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レティシア書房店長日誌

「エルマーのぼうけん展公式図録」
  
 勇敢な少年エルマー・エレベーターと一匹のりゅうが、幾多の危機に遭遇しながらも、困難に立ち向かう冒険を描いた「エルマーのぼうけん」展が、現在東京の「PLAY MUSEUM 」で開催されています。その公式図録が、ブルーシープ社から「My Father's Dragon- エルマーのぼうけん展」(2420円)発売されました。同社から出ている展覧会図録はいつも、本の装丁、デザイン、印刷、内容どれをとっても美しく、今回も素敵な一冊になっています。


 「エルマーのぼうけん」シリーズは、ルース・スタイルス・ガネット&ルース・クリスマン・ガネットの二人によって1948年から1951年にかけてアメリカで出版され、世界中でロングセラーになりました。日本では1963年から65年にかけて福音館書店から発行されました。
 家を飛び出して、一人で冒険の旅に出たエルマーの前には、恐ろしい動物や、邪な考えの大人たちが立ちふさがります。その度にエルマーは全面対立することなく、自分の知恵で危機を乗り越えていきます。
「自分とは違う他者を受け入れ、争うことなく機転を利かせて解決する姿勢は、作者ガネットの日々の生き方、人生哲学でもあります」と図録に書かれています。展覧会は、ミネソタ大学から約140点の原画を借り、作者からは制作のためのダミーブック、ぬいぐるなどの資料提供を受けています。図録には、全3巻のほぼ全ての原画と共に、物語の展開、制作過程の説明などが盛り込まれています。
 店にある原作本を改めて読み返し、図録に収録されている原画をつぶさに見ました。登場する動物たちの表情の豊かなこと!原作本では、物語の途中に挿入されているので、そんなに大きな面積ではないのですが、図録の方は1ページ、1ページ絵が大きいので、ペンの細かいタッチまで見ることができます。
 第2作「エルマーとりゅう」で、今まさに飛び出そうとしているエルマーとりゅうの絵は、浮遊感が素晴らしく原画ならではの魅力があります。第3作目「エルマーと16ぴきのりゅう」ラスト、最後のお別れだと抱き合うエルマーとりゅうの姿の、丸みを帯びた優しさに満ちた絵も素晴らしい。この展覧会は、来年にかけて全国を巡回する予定らしいですが、関西方面に来たら、ぜひ本物を見たいと思っています。
レティシア書房のお知らせ
 ✳︎8月21日〜29日の間休業いたします。
 ✳︎8月30日(水)〜9月10日(水)
   とよたともこ個展「わたしはとんでゆく」
 ✳︎9月13日(水)〜17日(日)
   山中さおり絵本展「ともだちの すきないろ」
 ✳︎9月20日(水)〜10月1日(日)
   高山正道・長元宏 陶展 「やります。二人展」
 

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