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店主と、本のある暮らし February 2023

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


ぼくのともだちは、あたまにはながさいている

February 4, 2023

今日は立春。暦の上ではもう春なのですね。

今日は、これからの季節にもぴったりの、表紙も華やかな絵本をご紹介します。

あたまに花が咲いている、ぼくのともだちのデイビッド。
ある日、デイビッドの花が枯れてしまい、元気がなくなってしまいます。
ぼくがデイビッドのためにしたことは?
そして、元気になったデイビッドのためにしたことはなんだったのでしょう。

元気がなくなってしまうことって、ありますよね。
理由を話したくないことも、そもそも理由のないときだってあるかもしれない。
それに、元気になったらそれでめでたし、というわけにもいかない。
元気がなくなることって、たまーに、ちょくちょく、あることですもんね。

いつもと様子の違う友達に寄り添い励ますぼくのアイデアもさることながら、それ以上に、いつもどおりになった友達を思う、ぼくの気持ちと行動に心を打たれました。

なるほど、わたしも、ぼくのような気持ちを忘れず、大切な人に接しようとあらためて考えさせられました。

この本は、お友達と遊ぶことができるようになってくる4、5歳頃から、相手の立場になって考えられるようになってくる小学生の皆さんに、ぴったりの絵本だと思います。

ちなみにもうすぐ5歳の我が子は、本を読んだ後、「ぼくもお友達いるんだけどね、それはね……」と、自分のことを話し始めました。

読んであげるときは、お説教じみないようにしたいところ。
ぼくのような行動ができるのは、きっと、自分自身も満たされているときだと思うからです。

まずはカラフルで優しい絵と文章を楽しんで、ほっこり優しい気持ちに包まれてみてください。

***
『ぼくのともだちは、あたまにはながさいている』
作:ジャービス
訳:まきもり れい
発行:岩崎書店 2023年初版


ちいさなねこ

February 9, 2023

2月22日は、ニャンニャンニャンで猫の日。
実は猫の日は世界各国で制定されており、ヨーロッパでは2月17日を猫の日とする国が多いのだそうです。

さて今日は、猫の絵本をご紹介します。

ちいさなねこが、おかあさんねこの目を盗んで、そっと家から抜け出します。
外には危険がいっぱい。
子どもに捕まりそうになったり、自動車にぶつかりそうになったり……
万事休す、と思ったそのとき!!
ヒーローのように登場するのが、おかあさんねこです。

ドキドキワクワクしながら物語に入り込んでいく子どもたち。
大ピンチにハラハラして、おかあさんねこの登場に、ほっと一安心。

「もういっかい!」を卒業したと思っていたもうすぐ5歳の我が子からも、久しぶりに「もういっかい!」コールが入りました。
何度も読むと、来るぞ来るぞの期待感で胸が膨らみ、来たー!!と解放されます。

読んでいる大人の方も、おかあさんねこの登場シーンには毎回痺れます。

おかあさんねこの目、かっこよすぎて……!

この鋭い目の奥に、我が子の身を案じる心細い気持ちや動揺を隠しているのだろうかと想像できるからこそ、こんなにもグッと来てしまうのでしょう。
なんだか、誇らしい気持ちにもなります。

ぜひ、大人も子どもも一緒に、楽しんでみてください。

***
『ちいさなねこ』
作:石井 桃子
絵:横内 襄
発行:福音館書店 1967年初版(単行本)


おとなのなかのこども

February 16, 2023

子どもの頃、「子ども」と「大人」は全く別のもので、自分もいつか「大人」になる日がくるのだと思っていました。
20歳の誕生日になれば、自動的に「大人」というものになるのだろうと。

そのうち、大人とは何か?と疑問を持ち始め、その日が来たらちゃんと「大人」になれるように、なりたい大人について考えるようになりました。

さて、いろいろ考えた甲斐あって、その日をある種の感慨を持って迎えたものの、何かが劇的に変わるはずもなく、いつの間にかすっかり、何の疑いもなく大人と呼ばれるように……。
何がどう大人になったかって、さっぱりわかりません。笑

体の変化や思考の変化はあるものの、心で感じるものは、ずっと変わっていない気がします。
だから、時には傷つくこともあるし、お恥ずかしい話、子どもと遊んでいるうちに急にはしゃぎ出して、本当に怪我をすることもあります。

先日、わたしより少し年配の方と、この絵本についてお話しする機会があり、
「根本の部分って、子どもの時から……」と言った後に、
「変わりませんよね!?」
「変わりませんよね!?」
と、ハモって嬉しくなりました。

きっと皆さんも、大なり小なり思い当たる節があるのではないでしょうか。
自分や相手の中にいる子どもを認めること、愛すること、解放することは、いろいろな問題をちょっとラクにしてくれる気がします。

大人の中にいる子どもについて、とてもユーモラスに描かれているこの絵本。
もうすぐ思春期に差し掛かろうとしている長女も、まだ保育園児の長男も、始めはポカンと聞いていましたが、少し間を置いて、「へえ、そうなの?」とニヤリ。

何だか子どもと、もっともっと仲良くできそうな気がしてきました。

***
『おとなのなかのこども』
作:ヘンリー・ブラックショー
絵:いのうえ まい
発行:化学同人 2020年初版


スノーウィとウッディ

February 23, 2023

2月27日は国際ホッキョクグマの日。
ホッキョクグマの絶滅の危機や、直面している現状を発信するため、Polar Bears Internationalという団体により、制定されました。

道民にとって、クマと言えばヒグマです。
生活スタイルやサイクル、遭遇した時の対処法などを学ぶ機会も多く、冬眠前の餌集めの時期と冬眠明けの空腹時には、人里にも下りてくることがあるから気をつけようということは、小さな頃から心得ているように思います。

そんな、クマには関心の高い私たちも、ホッキョクグマについては知らないことも多いのではないでしょうか。
例えば、寒い冬にこそ活動するホッキョクグマは、冬眠するの??

実はホッキョクグマは、夏の間に冬眠(絶食)するのだそうです。
ヒグマのように巣穴で眠るというよりは、エネルギーの消費を抑えながらゆっくりと歩き回り、再び海に氷が張るのを待つのだとか。
そのために、春までの間にしっかり脂肪を蓄えておく必要があるのです。

基本的には氷上で生活するホッキョクグマですが、地域によっては陸地で過ごすこともあり、ヒグマと生息域が重なるところもあるようです。
温暖化によって、ホッキョクグマの生息域が南下しているとも言われており、そうなると、両者の縄張り争いや、交雑種も増えるのかもしれません。

『スノーウィとウッディ』は、そんなクマ同士の出会いをほのぼのと描いた作品です。
似ているけれど違う、お互いの個性を活かし合う物語のようでもありますが、色鮮やかで可笑しみもある絵は、それだけでずっと見ていたくなる心地よさがあります。

また、わたしにとっては、ホッキョクグマとヒグマの生態について調べてみるきっかけになった本でもあります。

絵本は、それ自体には教育的な要素がないとしても、さまざまな興味の入り口になることがあります。

一緒に考えたり、調べたり、話し合うのも、絵本を介してなら遊びの延長でできそうな気がしませんか?

***
『スノーウィとウッディ』
作:ロジャー・デュボアザン
絵:石津 ちひろ
発行:好学社 2019年初版

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