新旧お宝アルバムSplash

自分が「新旧お宝アルバム!」を書いてるわけ

先週からこのnoteに場を移した「新旧お宝アルバム!」ですが、これまでのコラムを自分のブログで読んで来られた方以外にはちょっと唐突だったかもしれませんので、ここで改めて簡単にこのコラムを始めた自分なりの考えをご説明します。それによってこのnoteで初めて自分の「新旧お宝アルバム!」を読まれる方のご理解の助けになればと。

まずこのコラムはいわゆる「音楽評論」ではありません。自分がこれまでいろいろ聴いてきたアルバムの中で、皆さんとも共有したいな、という何らかの魅力と価値を持っていると思った作品を、どういうところにそうした魅力と価値を感じたか、という自分の感じをコラムという形にしているものです。従って、自分がそうした魅力や価値を感じない作品は登場しませんし、そういう意味で一方的な批判的レビューはまず登場しません(笑)。ただ、そうした作品で比較的一部の人にしか知られていないのでは、と思う作品を選んで書いています。

もう一つ「新旧」の意味ですが、これは新しめの作品(だいたい90年代以降をここでは新しめと言ってます)で自分くらいの世代の70~80年代に洋楽に没入していた方々が触れる機会がないものを紹介したい、という思いと、逆に最近の若い洋楽ファンの方に70~80年代の素晴らしい作品であまりスポットが当たらない作品を是非聴いてみて欲しい、という思いの両方をこめています。

自分がよく思うことの一つは、70~80年代にあれだけ洋楽に熱中していた自分くらいの世代の方々で、なぜか90年代以降の作品にはほとんど全く同様の情熱を示さず、もっぱら80年代以前の音楽を未だに聴き続けている、という方が周りに本当に多いのは、とてももったいない、ということ。1990年は既に30年前ですよ皆さん(笑)。そして個人的には、確かに80年代後半、洋楽シーンには低調な時代がありましたが、90年代に入ってグランジやインディ・ロック、ポップミュージックやオーガニックR&B、セルフコンシャスなヒップホップなどの勃興によって、洋楽シーンはまことに豊かなルネッサンス時代を迎えたと思っていて、この時期以降も素晴らしい作品が多数輩出されているのに、こうした作品が、言わばベテラン洋楽ファンの皆さんの耳に触れないのは何とも残念だな、という思いがあるのです。

そして、今40台までの音楽ファンの皆さんには、是非ともそうしたシニア洋楽ファンが魂を熱くして聴いていた時代、80年代以前の素晴らしい作品に触れて頂きたいという思いが、「新旧」の「旧」にこめられています。若手の音楽ファンの皆さんは同時に邦楽も多く聴いていると思いますが、ここ最近人気があって売れている邦楽アーティスト達、例えば星野源やSuperflyなど、80年代以前の洋楽作品に影響を強く受けているアーティストも多く、是非そうしたアーティストのルーツとも言える作品に触れてほしい、というのが思いです。以前アメリカに住んでいたとき、FMのクラシック・ロック・ステーションの存在など、こうした世代間の音楽文化の継承が日本以上に日常的に行われていると感じた一方、日本ではそうした役割をラジオが現在持てていないな、と感じたこともこうした「旧」作品を若い音楽ファンの皆さんにも紹介したい、と思った理由です。

世にあるアルバム紹介記事って、たいてい「昔の名盤紹介」だったり「最新新譜レビュー!」だったりするものが多くて、新旧取り混ぜていろいろな作品を紹介してくれるのって少ないと思いませんか?あと、それらのアルバムがリリースされた時代の社会的背景やそのアーティストのその作品にいたる経緯みたいなものにも触れながら、作品紹介できれば少しでもこれまで触れたことのない作品にもそれぞれの世代の音楽ファンの方々が興味を持って頂けるのでは、と思いながらやってます。

そして、それぞれの世代の音楽ファンが、今まで聴いていなかった時代の、アーティストの作品を聴くようになると、音楽消費マーケット自体も底上げできますよね?音楽産業全体の低迷が何かと言われている昨今、産業が沈下してしまって、本来楽しめるべき音楽作品が楽しめなくなってしまう、なんて事態は音楽ファンとしては避けたいじゃないですか。そういう意味での「世代間音楽消費動向のブリッジング」みたいな(かなり大層なコンセプトですがw)ことにも貢献できればな、と一人で思ってるのです。

まあ、堅いこと言っちゃいましたが、要はシンプルに、ジャンルとか時代とかこだわらずに、今まで知らなかった、魅力ある作品に一つでもこのコラムを通じて出会って頂ければ、書き手としてはもう本望です。引き続きこの「新旧お宝アルバム!」をお楽しみに。次回はまた明日アップしますね。

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