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本屋で本を探すという習慣がなくなる日

今日、店主は午後からの出勤でした。そして本を品出ししているときに「ふ」と気がつきました。また一回もレジを打っていない・・・

当店ではAmazonとメルカリでも本を販売しておりますが、そちらはそこそこの売上がありました。つまり、ネットでは本が売れているけど、店主が店番をしている店舗では本が売れていない。

これはある意味当然のことだと思います。ネットで本を探すのは便利です。タイトルを検索欄に記入するだけで探せます。また、ほとんどの本はネット上に在庫がないということはありません。メルカリではなかったとしてもAmazonにはあるということもあるでしょう。逆に、ネットで本を購入するデメリットもありますが、今日のブログのテーマとは逸れますのでそちらは割愛します。

で、店主としては本の販売がネット主体になることは仕方がないと思いつつも、『本屋で面白い本を探す』という習慣こそが大事だということを、もっと多くの人に伝えたいと思っています。

わかりやすい例えが浮かんでこないのですが、ネットで本を買うというのはお見合い写真だけで結婚相手を選ぶような感じだと思うのです。スペックとか見た目とか評判だけで相手を選ぶ感じです(婚活経験がないので詳細は不明ですが)。

それに対して本屋で本を選ぶのは、実際に会って話をしてから異性を選ぶような感じだと思います。本を手にとって読んでみれば、データ以外のこともわかります。そこにはデジタルでは測れない何かがあるはずです。

そして、ここが結構大事なことだと思うのです。

店主は18年ほど古本屋を経営していますが、現代に生きる一般的庶民の中には自分で本を選ぶことが出来ない人が増えていると感じます。自分が試し読みした感想よりも、ネットの評価などが気になってしまう。ネットの評価が少ないマイナーな本を買うことに躊躇してしまう人も少なくないでしょう。

これこそが時代の流れだとはいえ、本を選べない人が増えているのは大きな問題です。なぜならば、多くの人が読んだ本からしか知識を得られない人や、多くの人が評価した小説しか読まない人が増え、本屋で本を探すという習慣がなくなる日がきたら、新しい視点の書き手は生まれないかもしれませんし、読者が読書による新しい知識を想像する機会が減るかもしれないからです。

店主は凡人以下の能力と学力と履歴ですが、古本屋を経営しながら色々な本を読むことで、それらの能力を底上げしました。ネットの書評も気にしますし読みますが、意外と気に入った本は無名に近い本だったりします。だからこそ、もっと多くの人にリアルの本屋で本を探していただきたいと思います。その中に、西武柳沢の古本屋が入っていたら、幸いです。

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