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【毎年恒例年末洋楽企画#1】2020年ビルボード誌Hot 100年間チャート予想(のはずだった)Part 1: 20位〜16位

さて、昨日アップした「全米No.1アルバム事情」でも予告したように、これまで毎年年末恒例で別のブログでお届けしてきた様々な洋楽関連企画の第1弾、ビルボード誌Hot 100年間チャートの予想ランキングのカウントダウン、行きます。といっても、昨日の記事にも書いたように、実は昨日既に本家のビルボード誌の年間チャートは発表されちゃってて、純粋な意味での「予想ランキング」じゃなくなっちゃいました。毎年この予想は、12月第1週末に発表される前に集計してブログで発表した後に答え合わせをする、というのが恒例だったんですが、去年もブログで半分くらい発表したところでビルボードが発表しちゃう、という不完全燃焼。それが今年は集計作業は終わっててさあnoteで発表、という直前に出ちゃって。いやはやここのところビルボード誌の発表が少しずつ早まってるような気がするのは気のせいか?ちなみにその発表されちゃってるビルボード誌の年間チャートはここ↓で見れます。

でもまあ気を取り直して、2007年から継続してやってて今年が14年目となるこの年間チャート予想ランキング、せっかく集計したので例年通りカウントダウンしながら、今年の全米ヒットを振り返るという企画にしたいと思います(去年もそんなこと言ってたような...)。それと今年結果を見てうれしかったのは、久々に予想的中率が高かったこと。ここ2年くらい予想してた1位と2位が逆だったり(去年のリル・ナズXOld Town Road」とポスティ&スウェイ・リーSunflower」とか、その前のドレイクGod's Plan」とエド・シーランPerfect」とか正にそんな結果でした)して、予想も外し気味だったんですが、今回は1位から4位までズバリ的中という2011年以来の好成績。その他にもトップ10のうち5曲がズバリ的中、毎年独自の算式(トップ10のうち何曲当てて、そのうち何曲順位まで当てたかが基準)でスコアを付けてるんですが、今回は過去最高スコアだった2008年と2011年に次ぐ、開始以来2番目の成績ということで気分がいいのです(笑)。逆に考えると、上位にランクされるべきヒットがある意味明確だった2020年だった、ということが言えるかもしれません。では、自分の予想ランキングのカウントダウン、ビルボード誌の順位とも比較しながら、20位から行ってみます。各曲の週数などは全て2019年12月〜2020年11月のチャートイヤー期間中のもので、その期間以前に最高位を付けていたものには最高位と日付に「*」を付けています。

20. Everything I Wanted ▲2 - Billie Eilish

(Hot 100 - 31週、Top 40 - 28週、Top 10 - 7週/2019.11.30付 最高位8位

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昨年グラミーを席巻したビリーが、その快挙を予見させるようにちょうど去年のグラミー賞ノミネーション発表直前にヒットさせていたのが、この幻想的でエレクトロニックなビートを持ったトラックをバックにビリーが夢見るように「夢で欲しいものをすべて手に入れた/目覚めたらそこにはあなたがいた」と歌うこの曲。この「あなた」は、ビリーをクリエイティブな面でもメンタルな面でも支えているという、共作者でプロデューサーで実兄のフィニアスのことのようです。全英でも3位のヒット担ったこの曲、グラミーを受賞した大ヒットアルバム『When We All Asleep, Where Do We Go?』には収録されていなくて、その後007シリーズの主題歌としてヒットした「No Time To Die」(2020年最高位16位)や今絶賛ヒット中の「Therefore I Am」(先週最高位2位)なども含めて、来年あたりリリースが期待されるセカンド・アルバムに収録されるんだろうな。この曲チャートアクションも派手で、74位に初登場した翌週にいきなり最高位8位を付けて、その後ダラダラと落ちて20位前後をウロウロしていたと思ったら、グラミーでの快挙を受けて一気に10位に再上昇。そこから4ヶ月くらい10位前後をウロウロしてました。

この曲、今考えれば無茶苦茶妥当なんだけど(すいません、予想できてませんでした汗)、来年1月授賞式の第63回グラミー賞レコード・オブ・ジ・イヤーとソング・オブ・ジ・イヤーの両方に堂々ノミネート。いずれの部門でも有力候補であるのは間違いないので、またまたビリーがグラミーで旋風を巻き起こすか、というのも気になるところです。ちなみにこの曲、ビルボード誌の年間チャートでは18位。うーん惜しい。

19. Falling ▲3 - Trevor Daniel

(Hot 100 - 37週、Top 40 - 30週/2020.6.20付 最高位17位

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テキサス州ヒューストン出身、現在26歳のシンガー・ソングライター、トレヴァー・ダニエルの初チャートシングルで初トップ40ヒットになった「Falling」が自分の年間予想ランキングの19位に入ってました。最高位17位と大ヒットではないんですが、チャート滞在週数が比較的長いため、自分の集計フォーミュラだとこういう曲は高めに出る傾向があってこのポジションになりました。ちなみにビルボード誌年間チャートでも22位でしたからそう大きく予想からはブレてませんね。UKでも14位に昇るスマッシュヒットになってます。

このトレヴァー君についてはあまりデータもなく、出自がよく判らないのですが、トラップ風のトラックをバックにちょっとカリードを思わせる節回しで極々今風のR&Bテイストのメロディを歌うという、今時のメインストリームのポップシンガーという感じですね。サウンド面は今英米で「Lemonade」がヒットしている、インターネット・マネーの主要人物、タズ・テイラーが共作・プロデュースしていて、レーベルも彼のインターネット・マネーです。この曲の後、先ほど名前が出たビリー・アイリッシュのお兄さんのフィニアスが共作・プロデュースで絡んで、セリーナ・ゴメスとコラボった「Past Life」(最高位77位)が小ヒットした後は特に消息が聞こえてきてません。

18. Someone You Loved ▲ - Lewis Capaldi

(Hot 100 - 26週、Top 40 - 26週、Top 10 - 16週、Top 5 - 5週/2019.11.2 &16-23付 3週1位*

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ちょうど年間チャート集計期間の継ぎ目の当たりで3週1位とピークを打っていたため、昨年の年間チャート(ビルボード誌)でも27位にランキングされていたルイス・キャパルディの心臓移植ソング(下のPVは有名な心臓移植のやつじゃなくてオリジナルのやつです)、「Someone You Loved」が2020年の年間予想ランキングでも18位に来てます。ただこの曲、集計期間前に1位を打っているにも関わらず、ビルボードの今年の年間チャートでは何と10位!昔からビルボードの年間チャートって、集計期間前に1位とか2位になってる曲が強めに出る、という傾向はありましたが、今回はかなりそれが顕著に出てます。

この曲については散々去年もブログで語ったので特に付け加えることもないのですが、今年1月のグラミー賞で新人賞部門にはノミネートされてないのに、この曲がソング・オブ・ジ・イヤーでノミネートされる、という数年前のメーガン・トレイナー状態だったので、これは来るだろう!ということでSOY予想の本命◎を打ったのですが、敢えなくビリーの主要部門独占快挙の前に涙を呑んだ、という経緯があります。この曲、去年のグラミー授賞式のオープニングでアリシア・キーズが、全体の紹介用の替え歌パフォーマンスに使ったくらい普通にいい曲なんですが、さすがにもう2年前の曲、というイメージなんですよねえ。本国UKではUSより更にずっと前の2019年3月に7週1位ですから。今年の曲っていうとこの曲じゃないよなあ、ということでこの後に続きます。

17. Before You Go ▲ - Lewis Capaldi

(Hot 100 - 42週、Top 40 - 28週、Top 10 - 4週/2020.9.26付 最高位9位

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やっぱ、今年のルイス・キャパルディのヒット曲っていうと、USでは9月にヒットし、本国UKでは今年の1月、コロナ前に1週1位になっていたこの「Before You Go」の方ですよねえ。前の「Someone You Loved」が自分が愛した人が亡くなった後にその人のことを思う、という歌だったのに対してこの「Before You Go」は、愛している人が去って行った(自殺で亡くなったことを含意しているようです)後に、それを食い止めるために自分に何ができたんだろう、と悩むというエモーショナル度合いが格段に高い歌。そういう意味では歌としてのクオリティというか重さは「Someone You Loved」よりも高いと思うんだけど、今回のグラミー賞ノミネーションには引っかかってません。

この曲は「Someone You Loved」が収録されたアルバム『Divinely Uninspired To A Hellish Extent』(2019年全米20位、全英9週1位)のオリジナル盤には未収録で、その後リリースされたエクステンデッド・エディションに収録されています。この「Go」というのが自殺していなくなってしまう、ということだと受け止めると、このPVもそしてこの曲も心にズーンと響いて来ますね。今の状況だとコロナで家族を失った人達にもかなり響いているんじゃないでしょうか。ちなみにこの曲、ビルボードの年間チャートでは21位。これも近いなあ。

16. Watermelon Sugar ▲2 - Harry Styles

(Hot 100 - 34週、Top 40 - 25週、Top 10 - 14週、Top 5 - 2週/2020.8.15付 1週1位

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そして僕の年間予想ランキングで16位に入ってきたのは、ハリー・スタイルズの「Watermelon Sugar」。この曲、およびハリーの去年の大ヒットアルバム『Fine Line』についてはグラミーのノミネーション予想の記事でもいろいろ書きました。内容としてはセックスの暗喩としてスイカに砂糖をかけて食べる、と歌ってるブルーアイド・ソウル的グルーヴのあるポップ・ソングですが、それと同時にこのPVを改めて見てると、シングルカットされたのが夏ということもあって、コロナを気にせず海岸に出て、みんなでふれ合って楽しく過ごしたいね、というメッセージも持っているんじゃないか、ということに気が付きます。オープニングのメッセージは多分そういうことですよね。それもあって、先日グラミーROYのノミネートにも予想したんですが、この曲は最優秀ポップ・ソロ部門のノミネートに止まってます。

ハリーに取ってはソロとして初の全米No.1ヒットとなったこの曲で取り敢えずポップ部門くらいは取って欲しいところですが、ここにはビリー・アイリッシュ、ドジャ・キャット、デュア・リパ、そしてテイラー主要部門のノミニーがひしめいてるから厳しいかなあ。あと、この曲のビルボード年間チャートの順位は20位と、これもまた微妙に外れてますねえ。

さて今日はここまで。明日は年間予想ランキング11位〜15位をお届けしますのでお楽しみに。

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