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本日も売上は低調です。しかし、天気予報の最高気温36度という数字を確認すると、それは仕方がないことだと諦めがつきます。むしろ、こんな暑い日にわざわざ本を購入してくださった数人のお客様には、感謝の気持ちしかありません。
仕方がないので、今日も本を読みました。読んだのは「昔日の客」という夏葉社から出版された復刻本です。元々は昭和53年に1000部ほどしか発行されなかった珍しい本。しかしながら、帯に「古本随筆の傑作」と書かれています。
この本を手に取った最大の理由は、その不思議な装丁です。落ち着いた緑色の布で装丁された表紙には、控えめにタイトルと著名が記されています。しかも驚くべきことに、本の定価もバーコードも印刷されていない裸本です。これにはちょっと痺れました。(価格とバーコードは帯に付いてました)
本書の内容は、大森にあった古書店「山王書房」の店主、関口良雄さんが誠実に綴る古本屋の日常です。刺激的な内容は一切なく、作家たちとの生真面目な交流が、昭和テイストの情緒をまとって描かれていました。
時折くすっと笑えるおっちょこちょいなエピソードを含めて、古本屋経営を楽しむ様子が伝わります。まるで白黒写真が保存された古いアルバムを眺めるかのような感覚で楽しく読むことができました。
ただ、少し物足りなさを感じる部分もありました。それは、本書の内容が、現在に何も繋がっていないところです。昭和のワンシーンを切り出しただけで、歴史ある日本の出版業界や古書店業界の流れを感じることはありませんでした。
ただ、それでも十分に楽しめました。何か大切なものが詰まっている本のように感じました。
復刊本を作るにはどれだけの手間がかかるのかはわかりませんが、大手出版社ではなく、1人出版社の夏葉社がこの本を出版したということは、そこに何か意味を感じます。そういったことを推理しながら読むことも、楽しいかもしれません。
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