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『電脳コイル』が名作すぎる


 少し前に、磯光雄監督が『地球外少年少女』という最新作のアニメを発表して、話題になった。Twitterのトレンドに過去作である『電脳コイル』が出てきて嬉しく思ったものだ。

 人生で大きな影響を受けたアニメの1つが『電脳コイル』である。大げさではなく、10回以上は見ているし、お小遣いで企画書やファンブックを購入した。小学校高学年くらいだったと思うのだが、子どもが1000円以上の本を購入する葛藤を分かってほしい。あまりにも面白すぎたこの作品の魅力について、少し、いや、たくさん語りたい。

 あらすじや登場人物などの基本的な情報は、ホームページ、様々な配信サイトで、電脳コイルを見ることが出来るので、そちらを確認してほしい。あまりネタバレに配慮もしてないので、ご注意いただきたい。

登場人物

 放送当時、小学生のヤサコたちは等身大のキャラクターだった、と言いたいが、一部キャラを除けば、(ダイチ、フミエ等)少し大人びていたような印象がある。イサコハラケンがずいぶんかっこ良く見えていた。

 当時、声優という概念を知ったきっかけでもあり、ファンブックで、ハラケンは女性が担当しているという、衝撃の事実を知ることになる。おばちゃんも大分大人に見えていたのだが、ふり返ると女子高生!?と驚愕する。
 
 主人公と言われると、ヤサコかイサコか、、当時は、イサコの孤独があまりピンとこず、ヤサコの成長に感動していた。大人しくて、流されるヤサコが、ハラケンに告白したり、イサコを一喝したりする場面は、2,3話目からは想像できない。

それから、ヤサコのいじめ問題、、、これはショックだった。いわゆる優等生のヤサコは、いじめられることはある、その逆はないだろうと勝手に思っていた。しかし、キャラクターは聖人君子ではない。ただ良い子ではないヤサコの性格にすごく共感していた。

 対してイサコは、どうしてキツい言い方しか出来ないんだろうと、そう思っていた。後々、兄のことなど分かってくることもあるが、それにしても、だ。だが、成長するにつれて、イサコの生き方も大切だと思えるようになった。もちろん、大切な友人や家族はいるけれど、大人になるにつれて、孤独というものを意識してくようになったからである。

 あとハラケン。小学生にしては大人びている。近しい人を亡くすという経験があるからこそ、今のハラケンがあるのだと思う。小学生は実際、ダイチみたいな子は多い、と、思う。

世界観

 近未来的な世界と日本古来の神社の要素を組み合わせるなんて、天才かと思う。都市伝説であるミチコさんや「あっち」、イリーガル、はざま交差点、、怖い話も好きだったので、わくわくしたものだ。当時は「メガネ」のようなものは、まだ一般的ではなく、あくまでSFだったが、正直スマートフォンは「メガネ」だと思っている。私の当時の登下校の雰囲気なんて、まさに大黒市みたいで、ノスタルジーを感じてしまう。

印象に残る回


4話 大黒市黒客クラブ・・・メガネかっこ良っ!!、イサコ様!!となる回。暗号とかメタタグとか真似したくなる。
5話 メタバグ争奪バスツアー・・・イサコ様!!となりつつ、ハラケンの驚きの能力に目が離せない。
8話 夏祭り、そして果たし合い・・・甘酸っぱい!!そして少し切ない。不穏なところもある。
9話 あっちのミチコさん・・・待ってました!ホラー回。普通に楽しそう。夜じゃなくて、夕焼けがこんなに不気味に見えるなんて。
12話 ダイチ、発毛ス・・・シンプルにギャグ回だけど、実は深い回。発想が天才かと思った。
25話 金沢市はざま交差点
26話 ヤサコとイサコ
・・・最初から最後まで一秒たりとも見逃せない。全てが繋がるし、イサコとヤサコ、2人が主人公なんだなって改めて感じる。

他にもタケルが出てくる伏線回や、京子があっちに連れて行かれるホラー回クビナガのイリーガルとの心温まる交流回など、面白い話はたくさんあるので、絶対に全話見た方がいい。

アニメ以外のメディア展開

 ファンなら『ロマンアルバム』をめちゃくちゃオススメしたい。買って良かったし、何回も読み返した。今、記事を書くのにも参考にしている。キャラクターの設定や各話の見所もたっぷり書かれている。
 一番良かったのは、キーワード事典。
アニメでは結局なんだったんだろうと思っていた、イマーゴやイリーガルなどのオリジナルの単語の説明が詳しく載っていて、電脳コイルの世界観をより深く知ることができる。特にイマーゴの考察ではあのキャラクターもイマーゴを持っているのかと、驚いた。個人的には製作現場で実際に起こった事件のレポートが一番怖かった記憶。

 他に小説と漫画もある。私は小説は10巻までしか読めていないのだが、アニメとは世界観は同じでも別物だと考え、割り切ると、楽しめると思う。
特に小説は、キャラクターの性格や関係性が違う。子ども同士のやりとり一つ一つにより重きを置いている感じがする。
漫画はキラキラで可愛い絵柄。少女漫画らしく、恋愛模様が描かれている。話としてはきれいにまとめられている印象。

 電脳コイルについては、前から絶対に書きたいと思っていたことだった。思いの丈をぶちまけた感じで、読みにくいかもしれない。しかし、全人類に一度は見て欲しいと願う、オススメのアニメである。



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