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今週の全米No.1アルバム事情 #20 - 2020/3/21付

連日のコロナ騒ぎで景気悪い話続きでしたが今日発表されたフジロック 2020の第一次ラインナップが素晴らしかったのと、今日以前からお会いしたいと思っていた音楽業界の方とお会いできたので、いっぺんに気分が良くなりました(^^) この調子でコロナの1日も早い終息を願ってます。

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さて今週末のBillboard 200チャートの1位、予想通りリル・ウジ・ヴァートの新作『Eternal Atake』が288,000 EAUs(実売9,000枚弱)と実売はヒップホップ作品の常として僅少ながら力強い数字で初登場。前作でやはり初登場1位の『Luv Is Rage 2』(2017)が135,000 EAUsだったから、今回ポイント倍増してきたことになります。しかもそのうち278,000がオンディマンド・ストリーミング・ポイント(4億回ストリーミング相当)で2018年10月のリル・ウェインTha Carter V』の4.33億回ストリーミング以来の記録らしいので、3年越しで待ちに待った、という感じでワッとファンが飛びついたのがよく判る結果になってます。

すでに先行シングルの「Futsal Shuffle 2020」(2019年最高位5位)と「That Way」(2020年21位)はボートラとして収録されてますが、その前のヒットシングル「New Patek」(2018年24位)と「Sanguine Paradise」(2019年28位)は前作にも今度のアルバムにも未収録。今回のアルバムは全18曲を6曲ずつに分けて、ウジがそれぞれ異なったキャラクター(「Baby Pluto」「Renji」「Lil Uzi Vert」)を演じるというある意味コンセプトアルバムらしく、シングルをまとめてアルバムリリース、というスタンスではないようです。ざっと聴きましたが、やはり凡百のトラップ・アーティストとは一味違うトラックの作りこみと、エモ・ラップ的フロウで聴かせるあたりが人気の理由かな、という感じで音楽メディアの評価も概ね高いようです(NMEが5つ星、ピッチフォーク8.4点でベスト・ニュー・アルバムなど)。
そして何とこのアルバムリリースの1週間後の3/13に早くもデラックス・バージョンとして14曲入りの『Lil Uzi Vert vs. The World 2』をリリース。もしこれのポイントが『Eternal Atake』の一部として合算されるようだと来週のウジの1位は堅いのですが、どうなんでしょう。

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そして152,000 EAUs(実売38,000枚)で個人的に嬉しい2位に初登場してきたのは、僕のお気に入りのR&Bシンガー、ジェネ・アイコの3枚目になるアルバム『Chilombo』。日系ドミニカ人の母とネイティヴ・アメリカンの血を引く黒人の父との間に生まれた彼女は、独得の世界観を持ったスケールの大きい楽曲をこれまでも聴かせてくれてましたが、前作『Trip』(2017、これも素敵なアルバムでした)の後、付き合ってたビッグ・ショーンと別れ、一人ハワイに渡ってこのアルバムの録音をしていたとのこと。ほとんど全ての楽曲がフリースタイルで作られたというこのアルバム、ちょっと聴いた感じでは民族楽器的な音や、そういう雰囲気たっぷりの音像の楽曲が満載のようで、ちょっとじっくり聴きこんでみたい作品になってる感じです。

楽曲スタイルはアリアナの『Thank U, Next』からごっそりエレクトロ感を抜いてオーガニック感で満たした、といえばいいでしょうか。ちょっと自分の今年の年間ベストに入ってきそうな予感がしてます。ちなみにアルバムタイトルは彼女の父親のラストネームで、彼女自身、本名はジェネ・アイコ・エフール・チロンボを名乗ってますので、自分の出自にも言及しているのかも。

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そして5位に87,000 EAUs(実売83,000枚、今週の実売トップですね)で初登場してきたのは、モンスタX、BTSに続いてまたしてもK-Popパワー炸裂!うちの女性連がファンな(笑)EXOをはじめ数々の人気グループを擁するSMエンターテインメントが送り出した10人組、NCT 127の『NCT #127 : Neo-Zone, The 2nd Album』が入って来ました。こちらもモンスタXBTS同様、今のアメリカの売れ線のメインストリーム・ポップや、R&B・ヒップホップ・トラップあたりの音を上手に料理した楽曲で固めてますが、前の2アーティストに比べると、サビとかの感じが少しだけ歌謡曲っぽさというかいなたさが漂うあたりがスタイルなのかも。

しかしこれだけ立て続けにいろんなアーティストが入れ替わり立ち替わりトップ10に登場するK-Pop、もう一つのジャンルとしてアメリカでも認知されている感じですねえ。

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そして今週のトップ10内初登場の最後は、10位に41,000 EAUs(実売多分5,000枚弱)で飛び込んで来た、最近レーベルを訴えたりとお騒がせな今風ビヤッチ・ラッパー、ミーガン・ジー・スタリオンの『Suga』。彼女はフルアルバムはまだ出してなくてこれが3枚目のEPになります。トップ10は前作のミックステープ『Fever』(2019年10位)以来。昨年夏にヒットして、アンサーソングまで出た「Hot Girl Summer」(最高位11位)でブレイクしたミーガン、こういうのって白人ティーンエイジャーのヒップホップファンに人気あるんだろうなあって感じの絵に描いたような、露出過多のPVが眩しい限りですが(笑)、彼女のフロウテクニックは意外としっかりしててしかもオールドスクールなので、我々オヤジヒップホップ・ファンでも結構楽しめます。今回のシングル「B.I.T.C.H.」(31位)も同様の路線で、レーベルとのトラブルも何のその、ミーガン、しばらくは人気を保ちそうですね。

さて来週の1位予想ですが、3/13〜3/19のリリース・ラインアップの中で、ウジの追加リリースが『Eternal Atake』にポイント加算されない前提でも、単独カウントで充分1位の可能性大。これに対抗しそうなのはワンダイOBのナイアル・ホランくらいですかねえ。3/15に一瞬自分のサイトに新作をアップしてすぐ引っ込めたチャイルディッシュ・ガンビーノのアルバムが引っ込められなければ、こちらが1位の目も充分あったんですが。ということでまた来週。

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