【お礼】2023年の推し本たち トークイベント
うかうかしているうちにもう1週間が経ってしまいましたが、記事を書きます。
先日告知しました通り、先週2/23の金曜日、久しぶりに書店「韋編三絶」として北千住の「空中階」で「いろどり書房」さんとのコラボトークイベント&半日書店を開かせていただきました。
当日は気温も低く寒い雨の日でしたが、よくぞここまで、というくらい暖かい心の方々にご参加いただき、我々も大変気持ちよく話させていただきました。人前で喋り、こちらから一方的にエネルギーを送るのではなく、参加者の皆さんとお互いにエネルギー交換をしたような、終わった後にじんわり胸が熱くなる、そんな時間になりました。
そんなあの日のことを振り返り、お礼の記事を書かせていただこうと思います。
いろどり書房さんは現在ご家族の看病のため休業中ですので、今回この記事で代わりに、我々二人からの感謝御礼の挨拶とさせていただければと思います。
さて、何度か書いているかもしれませんが、「空中階」とはセンジュ出版さんと有志のメンバーの方々がとある企業から預かり、管理運営をしてくださっている期限付きのイベントスペースになります。
そんな場所を今回もお借りし、イベントを行いました。
肝心のイベント内容ですが、以下のような雰囲気でした。
第一部:「いろどり書房」鳥平さんとの対談
我々二人の出会った経緯から、それぞれが書店になるまで。
ノリと勢いで「韋編三絶」を屋号に決めてから流されるままに書店になった僕と、就活を機に書店員を志した「いろどり書房」の鳥平さん。各々が本屋として届けたいこと、屋号の由来、お互いがロゴを作っていただいたデザイナー小林ひかりさんへの想いと、彼女の著書『水晶体に映る記憶』について、などなど語らせていただきました。
最初は対談形式で始めたはずなのですが、気づけば7:3くらいで鳥平さんが喋っていました。僕も別に言い残したことはないのですが、喋りに関しては鳥平さんの熱量が勝ちました。
隣であまりに気持ちよく流れるように語るので、相槌を打つのは諦めました。対談とは・・・?笑
一応時々ツッコめたので、最低限の役割は果たせたと思っています。
でも、正直最初は緊張していたので、隣で鳥平さんの話に耳を傾けるうちに、体の力みも抜けて、僕としては良かったです。
テンションもスタイルも真逆の二人ですが、むしろ良かったのかもしれません。参加者の方のご感想で「漫才のよう」と評していただいた言葉が、結構気に入っております。
これまで案外、自分たちが書店を志した理由から、今何を思って本を届けているのかまで、まとめてお伝えする機会はなかったので、それぞれが「なぜ本を届けているのか」をしっかり知っていただく良い機会になったのかなと思います。
↓小林ひかりさんが鳥平さんとの出会いの1日を書いたnote
『水晶体に映る記憶』祝!増版!
第二部:それぞれの一人書店からの「2023年の推し本」紹介
2024年に入り、2か月がもう過ぎようとしているけれど、あえてこのタイミングで2023年の推し本をそれぞれの書店から紹介させていただきました。
先に僕が話し、後半をいろどり書房さんが担当するという形式。
僕は昨年の谷あり谷ありの経験を振り返り、それぞれのタイミングでお世話になった本や自分の著書を紹介し、いろどり書房さんは、彼女が「推せる・応援したい」と感じた方にまつわる本を中心に紹介されました。
それぞれが紹介する本は全く被っていないのに、なぜか本を通じて届けたいメッセージには共通する部分もある、というのが隣で聴いていて不思議でした。
一人の人間が、自分で本を選び、そこに言葉を乗せるという行為は、それぞれの人生経験が密接につながり、同じ本を選んでも十人いたら十通りの紹介の仕方があるんだろうなと思います。正直、隣で聴いていた僕が一番勉強になりました。まだお互い30前後ですので、これから経験を重ねるごとに、いろいろな出会いを迎えるたびに、また少しずつ、本の紹介の仕方も、ご紹介する本も、変わっていくのだと思います。
参加者の方から「新しい本は、いつ入りますか?」という熱いメッセージをいただけたのもあり、また新たな本をご紹介できるよう、色々と読んでいきたいなと思いました。
一人で書店をやるということは、店舗型の書店のようにいろいろな本を仕入れるわけにはいかず、基本的に仕入れは買い切りになります。必然的に選ぶのは自分が売る自信のある本、リスクを背負ってでも売りたい本になっていきます。それだけ「良い」と自信を持ってお勧めできる本、さらには問屋さんを介さず個人として仕入れられる本を見つけるには、なかなか時間がかかります。(選書のやり方は人によります)
逆に言えば、趣味の読書が捗るほどに、選書ペースは上がるはずです。兼業ではありながら、曲がりなりにも「書店」を標榜することの覚悟と楽しさを、再確認したイベントになりました。
おわりに
自分で蒔いた種ですが、本業の滞りを理由に、直前まで告知らしい告知もできず、本イベントの企画、告知やフォームによる集計、参加者さんへのメール送信など、本企画の大部分はいろどり書房の鳥平さんにやっていただきました。申し訳なく思いながらも大変ありがたく、一緒にイベントを行う相手に選んでいただけて嬉しかったです。
告知画像のデザインは鳥平さんの幼馴染のデザイナーの方に作っていただきました。企画の雰囲気を伝えつつ、必要な情報が見やすくわかりやすいデザインで、大変気に入っております。ありがとうございました。
@design_sugimuraさま
本noteを読んでいただいている方はご存知かもしれませんが、昨年5月に北千住で開催した『水晶体に映る記憶』出航記念イベントで個人的に失敗してから、僕にとっては久しぶりのイベントになりました。あの後凹み、一瞬病むところまで行った記憶から、今回もまた、緊張して声が出ないのでは、という不安は若干あり、同じ会場で、あの醜態をまた晒してしまうのではないか・・・という恐怖感の欠片はまだ心の中に残っていました。しかし結果は杞憂でした。失敗を笑いに変えることもでき、あの時感じていた「やり直したい」という気持ちの片鱗は埋めることができたように感じます。
前日に鳥平さんと参戦したSUPER BEAVERの武道館ライブも、心の勢いづけに大いに効果があったと思います。至福の時間でした・・・!
本屋として、良い本を読んで、届ける過程にあっても自分はまだまだ未完成です。今回参加してくれた友人で、理論武装で尖りに尖っていた僕の大学時代を知る友人も、脱皮後に出会い『ことばの糸を紡いで』を読んで過去を知ってくれた友人たちも、両者が来てくれたということに大きな意味があったと感じています。
理性と感性、両極に達した自分をそれぞれ知っていてくれる人がいて、中庸に戻り始めるこのタイミングでまた会えたこと。尖っていた当時との話し方の違いに気づいてもらえたこと。人を通じて自分の変化を再確認できたこと。参加者の方が皆さん、その日や次に日に各々感想のメッセージをくださったこと。
自分が書店として人前で本を紹介することの醍醐味は、こうした「エネルギー交換」にあるのかもしれないと気づいた、そんな1日でした。
改めて、お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
アーカイブ動画も撮影してありますが、完成版ができるまでは、気長にお待ちいただければと思います。
書店 韋編三絶
松浦信孝
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