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シェア型書店は本屋じゃない

「シェア型書店は本屋じゃない」と古本屋の店主は考えています。

シェア型書店とは棚貸し本屋のことで、学校の下駄箱のような収容棚1マスを月3000円~9000円程度で貸し出し、そこに借主が自分の本を並べて販売するというスタイルです。

このシェア型書店が本屋ではないと考える最大の理由は、「本屋とは本を販売する小口の商いである」という当たり前の前提が覆されているからです。

では、シェア型書店はどんな商売かというと「場所貸し」です。場所代を得て開催されるフリーマーケットと同じ収益モデルです。テナントを使って行う、本に特化したフリーマーケットという位置づけで考えるのが適正かと思います。(販売者は不在となりますが)

だからシェア型書店は本が売れなくても困りませんし、逆に採算を度外視した低価格で本を販売する人や、新刊本を古本価格で販売するような出店者が現れても関係ないのです。

ということは、棚を借りている出店者が本屋ということでしょうか?それもちょっと違うと思います。なぜなら、繰り返しになりますが本屋というのは商売です。商い(あきない)です。「商いは飽きないようにやるから商いというんだよ」という有名な言葉がありますが、売れても売れなくてもいいのであればそれは商いではありません。

そういえば、先日シェア型キッチンを利用されているお客さんがいらっしゃいました。シェアキッチンは飲食店として保健所に登録しているはずですので、シェアキッチンで営業することはできるはず。しかし、既存の飲食店とシェアキッチンは違うものと考える人がほとんどなのではないでしょうか。この辺は言葉の綾かもしれませんが。

ググッて調べてみると、シェアレストランという概念があるそうです。それは、既存のレストランの休日や休み時間に店舗を借りて営業するスタイルです。確かにこれならレストランをシェアしているので言葉にウソはないでしょう。

ここまで考え、シェア型書店は新刊書店でも古本屋でもないと店主は思うのですが、では何故シェア型書店という言葉がここまで一人歩きしているのかというと、書店や本というものがニュースの素材になるからです。

本が売れなくなった。街の書店が潰れている。新しい図書館が建設された。出版イベントが開催されました等々など。

そして、ここまで店主がシェア型書店にこだわるのは、現実問題として今まさに営業している本屋が助けられるようなニュースがないからです。いい形で紹介されれることもほとんどありません。

既存の書店にとって、シェア型書店の誕生はメリットにはなりませんし、仲間の誕生でもありません。むしろ華々しく取り上げられて誰かの懐が潤っていると想像すると、口惜しいと感じる経営者もいるでしょう。(このブログの主は既に達観しております)

というわけで、小さな町の小さな古本屋の店主として「シェア型書店は本屋じゃない」という考えをブログで紹介させていただきました。

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