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店主と、本のある暮らし May 2023

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】をnoteにも投稿しています。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。



やぶるうまれる絵本 ハロー!びりびりワールド

May 8, 2023

待ちに待っていた、こちらの絵本が届きました!
やぶるうまれる絵本です。

1ページずつ、手作業で丁寧に貼り合わせて製作されているこの絵本は、ページに開けられた小さな穴を見つけて指を引っ掛け、びりびりやぶることで完成する絵本です。

破ることで、自分だけの絵本が生まれます。
破いたあとの紙も、千切って貼ったり、ページに絵を描き足しても面白い!

新聞紙をビリビリ破る遊び、子どもは大好きですよね。
親も便乗して、ストレス解消とばかりに一緒に破いてみるものの、なんだかいけないことをしているような気持ちになったりしませんか?

そう、大人の中には、何かを破ることは、良くないことだという刷り込みがあります。
子どもにも、きっとそう教えることが多いのではないでしょうか。
プレゼントの包み紙も、小さな頃はびりびり破いていたのに、いつの頃からか、丁寧にテープを剥がして取り除くようになっていきますよね。

それは全く悪いことではないけれど、たまには常識をぶち破ってみましょう!

この絵本、大人が、どこまで見守りに徹することができるかが、カギになるような気がしています。
いけないことをしているような気持ちや、破り方を誘導したくなる気持ちをグッとこらえて、自由になってみましょう!

お誕生日などの贈り物にもぴったりです。
贈るのなら、ちょっと気持ちがラクかもしれませんよ!笑

***
『やぶるうまれる絵本』
著:rekko
発行:さりげなく 2023年初版


もじもじこぶくん

May 9, 2023

今日5月9日は、アイスクリームの日だそうです。
だんだん暖かい日が増えて、アイスクリームが美味しくなる季節ですね。

アイス屋さんのケースを見ると、どれにしようかワクワクしますよね。

子どもの頃、隣町にお出かけすると、スーパーの一角のフードコートにあったアイスクリーム屋さんで、アイスを買ってもらえるのが楽しみでした。

ワクワクしながらケースをのぞくのに、何故だか、いつも同じフレーバーを頼んでしまう自分がいました。
本当は、新たに試してみたいものがあるのに、迷いに迷った挙句、いつもと同じ、いちご味。
買ってくれる家族も、「これが好きなんだな」と思っていたに違いありません。

自分でも、好きかどうかなんてわかってはいませんでした。
ただ、いつもと違うものを頼むのは、なんだか照れ臭かったり不安だったり。

食べるのも遅くて、いつもコーンの先からアイスが垂れて、手がベタベタになっていたなあ……。

でも、やっぱり楽しい、お出かけの思い出です。

『もじもじこぶくん』を読むと、そんなアイス屋さんでの思い出が蘇って、こぶくんを応援したくなってきます。

みなさんは、アイス屋さんの思い出、ありますか?

***
『もじもじこぶくん』
文:小野寺 悦子
絵:きくち ちき
発行:福音館書店 2019年初版


まいにちたのしい

May 12, 2023

What kind of music do you like?

中学英語でのこの質問を機に、本当の答えじゃなくて、答えやすい答えを言えば良い時がある、と悟りました。
だって、音楽の種類なんてそんなに知らないし、ジャンルよりアーティスト重視。
彼らはロックな気もするけど、ここで私が「I like rock.」はなんか違う気がする……。
どうにも面倒くさい思春期の思考回路と付き合いながら、でも、ここでうーんなんて悩んでいたら、授業も進まず試験にも不合格です。

そんな調子なので、Hip Hopも選択肢に挙がってはこなかったのですが、ラップという表現方法(と言って良いのでしょうか?)には、ちょっと興味がありました。
すごく、ことば遊びっぽいなという印象があったからです。

言葉をリズムにのせて表現することは、日本古来から行われていたものですし、きっと日本に限らず、言葉のあるところには表現が生まれるのだろうなと思います。
もはや、言葉そのものが表現ですものね!

はあ、面白い!

余談ですが、日本のラップについて調べていくと、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」に行きつきました。
はあ、やっぱり面白い。
実は、ジャケット写真の撮影場所にはゆかりがあるので、こんなところでつながったか!と嬉しくなりました。

『まいにちたのしい』は、ラップグループKAKATOのお二人と、アニメーションでも活躍されているオオクボリョウさんによる絵本です。
毎日いろんなことがあるけれど、なんてあっという間なのだろう!
ぜひ、ご家族で楽しく読んでみてください。

maru studio marché では、音楽にちなんだ絵本も集めてみました。
ぜひ探しにきてくださいね!

***
『まいにちたのしい』
文:KAKATO
絵:オオクボ リョウ
発行:ブロンズ新社 2019年初版


かようびのドレス

May 13, 2023

今日は土曜日ですが、『かようびのドレス』をご紹介します。

小さくなって着られなくなってしまったお気に入りのドレスを、ママがリメイクしてくれます。

次から次に姿を変え、最後は??

みなさんのお家には、ずっととっておきたいお気に入り、ありますか?

長女は、年中さんの時に買った花柄のセットアップがお気に入りで、上は着られなくなっても、下だけは小学生になっても履いていました。

捨てられずにいましたが、そうか、リメイクしてみようかな?

こういうのって、女の子だけかな?と思いきや、最近長男からもこんなリクエストが。

「この靴下、小さくなったら縫い合わせてパンツにして」

え!!!

そんな発想なかったし、どう考えてもパンツの方が面積広そうだけれど。

でも、靴下がお気に入りのなのが伝わってきて、ほっこりしました。

お気に入りがあるって、素敵!

***
『かようびのドレス』
文:ボニ・アッシュバーン
絵:ジュリア・デーノス
訳:小川 糸
発行:ほるぷ出版 2015年初版


ライラックどおりのおひるごはん

May 18, 2023

札幌は、ライラックの季節になりました。

昨日からは、3年ぶりの開催となる、さっぽろライラックまつりが始まっています。

ライラックは札幌の木にもなっている、とても馴染み深い木です。

『ライラックどおりのおひるごはん』は、イタリア在住の作家による絵本ですが、札幌在住のわたしにとっても見逃せないタイトル!

そもそもライラックはヨーロッパ生まれの木です。

北海道では、ライラックの季節の寒の戻りを「リラ冷え」と呼びますが、リラはフランス語でライラックを意味し、イタリア語だとリッラとなるようです。

ライラックは、イタリアでも親しまれているのでしょうね。

この本、内容もとても魅力的です。

ライラックどおり10番地のたてものに住む、さまざまな国の人々のお昼ご飯が紹介されています。

左のページには、それぞれのお部屋でご飯をつくる様子が、右のページには材料とレシピが描かれています。

眺めるだけでも楽しく、よだれが出そう!

作ってみたいという意欲も掻き立てられます。

レシピ本のように、料理の写真や詳しい作り方の説明はありませんが、リアリティは抜群です。

その国の文化や生活がいきいきと感じとれるのは、絵本ならではだなあと感じます。

続編の『フルールヴィルのいちねん』も発売されています。

こちらは、世界の季節のお料理が載っています。

ぜひこちらも、ご覧になってみてくださいね。

***
『ライラックどおりのおひるごはん』
作:フェリシタ・サラ
訳:石津 ちひろ
発行:BL出版 2022年初版


おこうなアニカ

May 22, 2023

ピアノで、スウェーデン民謡の「小さなうしかい」を練習していた長女が、
「スウェーデンでは昔、家で牛を飼っていたらしいよ!」と教えてくれました。
ピアノの先生が教えてくれたそう。

曲にまつわるエピソードを交えて教えてくれるなんて素敵!と思いつつ、はっと思い出したのが、『おりこうなアニカ』です。

さっそく一緒に絵本を開くと、じっと最後まで聞いてくれました。

「このお話、なんか知ってる!でも、違う絵だった!」と長女。

家でこの絵本を読んであげたのは、実は初めてでした。
保育園や学校で読んでもらったことがあるのか聞いてみても、そうではない気がするとのこと。
もしかすると似たお話が他にもあるのかもしれませんが、それにしては、細かいところまで一緒です。

心当たりはひとつだけ。
我が家では、夜寝るとき、消灯後に簡単な物語を聞かせているのですが、その時に、このアニカのお話を語り聞かせたことがありました。

もしかして、それを覚えているのかも。
きっと、わたしの話を聞きながら彼女が空想していた世界が、絵本の絵とは違っていたのだと思います。

スウェーデンにも行ったことがなく、牛飼いにも会ったことのない長女の心には、どのような情景が映し出されていたのでしょう。

そのときの彼女の経験を総動員して、想像しうる限りの素敵な素敵な世界が広がっていたに違いありません。

それって、すごいこと!!

寝る前の語り聞かせは、7割が桃太郎、桃太郎のパロディが2割、残りの1割がその他の昔話や創作です。

きりのない夜の読み聞かせが大変で、お手軽ゆえに始めた語り聞かせでしたが、楽しい空想の時間になっていたのだと思うと急に愛おしくなりました。

今度は「小さなうしかい」をBGMに、アニカを読むのもいいな。

***
『おりこうなアニカ』
作・絵:エルサ・ベスコフ
訳:いしい としこ
発行:福音館書店 1985年初版


ポコンペンペンばけがっせん

May 29, 2023

夏に、ザーーーーーッと局所的に短時間に降る雨

何と呼ぶのだろうと思っていたら、そうか、それを夕立と呼ぶそうな。

子どもの頃、遊んでいるときに突然夕立にあったことがあります。

急いで、雨宿り出来そうな軒下に駆け込んだのですが、髪も服も靴もぐしょぐしょで、テンションは急降下。

でも、大粒の雨を眺めているうちに、どうせ濡れるのなら思い切り濡れてみよう!と思い立ちました。

雨の中に飛び出して、全身で受けます。

空を見上げて、雨粒が落ちてくる様子を目で捉えようとしたり、声を張り上げて歌を歌ってみたり。

雨の匂いも音も、全部を感じつくそうとしていました。

こんなに濡れて帰ったら怒られるかなと思ったら、全然怒られなかったのも驚きで、その後のお風呂も気持ちよかったな。

なんとなく小さくまとまって中途半端になるより、これは振り切った方が楽しめるやつだ!と思うとき、この日のことを思い出します。

『どしゃぶり』には、あの日の自分がいます。

経験者の方、ぜひ読んでみてください!

未経験の方も、ほぼ完璧に疑似体験できるのではないかと思うほどのリアルさ。

雨の日、夏の日におすすめしたい一冊です。

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『どしゃぶり』
文:おーなり由子
絵:はた こうしろう
発行:講談社 2018年初版

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