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つぶやくには長すぎる話⑩


こんにちは、ブックスタンドYoriです。



※今回はお知らせとかじゃなくて、本当にただただわたしが聞いてほしいだけの雑談です。



色んな人との出会い



先日某お寺でのイベントに出店していたときのこと。

その日は祝日だったので、お昼すぎくらいまではたくさんのお客さんが来てくれて忙しくしていました。

人の流れが収まり、やっと一息つけると思ったタイミングで、天気予報通り雨が降り始めました。

もうあとは出店者さんくらいしか来ないかもなあと思っていた時間帯。

そんな時にひょっこりと、「ココア2つください」と現れた方がいらっしゃいました。


背広を着てハットを被り、機嫌の良さそうな、柔らかい表情の男性。
60~70代くらいでしょうか。

聞くところによるとご近所さんだそうで、先月もこのイベントにいらっしゃったそう。
今日も散歩がてらいらっしゃってくれたらしいのですが、雨が降ってきちゃった、とのことでした。
「帽子かぶってるから雨そんなに気にならないけどね〜」と気丈なご様子。

途中、娘さんか奥様かわかりませんが、お家の方からの電話にスピーカーで出られており、
「ちょっと大丈夫!?生きてる!?」と結構心配されていましたが、

のんびりとした声で「生きてる生きてる、ココア買ってくわ」と、心配をかわすように返答されていました。

結構しっかり雨降っていたので、たしかにこれで帰ってこなかったら心配するよなあと
思いながら、わたしはご主人が持って帰るココアを作っていました。


ご主人は待ってくださっている間、「本屋さんなの?」と少し明るい声で言いながら、
置いてある本の中から『かえるの哲学』を手に取り、興味深そうにページを捲っていました。


そしてしばらくページをパラパラと捲った後、捲っていた手をピタッと手を止めて急に、


「僕は昔、ハムスターを飼っていて、


スタコラサッサという名前を付けていたんだけどね、


ある日名前の通り、本当にゲージをくぐり抜けて居なくなってしまってね…」



と切り出し始めました。

急に始まったペットの切ないエピソードに、笑うべきか悲しむべきかちょっと迷うわたし。
どちらかというといなくなった悲しさよりも、スタコラサッサというネーミングセンスに動揺を隠せずにいました。


どんな顔をしていいかわからなくって、ちょっと笑いながらも神妙な感じで恐る恐る、
「そ、その後は……?」と訪ねたところ、


ちょっと困り笑顔も含まれた悲しい顔をしながら、


「うーん、会えずじまい。」


と一言。




というところで、本当にちょうど、「カチッ」っとココアが出来上がる音がなり、

わたしもハッと我に返り、そそくさとココアをご主人に提供。


「ありがとうね。」と一言残し、ご主人はココアを両手に、また雨の中を歩いていかれました。





あの日からそのご主人のことをふと考えてしまうし、
元愛ハム・スタコラサッサ氏のことも考えてしまうのです…


何かご主人にまた会えたら良いなとも思うし、このまま会わないほうが良いかもと思ったり。

そんなイベント最後の1時間の出来事でした。



お客さんに限らず、移動本屋やキッチンカーとして出店していると、今までの人生を送っていたら、
きっと出会うことはなかっただろうと思う不思議で面白い方々に、本当によく出会います。


今回は絶対その場に居なければわからないシュールさだったのですが、どうしても皆さんに聞いてほしくて書きました。
もっと他にやることあるのにすみません。笑


特にご主人に許可はとってないので、怒られたらこの記事はひっそり消しますね。。



次回はもっとYoriのお知らせとか大事な話や真面目な話(今回が真面目じゃ無いとは言わんけど)をnoteでお伝えしますので、その時はまた覗いてくださると嬉しいです。えへ

因みにご主人が呼んでいた本はこちら↓

果たして、"スタコラサッサ"というワードが出てくるのか…



それでは。





ブックスタンドYori







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