A Homeschooled Girl - Olivia Rodrigo (Daniel Nigro & Olivia Rodrigo)
  Emotion Sickness - Queens Of The Stone Age (Dean Fertita, Joshua Homme, Michael Shuman, Jon Theodore & Troy Van Leeuwen)
◎ Not Strong Enough - boygenius (Julien Baker, Phoebe Bridgers & Lucy Dacus)
○ Rescued - Foo Fighters (Dave Grohl, Rami Jaffee, Nate Mendel, Chris Shiflett & Pat Smear)

ああ、この部門でもストーンズと、ボーイジニアスフーファイが群を抜いて光ってるんですよねえ。そして先ほどの「主要部門ノミネート作品がジャンル部門でガッツリと受賞する」の法則に従うと、やっぱりここの本命◎もボーイジニアスの「Not Strong Enough」で、フーファイの「Rescued」は対抗○ということになっちゃうんですよね。フーファイ、惜しいなあフジロックであのとてもエモーショナルでハイテンションのライブと、一言も具体的なコメントなないけど、全体に亘ってテイラーの喪失感が強く感じられるあの雰囲気を思うと、ここはできればフーファイに受賞してほしいところですが、まあボーイジニアスなんでしょうね、ここは

同じようなことはストーンズにも言えて、「Start Me Up 2.0」と言ってもいいレベルのインパクトとカッコ良さ(しかもそれを80前後のオッサン達がやってるというこの事実)から言って、世が世ならストーンズの「Angry」は間違いなく本命◎レベルなんですが残念ながら、このラインアップだと穴✗に甘んじざるを得ないんだろうなあ。これももったいないなあ
ちなみに同じ主要部門にノミネートされてるオリヴィア・ロドリゴの曲もここでノミネートされてますが、あのアルバムの中でもロックとして傑出してる曲とは思えないし、ここは無印です。

12.最優秀ロック・アルバム部門

◎ But Here We Are - Foo Fighters
  Starcatcher - Greta Van Fleet
○ 72 Seasons - Metallica
  This Is Why - Paramore
✗ In Times New Roman… - Queens Of The Stone Age

と言ってたら、このロック・アルバム部門、ボーイジニアスのアルバムが次のオルタナ部門に行っちゃった関係もあって、晴れてフーファイの『But Here We Are』に本命◎付けられる状況。このアルバムと、メタリカの『72 Seasons』はロック・アルバムとしてはいずれも劣らぬ内容なんですが、やはりここはテイラーの陰を背負った分フーファイが強いということで、本命◎はこの部門過去7回ノミネートで5回受賞のフーファイ、対抗○は過去2回で未受賞のメタリカしかないでしょう。

穴✗については、正直パラモアQOTSAのどちらでもアリじゃないか、と思うほどこの2つのバンドのアルバムも今回いい出来だったと思うので悩むところ。一応QOTSAがソング部門にもノミネートされてる、ということでQOTSAに付けましたが、パラモアの方はこの次のオルタナ・ミュージック・パフォーマンス部門に何故かノミネートがバラけてるんですよね。なのでそっちの方でちょっと面倒見ることにしました(笑)。

13.最優秀オルタナティブ・ミュージック・パフォーマンス部門

  Belinda Says - Alvvays
  Body Paint - Arctic Monkeys
✗ Cool About It - boygenius
◎ A&W - Lana Del Rey
○ This Is Why - Paramore

パラモアがロック部門とオルタナ部門にノミネートがバラけてることに象徴されるように、とにかく毎年グラミーでの「ロック」と「オルタナ」の線引きの基準が全く不明なのが個人的にはちょっとイラッと来ますね。今年のパラモア以外にも2021年第63回のフィービー・ブリッジャーズ(ロック・ソング部門とオルタナアルバム部門)とか、2020年第62回のヴァンパイア・ウィークエンド(同上)とか2019年第61回のセント・ヴィンセント(同上)とか、枚挙に暇がありません。まあそれはいいとして、今年のこの部門は、またまた例の「主要部門ノミネート作品がジャンル部門でガッツリと受賞する」がどうやら有効のようで、今年ソング・オブ・ジ・イヤーにノミネートされてるけどおそらくそっちでは受賞できそうにないラナ・デル・レイの7分に及ぶインディ・プログレ・ポップ作品とでもいうべき「A&W」に本命◎を付けるのが順当なんでしょうね。

その主要部門にノミネートされててロック部門でも軒並み付けてたボーイジニアスがここにも「Cool About It」でノミネートされてるんですが、このポール・サイモンにインスパイアされたという「The Boxer」の本歌取りのようなこの曲、個人的にはかなり好きな曲なんですが、ここは穴✗ということにさせて下さい。

その代わりというか、さっきロック・アルバム部門で印が付けられなかったパラモアの久々の快作『This Is Why』、全くの無印では可哀想ですし、ここで対抗○を付けさせてもらいます。この曲、カッコいいですしね

14.最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム部門

  The Car - Arctic Monkeys
○ The Record - boygenius
◎ Did You Know That There’s A Tunnel Under Ocean Blvd - Lana Del Rey
✗ Cracker Island - Gorillaz

  I Inside The Old Year Dying - PJ Harvey

ロック・アルバム部門からは外れて、こちらのオルタナ・アルバム部門の方にノミネートされたボーイジニアスの『The Record』、自分も年間アルバムランキング3位に入れたくらい好きだしシーンからも高く評価されてるアルバムなので、ここでも彼女らが受賞しても全くおかしくないんですが、とっても気になるのが同じく最優秀アルバム部門にノミネートされてるラナ・デル・レイのアルバム。今回が最優秀アルバム部門ノミネート2回目(前回は62回の『Norman F***ing Rockwell』で、この年はビリー・アイリッシュが受賞)にもなるし、今回5部門ノミネートを含めこれが11回目のノミネートになるラナここらで一つくらい受賞するとするとこの部門くらいかなあ、と思ったので本命◎ラナ、対抗○をボーイジニアスにしました

そして穴✗ですが、今回この部門を含めてロック関連部門で3部門ノミネートのアークティック・モンキーズや、この部門3回目のノミネートになるPJハーヴェイとかがちょっと気にはなるのですが、過去に「Feel Good Inc.」で最優秀ポップ・コラボレーション(ボーカル付)の受賞経験あり(第48回)のゴリラズの新譜が思いの外良かったので、こちらに進呈することにしました。

以上ロック・オルタナ部門6部門の予想でした。次は今回の主要4部門にも大きな影響があると思われるR&B部門の予想。この週末にはアップできると思います。引き続きお楽しみに。


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