見出し画像

店主と、本のある暮らし April 2023

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


ピアノ調律師

April 3, 2023

明日4月4日は、ピアノ調律の日。
4月(April)の頭文字Aが、調律の基準音A(ラの音)と同じであり、さらにその音の周波数が440Hzであることから制定されました。

『ピアノ調律師』は、世界一の調律師を祖父に持つ少女デビーが、ピアニストになってほしいと願う祖父の思いをよそに、自らも調律師になりたいと強く決意するおはなしです。

正確には、デビーは最初から決意しているので、その決意をめぐる周囲の大人たちの物語といっても良いかもしれません。

ピアニストになる可能性を秘めながら、自分は調律師になるのだという信念を貫くデビー。
デビーが繰り広げる子どもらしい行動を微笑ましく思いながら、その意志の強さと「好き」の強さに頼もしさを感じます。

もし自分に何か才能があって、周囲にも期待され、技術を磨く環境も整っていたとしたら、それを極める以外の選択肢を選ぶことは、実はものすごく大変なことなのではないかと思うのです。

恵まれた才能や環境が、夢の足かせになってしまうことだってあるのですよね。

才能などと言うと、自分には関係ないように思いがちですが、才能の有無に関わらず、特段諦めたというわけでもないのに、何故だか自分のやりたいこととは別のことをやっていたということ、ありませんか?

わたしも、その一人だったように思います。

それでも、全ての出来事を意味のある大切なことに感じられていたのは、自分の「好き」を知っていたからかもしれないなと思います。

実は本屋になると決めたとき、「やりたいことができるのは羨ましい」という言葉と同じくらい「やりたいことがあるのが羨ましい」という言葉をいただきました。

自分のやりたいことや好きなことがあるというのは、実はそれだけでも幸せなことなのではないかと思います。

だからこそ、やりたいことがわかっているのなら、そこに向かって進んでみよう!

2年目も、そんな気持ちで頑張っていこうと思っています。

***
『ピアノ調律師』
作:M・B・ゴフスタイン
訳:末盛 千枝子
発行:現代企画室 2012年初版


ちいさなちいさなおんなのこ

April 8, 2023

年長になった長男が、保育園のお迎えのときの日課にしていること。

それは、給食室近くのショーケースに展示されている「今日の給食サンプル」を見て、「これが美味しかった」「これが食べられなかった」と、報告することです。

年少の頃までは、抱っこをしないと見ることが出来なかったショーケース。
最近は、背伸びをすると少し中が見えるようになってきました。

本人も「5歳になったら給食がちょっと見えるようになってきた!」と、自分の成長に驚いています。

早生まれで、体格も小さめだった彼は、大きくなることへの憧れも、人一倍大きいように思います。

『ちいさなちいさなおんなのこ』を読みながら、そんな長男の姿に重ね合わせ、「大きくなったなあ」としみじみしていたところ

最後のページにきてはっとしました。

これは!長女の物語だ。

もうすっかり大きくなった彼女が、お姉さんになったあの日。
あの頃の日々が蘇ってきます。

思わず駆け寄って、長女と一緒に読みました。
興奮気味の母を尻目に、さめたことを言うところもかわいい。

小さなあなたにも、小さかったあなたにも、子育てを頑張ってきたあなたにも、みんなに読んであげたい一冊です。

これからお兄さんお姉さんになるお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ一緒に読んで、ぎゅっとしてあげてください。

***
『ちいさなちいさなおんなのこ』
文:フィリス・クラシロフスキー
絵:ニノン
訳:福本 友美子
発行:福音館書店 2011年初版


ぼくはちっともねむくない

April 13, 2023

春眠……

に、どっぷり浸かってみたい。

子育て中の夢の一つではないでしょうか。

授乳や夜泣きに始まり、
喉が乾いた、怖い夢を見たと起こされたり、
鼻血やおねしょで夜中にシーツを取り替えたり。

そもそも、寝かしつけに1時間って!
休日に限って早起きするのはなぜ!!

あと数年の辛抱とは言うけれど、今、寝たい!
疲れているのは、今なんだ!と叫びたくなったことはありませんか?

藁にもすがる思いで手にするおやすみ絵本。
でも、絵本は子どもの眠り薬ではありません。

ところが先日、3歳の甥にこちらの絵本を読んでいたところ、
「ママ、眠くなっちゃった」とママのもとへ駆けていき、そのまま本当に眠ってしまいました。

いろいろなタイミングがちょうど重なっていたとはいえ、びっくり!
おやすみ絵本を読んで本当に眠くなるなんて、私にとっては初めてのことだったのです。

『ぼくはちっともねむくない』には、いろいろな動物のあくびがたくさん出てきます。
読んでいる方も本当に大あくびが出てきて、空気がゆるんでいきます。

本当に眠りにいざなってくれたことを差し引いても、とっても素敵な絵本なので、おやすみなさいのお守りにいかがでしょうか。

***
『ぼくはちっともねむくない』
作:クリス・ホートン
訳:木坂 涼
発行:BL出版 2016年初版


菓の辞典

April 14, 2023

ËBRIさんにて開催中の「焼き菓子と絵本」
今年も出店できることに感謝の気持ちとわくわくでいっぱいです。

さて、雷鳥社の辞典シリーズをご存知ですか?
本屋さんで見かけたことがある方も多いかもしれません。
愛でたくなるサイズ感が心地よく、装丁もお洒落な辞典で、『草の辞典』『空の辞典』など、いろいろなものが出版されているのですが

その最新刊が『菓の辞典』です。

古代から現代へ、ヨーロッパのお菓子の歴史を辿るように構成されているこの本は、旅する本といっても良いのではないかと思います。

好きなお菓子から見るもよし、順番に読むもよし。

最近話題になった、マリトッツォやカッサータは、実はとーっても古い歴史をもつお菓子だったと知って驚くもよし。(わたしのことです)

子どもが小さいころよく見ていた、日曜日のアニメを思い出すもよし。
(これも、わたしのことです)

お菓子作りが好きなあの人にも贈りたい、素敵な一冊です。

「焼き菓子と絵本」にもお持ちしますので、ぜひお手に取ってみてください。

***
『菓の辞典』
文:長井 史枝
絵:いのうえ 彩
発行:雷鳥社 2022年初版


おいしいおと

April 19, 2023

もやしときゅうりとハムを酢醤油で和えたサラダ
我が家の子どもたちの好物です。

実はそんな子どもたちも、もともとは、もやしが食べられませんでした。
今もそうですが、食わず嫌いの多い子どもたちは、見た目だけで食べられそうかどうかを判断することがあります。
盛り付けがイマイチだものね……と、やや卑屈になりそうになりながら
もやしのシャキシャキ感を感じてみてほしくて思いついたのが、
「どんな音がする?」
と誘導することでした。

この作戦は大成功!

今では、「疲れがとれるやつ」という料理名で、我が家の夏の定番メニューになっています。
暑い日に食べると、疲れが吹き飛ぶということも、子どもたち自身が発見したのでした。

先日、絵本の贈り物選びのお手伝いをさせていただきました。
そのときに伺ったのが、食べることが好きだけど、好き嫌いが多いというお話。
もやしのことがよみがえってきて、『おいしいおと』を選んでみました。

絵本の舞台はある日の食卓です。
ご飯やお味噌汁、おかずにデザートの、美味しそうな絵と美味しそうな音が描かれています。

今日の晩ご飯はどんな音が聞こえるか、さっそく確かめたくなってくるのですが、
もちろん、苦手なものではなくて、好きなものの音から確かめてみるのがおすすめです。

あとは、割り切りも肝心。
(自分にも言い聞かせています)
少しも食べたいと思えないものは、何をしたって食べたくないですからね。

そうそう、食べないものがあると、食卓から消えてしまいがちですが、出し続けるのが良いそうです。
人間同士、毎日会っているとだんだん仲良くなっていくのと同じですね!

さて、もやしのシャキシャキ感なんて言いましたが、本当にシャキシャキと聞こえるでしょうか?
ぜひ、確かめてみてください。

***
『おいしいおと』
文:三宮 麻由子
絵:ふくしま あきえ
発行:福音館書店 2008年初版


時をこえて ひと針のゆくえ

April 21, 2023

今日は地球の日、アースデイです。
1970年、アメリカで誕生したアースデイは、「なんでもない普通の平日」だった、4月22日となりました。

なんでもない普通の日の今日、我が家は庭のお手入れをする予定です。

家に囲まれた小さな庭でも、どこから飛んできたのか、お菓子の包み紙やマスクの個包装の袋などが落ちていたりします。
もしかすると、ポケットから飛び出してしまったのかもしれないと思いつつ、やっぱり少し寂しい気持ちになります。

『時をこえてひと針のゆくえ』は、黒いビニール袋に植物を刺繍した作品に、エピソードが添えられた、不思議な作品集です。

作者のアナイスさんは、バスでの移動中、黒いごみ袋が道端の木々を覆い尽くす光景を窓から目にし、黒いビニール袋に植物を刺繍することを思いついたそう。

ゴミを捨てるのは一瞬でも、そのゴミが分解されるには、その何億倍もの時間がかかります。
モチーフになった植物の多くは絶滅危惧種なのですが、ゴミの分解を待たずに、この地球上から消滅してしまうかもしれません。

ひと針ひと針時間をかけて刺してゆく刺繍の美しさとゴミ袋との対比には、とてつもないインパクトがあります。

アナイスさんは、刺繍は散歩に似ていると後書きでおっしゃっています。
それは、じっくり時間をかけて観察をするから。

よく目を凝らして、耳を澄まして、さあ、庭中を観察しよう!
小さな庭で、地球を感じてみようと思います。

***
『時をこえて ひと針のゆくえ』
作:アナイス・ボーリュー
訳:青木 恵都
発行:タムラ堂 2022年初版


ポコンペンペンばけがっせん

April 28, 2023

4月23日から5月12日の20日間は、こどもの読書週間です。

今年のポスターを手掛けられたのは、ザ・キャビンカンパニーのお二人です。

図書館に届いた封筒を開け、ポスターを開いた瞬間、目に飛び込んできたビビッドなピンク色と、本を開く子どもの絵に、あっという間に心を奪われました。

(気になる方は、読書推進運動協議会のHPからも見られますよ!)

実はつい先日、妖怪にはまっているという甥に、ザ・キャビンカンパニーさんの『ポコンペンペンばけがっせん』をプレゼントしたばかりでした。

きつねとたぬきが、どちらがこわいか化け合戦を繰り広げるのですが、ページが横に三分割されていて、顔の組み合わせは、なんと686通り!

子どもたちが小さい頃、いないいいないばあを面白くするために、百面相を極めていた時期がありますが、686面には完敗です。

絵本と一緒に「おばけキャッチ」というテーブルゲームもプレゼントしました。
絵本と、ちょっとしたおもちゃや雑貨の組み合わせは、最強!

5月13日のマルスタジオマルシェでは、小樽のヨーロッパ玩具のお店キンダーリープさん(@kinderlieb_insta )、ガラスに描いて消せる筆記具キットパスの日本理化学工業さん(@kitpasportal )と同じフロアでの出店です。

プレゼント選びにも、ぜひいかがですか?

maru studio marché
日時 2023年5月13日(土)
   10:00-16:00
場所 カミニシビレッジ
   札幌市厚別区上野幌1条2丁目6-1

***
『ポコンペンペンばけがっせん』
作:ザ・キャビンカンパニー
発行:アリス館 2020年初版

よろしければ、サポートをお願いします。 いただいたサポートは、本屋活動を続けていくために、大切に使わせていただきます。