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田舎で~本屋営業日記 R4.2.6

街の本屋を始めて、丸二年を迎える。時の経過表現として「一寸の光陰」とはよく言ったものだが、本当に、開業したのがつい昨日のことのように感じてしまう。まだ、何もやっていないし、やれていない、これからというのが実感である。

悪い時に始めたものだねと、慰めや励ましの言葉も頂いたように、開店直後からのコロナ禍が、2年も経つ、今なお続いているなどとは想像だにしていなかった。コロナが終わったらああしよう、こうしよう・・・そんな望みを持ちながらも、今できる一所懸命を積み上げた2年間だったと思っている。これから始まる3年目も、できる懸命を積み上げていきたいと思う。

以前、テレビでも話したが、本屋とは、いたって地味な仕事の連続である。

例えば高久書店の一日は、朝7時半の雑誌開包作業から始まる。雑誌の検品と付録付け、陳列が終われば、次は書籍の開包と仕分けに移行する。一旦、店内外の掃除にとり掛かり、9時になると、ご高齢の方を中心とした配達に出かける。そして古紙回収や銀行などを廻り、開店する10時前からはレジ内で定期購読と注文品の処理、入荷連絡などをしていく。午前中は、レジ接客をしながら書籍の陳列や、取次店(問屋)に無かった本を出版社に手配する。
基本的に一人でやっている本屋なので、決まった休憩や食事の時間などは無く、トイレを含めてお客様がいない時間を見計らって手短に済ましている。
午後からは、これから刊行する予定の本(書籍・文庫・コミック・ムックなど)のチェックや注文をしながら閉店までの営業を続けていく。
併せて、経理事務や、ブックカバーなどの備品誂え、返品梱包などの作業も行う。寄稿や講演、イベントなどの依頼が入れば、隙間時間をみつけながら、“ながら、ながら”の仕事が日常といったところである。

平凡ではあるけれども、その先にある「お客様(読者)と本の出会い」を演出できることを考えれば、いつも、いつまでもワクワクする楽しい仕事である。
経済的に、割が良いとは言えないけれども、「人には本が必要」「街には本屋が必要」という信念には変わりはない。成り立つ努力を惜しまない。

90年代に25000軒あった本屋は今、8000軒台へと激減した。ネットで何でも誂えられる時代でも、実店舗の価値は、信用と信頼、そしてコミュニケーションであり「今日行く(教育)」と「今日用(教養)のある」場でもある。

地域に本屋を植えて行きたいという想いは、募る。これからも、楽しんで、そして頑張りたい。今後とも、何卒宜しくお願いいたします。皆様のご支援に感謝致します。

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