『名古屋コーチン作出物語』引き裂かれた時代を生き抜いた兄弟の物語
『名古屋コーチン作出物語』は、明治という激動の時代を生きた海部壮平・正秀兄弟の壮絶な人生を描いた伝記作品です。著者の入谷哲夫氏は、綿密な取材と丹念な資料収集を通して、日本初の実用鶏「名古屋コーチン」誕生の裏側にあった感動のドラマを鮮やかによみがえらせています。明治維新という大きな時代の転換点で、武士という身分を失い、新しい生きる道を必死に模索する兄弟の姿が、当時の社会の縮図のようにも感じられます。著者の巧みな筆致によって、歴史の断片から一つの壮大な人間ドラマが紡ぎ出されていき