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今週の全米アルバムチャート事情 #114- 2022/1/15付

成人の日の三連休も終わって、やっと今週くらいから新年のお仕事なども本格稼働し始めているような感じでしょうか。ただオミクロン株の感染者数がまだ高止まりしているので、なかなか活動レベルでは勢いが上がらないところですね。自分は今週の金曜日が大安なので、自分の守り神の江島神社に初詣参拝に行って、今年も幸運と健康をお願いしてこようと思っています。寒さもまだ厳しいですがお互いに体調と感染拡大防止には気を付けていきましょう。と言っていたら、何と60年代ロックンロール・クラシック「Be My Baby」(1963年全米2位)で有名なロニー・スペクターの訃報(享年78歳)が飛び込んで来ました。1986年にはエディ・マネーの「Take Me Home Tonight」(全米4位)に客演して「Be My Baby」のコーラスを再演して再び脚光を浴びたロニー。かつての夫で、昨年獄中死したフィル・スペクターと奇しくも最後の時期を合わせるかのように、ガンとの闘病の後なくなったロニー。心よりご冥福をお祈りします。

一方1/31から4月への開催延期が決まってしまったグラミー賞。この関係で1/20に予定していた音楽評論家吉岡正晴さんとの例年のDJトークイベント「ソウルサーチン〜グラミー賞直前スペシャル〜」もそれに合わせて延期になりました。グラミーの授賞式日程が決まり次第またアナウンスしますが、おそらく3月下旬の開催になると思います。昨年はZoom開催だったので、今年は何とかフィジカル開催にしたいもの。それに向けて今週末くらいから毎年恒例のグラミー賞受賞予想のブログもスタートするので、その準備で今週もこの記事連動のポッドキャストは配信できそうにありません。まあこうなったらグラミー賞終了までしばらくお休みしてもいいかな、と個人的には思っているところです。過去の配信は上記リンクからいつものようにSpotifyで聞けますのでどうぞ。

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さて今週の全米アルバムチャート、1/15付Billboard 200の1位ですが、何と予想外の波乱が。というのも、アデルの『30』が対先週比43%ダウンという大幅ダウンの57,000ポイントで2位に沈んで、代わって今週1位を獲得したのが、先週圏外110位から7位に躍進してきた、ディズニー・アニメ映画『Encanto(ミラベルと魔法だらけの家)』のサントラ盤でした(対先週比76%増の72,000ポイント、うち実売11,000枚)!ディズニー・アニメ人気恐るべし、というところでしょうか。ディズニーのアニメ映画サントラとしては2019年の『Frozen II(アナと雪の女王2)』(1週1位)以来、通算では『The Lion King(ライオン・キング)』(1994-95年10週1位)、『Pocahontas(ポカホンタス)』(1995年1週1位)、『Frozen(アナと雪の女王)』(2014年13週1位)そして『アナ雪2』、今回の『ミラベル』と通算5作目のナンバーワン・アルバムとなりました。ちなみに初登場以外でナンバーワン到達したアルバムは昨年8月にデラックスエディションリリースでリリースから1年後に1位になった、キッドLAROIの『F*ck Love』以来、ということになります。

今週発表されたゴールデン・グローブ賞で見事最優秀アニメ映画部門を受賞した『Encanto』、現在Hot 100でも、このアルバムからキャスト全員による「We Don’t Talk About Bruno」(先週50位初登場から今週5位に急上昇!)と主人公のミラベルのお姉さんルイーザの声をやってるジェシカ・ダロウの歌う「Surface Pressure」(先週54位初登場から今週これも14位に急上昇)の2曲がヒット中ですが、実はこの2曲ともゴールデン・グローブにもそして3月末授賞式の予定のアカデミーにも最優秀オリジナル・ソング部門候補曲として提出されてないそうなんです。代わりにこの映画から候補として提出されているのが、アコギ一本で全編スペイン語で歌われるバラード曲「Dos Oruguitas」のみとのこと。作曲者のリン・マニュエル・ミランダとしては、先週お伝えしたように、アカデミー賞をこの曲で受賞すると、史上17人目のEGOTとなるので是非とも受賞したいところでしょうねえ。ちなみにゴールデン・グローブではこの曲、ノミネートされてましたが、ビリー・アイリッシュ007のテーマ曲「No Time To Die」に受賞をさらわれています。

さて今週のチャートの対象期間が12/31-1/6ということで、先週までトップ10を賑わせていたクリスマス・アルバム5枚が一気に200位圏外に消え去ってるので、今週はそれらに押し出されてトップ10圏外に落ちていたドレイク、ドジャ・キャット、ザ・ウィークンド、ジュースWRLDそしてポロGのアルバムがトップ10内に復活している他は、トップ10内初登場はありません。

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また圏外11位から100位までの間も、ごそっと消えてしまったクリスマスアルバム関係の穴を埋める形で初登場がいくつか来るかなあ、と思っていたところ、その穴はクリスマスアルバムが入ってくる前に200位内にいたアルバムがごそっと再登場、しかも101位以下の順位に復活しているだけで、初登場で11〜100位に入って来たのは、39位に初登場してきた、ラテンのバッド・バニーのLP6枚組(これまでの3作、2018年の『X 100pre』、2020年の『YHLQMDLG』と前作の『El Ultimo Tour del Mundo』をLP2枚組ずつでパッケージにしたもの)というボックスセット『Anniversary Trilogy』の1作だけ。コロナが始まってからどんどん人気を集めてきている彼は、『El Ultimo Tour del Mundo』がオールスペイン語のアルバムとしては初のBB200の1位を獲得ジャイ・コルテスをフィーチャーした「Dakiti」の大ヒット(Hot 100最高位5位)、そして今年は「Yonaguni」(同10位)の大ヒットと、最近のラテン・ブームを牽引している感があります。

しかもSpotifyの発表によると、彼は2020年、2021年の2年連続で、グローバルで最もストリームされたアーティストだったとのこと。まあそれだけ人気あれば、この大きなボックスを39位に持ってくるくらいの芸当はできますよね。2月からは全米・カナダ25カ所を2ヶ月かけて回る「El Ultimo Tour del Mundo 2022ツアー」に突入する予定らしいですが、このオミクロン株拡大でどうなるでしょうか。いずれにしても2022年もバッド・バニーが牽引するラテンブームは継続しそうです。

ということで以上今週のトップ10と圏外の初登場ご紹介でした。今週もいつものようにHits Daily Doubleの売上情報も交えながらトップ10のおさらい。今週10位のポロGの実売枚数が75枚(!)ととうとう実売枚数2桁という記録が出てしまいました(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト、<総ポイント数/アルバム実売枚数>)。

*1 (7) (6) Encanto - Soundtrack <72,000 pt/11,000枚>
2 (1) (7) 30 - Adele <57,000 pt/29,000枚>
3 (5) (52) Dangerous: The Double Album ▲2 - Morgan Wallen <42,000 pt/2,059枚*>
4 (4) (33) Sour ▲2 - Olivia Rodrigo<41,000 pt/15,000枚>
5 (3) (8) Red (Taylor’s Version) - Taylor Swift <38,000 pt/11,000枚>
*6 (11) (18) Certified Lover Boy - Drake <37,000 pt/233枚*>
*7 (15) (28) Planet Her - Doja Cat <34,000 pt/1,699枚*>
*8 (13) (47) The Highlights - The Weeknd <34,000 pt/1,990枚*>
9 (12) (4) Fighting Demons - Juice WRLD <31,000 pt/327枚*>
10 (20) (30) Hall Of Fame ● - Polo G <27,000 pt/75枚*>

ということで今週の「全米アルバムチャート事情!」いかがでしたか?最後にいつもの来週1位予想ですが、先週もちょっと予告編的にコメントしてましたが、来週のチャートの対象期間1/7-13の初日に突如ドロップされた、ザ・ウィークンドの新譜、これが来週かなり盛大に1位をもぎ取るのはほぼ間違いないでしょう。去年グラミー賞からガン無視されて逆にグラミーをボイコットした上に、今回のグラミーには一切自分の作品をノミネート対象作品として提出しなかったというザ・ウィークンド、来週のチャートでは見事1位を取ってグラミーアカデミーを見返すでしょうか。ではまた来週。

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