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【恒例洋楽新年企画】DJ Boonzzyの第65回グラミー賞大予想#4~R&B部門

天気の悪そうなこの週末、皆さん暖かくしてお過ごしでしょうか。こんな週末はDJ Boonzzyのグラミー予想ブログでも読んでほっこりお過ごし下さい(笑)。さて続いてR&B部門の予想に行きます。

14.最優秀R&Bパフォーマンス部門

○ Virgo’s Groove - Beyoncé
◎ Here With Me - Mary J. Blige Featuring Anderson .Paak
✗ Hrs & Hrs - Muni Long

  Over - Lucky Daye
  Hurt Me So Good - Jazmine Sullivan

このブログシリーズの最初のところでも書きましたが、今回のビヨンセの『Renaissance』については正直自分はあまりアルバムとしては評価していません。ただダンス部門のところでも予想したように、ああいうノミネートされるとやっぱり取っちゃうんだろうなあ、というのと、個々の楽曲ベースではやはりそれなりにクオリティは高いので、そういうベースで受賞する可能性があるというのも事実。というところでこのR&B部門ですが、今年はそのビヨンセが3部門それぞれ違う曲でノミネートされている一方、アルバム部門ノミネートなしなのに対して、メアリー・J・ブライジがアルバム部門を含む4部門でノミネートと、明らかにこのジャンル部門ではメアリーJ優勢。二人とも主要部門のアルバム部門にはノミネートされてますが多分どちらもそこでは受賞はないので、このR&B部門ではメアリーJが強めの予想になります。

なので、本命◎はメアリー・Jアンダーソン・パークとコラボした、レイドバックなR&Bナンバー「Here With Me」で、対抗○はビヨンセの「Virgo’s Groove」ということになります。ビヨンセのこの曲、アルバムの中でも決して傑出した曲でもないと思うのでまあこの予想が順当でしょう。

穴×は、去年R&Bアルバムも取った『Heaux Tales』からの「Pick Up Your Feelings」でこの部門をシルク・ソニックとタイでしぶとく取ってるジャズミン・サリヴァンもかなり可能性あるんですが、やはり2022年に大きくブレイクした久しぶりの本格派R&Bシンガー、マニー・ロングのヒット曲「Hrs & Hrs」に付けておきます。

15.最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス部門

  Do 4 Love - Snoh Aalegra
  Keeps On Fallin’ - Babyface Featuring Ella Mai
◎ Plastic Off The Sofa - Beyoncé
 Round Midnight - Adam Blackstone Featuring Jazmine Sullivan
○ Good Morning Gorgeous - Mary J. Blige

トラディショナル」というと、オーセンティックなスタイルのR&B、ということになるのですが、前の部門とこの後のソング部門にノミネートされてるマニー・ロングがこの部門ではノミネートされてないのがやや腑に落ちませんね。そんな中、この部門でもビヨンセメアリーJがガチで激突してますので、ここもどちらかが受賞するだろうというのがまあ順当な予想。でここでのビヨンセの「Plastic Off The Sofa」はビヨンセの歌の巧さが際立った歌唱で、まあトラディショナル部門ノミネートも納得できる楽曲なので、ここはビヨンセの優勢勝ちだろうと言うことで本命◎はビヨンセ。メアリーJのアルバムタイトル曲も、彼女の定番のスタイルでぐっと迫る正統派R&B歌唱なんですが、ここは対抗○ということにしておきます。

穴✗ですが、ベイビーフェイス7年ぶりの女性R&Bシンガーたちとのコラボアルバムからのカットで、思いっきりエラ・メイの芸風に寄り添ってる「Keeps On Fallin’」も悪くないんですが、これまでニッキー・ミナージマルーン5、ジャスティン・ティンバーレイクなど幅広いミュージシャンの音楽ディレクターやプロデューサーをやってきたどちらかというと裏方のアダム・ブラックストーンが、ジャズミン・サリヴァンのボーカルをフィーチャーした、素晴らしいアフター・アワーのジャズ・トラックでノミネートされてるのでこちらに進呈します。

16.最優秀R&Bソング部門(作者に与えられる賞)

○ Cuff It - Beyoncé (Denisia "Blu June" Andrews, Beyoncé, Mary Christine Brockert, Brittany "Chi" Coney, Terius "The-Dream" Gesteelde-Diamant, Morten Ristorp, Nile Rodgers & Raphael Saadiq)
◎ Good Morning Gorgeous - Mary J. Blige (Mary J. Blige, David Brown, Dernst Emile II, Gabriella Wilson & Tiara Thomas)
✗ Hrs & Hrs - Muni Long (Hamadi Aaabi, Dylan Graham, Priscilla Renea, Thaddis "Kuk" Harrell, Brandon John-Baptiste, Isaac Wriston & Justin Nathaniel Zim)

  Hurt Me So Good - Jazmine Sullivan (Akeel Henry, Michael Holmes, Luca Mauti, Jazmine Sullivan & Elliott Trent)
  Please Don’t Walk Away - PJ Morton

さてR&B部門で楽曲の作者に与えられるソング部門賞。この部門でもビヨンセとメアリーJがガチで激突しています。片やビヨンセの方は、2000年代以降のコンテンポラリーR&Bを代表するソングライター、ザ・ドリームナイル・ロジャース、ラファエル・サディークらが作者に名を連ねる70年代ダンクラ・オマージュのダンス・ナンバー、片やメアリーJの方には昨年シルク・ソニックでROY(プロデューサー)とSOY(ソングライター)受賞、今年は最優秀プロデューサーにもノミネートされているDマイルことダーンスト・エミール2世、H.E.R.とそのソングライティング・パートナーのティアラ・トーマスとグラミー受けする面々が作者に名を連ねる、いかにもメアリーJらしい情念たっぷりのR&Bバラード。いずれも本人たちも共作者です。うーんここねえ、悩むところで「Cuff It」も確かにカッコいい曲なんですが、ここは心情的にメアリーJに久しぶりに取らせたい(彼女は2007年第49回「Be Without You」でこの部門取ってます)なあ、ということで本命◎メアリーJ、対抗○ビヨンセにします。

そして穴✗はここでもビヨンセメアリーJ対決のあおりを喰らってしまってますが、世が世なら充分本命◎の目もあったはずの、マニー・ロングの「Hrs & Hrs」に。

17.最優秀プログレッシヴR&Bアルバム部門

  Operation Funk - Cory Henry
◎ Gemini Rights - Steve Lacy
○ Drones - Terrace Martin

  Starfruit - Moonchild
✗ Red Balloon - Tank And The Bangas

去年に続いてNYはブルックリン出身でスナーキー・パピーのメンバーでもあるコリー・ヘンリーとLAヒップホップ・ジャズ・シーンの重要人物の一人、テラス・マーティンがノミネートされているこの部門、その2人もかなり実力派だし、シーンでの存在感も大きいのだけど、2022年は何といってもジ・インターネットスティーヴ・レイシーの思わぬ大ブレイクがあったので、まあこの部門、本命◎はスティーヴでしょうねえ。彼の「Bad Habit」はR&Bチャートのみならず、ロック・オルタナ・チャートでも去年の8月以来現在まで20週1位を独走しているという意味で正にプログレッシヴR&Bという部門の受賞にふさわしいと言えるでしょう

対抗○は去年本命◎をつけるも惜しくも受賞を逃したテラス・マーティンが今回はケンドリック・ラマーからいつもの仲間のカマシロバート・グラスパー、「Leave The Door Open」の共作者の一人でケンドリックフランク・オーシャンらとの仕事が有名なジェームス・フォーントルロイ、スヌープ・ドッグなど多彩なゲストを配して彼一流のヒップホップR&Bジャズの世界を展開している『Drones』がこの中ではスティーヴ・レイシーに劣らず群を抜いてると思うのでこちらに。

穴✗は残り3組どれも一線上なんだけど、個人的にずっと気に入っていて、今回他のノミニーであるタンク・アンド・ザ・バンガスレイラ・ハサウェイなど、珍しくゲストを多めにフィーチャーした、LAの白人3人組ムーンチャイルドのドリーミーでグルーヴィーなアルバムに。

18.最優秀R&Bアルバム部門

◎ Good Morning Gorgeous (Deluxe) - Mary J. Blige
  Breezy (Deluxe) - Chris Brown
○ Black Radio III - Robert Glasper
  Candydrip - Lucky Daye
✗ Watch The Sun - PJ Morton

昨年は全くノーマークだったジャズミン・サリヴァンの『Heaux Tales』がジョン・バティースト、リオン・ブリッジズ、H.E.R.らの素晴らしいアルバムを抑えてかっさらって行ってしまったこの部門、今年は過去に受賞歴のあるメアリーJ(2007年49回『The Breakthrough』)、ロバート・グラスパー(2013年55回『Black Radio』)そしてクリス・ブラウン(2012年54回『F.A.M.E.』)が光ってる他、ラッキー・デイは去年プログレッシヴR&Bアルバム部門で受賞してるし、PJモートンはまだこの部門では受賞ないけどこの部門過去3回ノミネートされてるという実績と実力充分の顔ぶれぞろい

ここで特筆すべきはここにビヨンセがノミネートされてないこと。やっぱりあのアルバムの位置付けが今一つ不明ですねえ。ということでこうなるとこの部門はメアリーJロバート・グラスパーの2強の戦い、ということになりそう。今のR&B、ヒップホップ、ジャズ・シーンの重要アーティストが勢揃いしていながら、全体きっちりロバグラのヒップホップ・ジャズ的音世界が展開されているブラック・レイディオ・シリーズの3作目もかなり強力なんだけど(上記のとおり、シリーズ1作目はこの部門受賞してる)、ここは主要部門にもノミネートのメアリーJがわずかに優位か。ということで本命◎はメアリーJ、対抗○は鼻の差でロバート・グラスパー

そして穴✗は、これがこの部門4回目のノミネートになり、昨年はゴスペル・アルバム部門を受賞しているPJモートンが70年代のスティーヴィー・ワンダーのオーラを漂わせるネオ・クラシック・ソウルの世界を紡ぎ出している『Watch The Sun』に付けておきます。

ふう。やっとこれで予想予定54部門の3分の1消化完了。まだ先は長いので頑張って行きます。次回はラップ部門、お楽しみに。

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