マガジンのカバー画像

読んだ本の感想

154
卍丸的な読書感想文集
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

軽薄な私

志賀直哉含め、僕は硬質でありながら柔らかな自然の情景、相反するかのような陰翳の描写──そ…

12

『戦争の悲しみ』 バオ・ニン

寒波がやってくる少し前、集中して本を読みたくて、近所のカフェに立ち寄った。 ヴェトナム戦…

14

Ciao

僕は何枚も馬鹿みたいに写真を撮った。 厚手のウェットスーツ姿のサーファーたち 娘が妻と母…

7

『ある家族の会話』 ナタリア・ギンズブルグ

こんなにひとりの翻訳者を追いかけたことはないかもしれない。 須賀敦子全集から知ったナタリ…

23

絵画に閉じ込められた題名──稠密なキューブの集合

色彩──光を十分に受けた物体の反射光を僕たちは赤、青、緑の三種類を組み合わせて目のセンサ…

21

シノワズリ柄のブックカバーと栞

外は時々、霧雨のように細かい雨が降る。 数ヶ月ぶりに裏山に行った。山の向こうは海が広がる…

19

土曜の朝、須賀敦子全集第三巻を読み終える

早朝、まだ陽が登らない時刻、冬の蘇州の小さなホテルの一角にあるコインランドリーの並ぶ部屋──乾燥を待つ間、僕は須賀敦子全集第三巻を読み終えた。 他の宿泊者がやって来て、お互い寝ぼけ眼で軽く会釈した。霧が窓を薄い水のベールのように覆っている。ガラスに映る僕と見知らぬ人。窓の中の僕らは水滴で表情も視線も曖昧だ。 向こう側の僕らは冬の運河の旅仲間のように思えた。 外を眺め、眼を閉じると、ドラムの回る音だけが響く。 冬の運河沿いの木々が僅かに見える。 僕はどうしてだか白い薔薇の花

2022年の本、僕のベスト約10冊

やはり、いちばん影響を受けたのはバタイユだろうか。 エロティシズムはもはや僕のバイブル的…

37