2019/03/23

本のフェス1日目。あいにくの雨、が降ったりやんだり。気温は真冬並み。厳しい戦いだった。

のは身体だけで、心はあたたかい1日だった。本がたくさん売れた、ということはもちろんうれしいのだけど、本を通していろいろな会話をすることができた、ということがいっそうあたたかさをうんでいる。

こだまさんの本は特に会話の糸口になりやすかった。平積みしたちんぽの文庫にはタイトルを隠した全オビカバーがかかっていて、上から2冊目にあえて全オビを外したもの、つまりタイトルモロ見えのものを置いていた。なんだこれ?と手に取ったひとは、全オビを見ている視界のうちにタイトルがチラっと映るため、わりとすぐに正体を知る。あるいは全オビ本を開いてすぐに理解する。そのタイミングで「とんでもないタイトルですけど、とてもいい本なんです」というような声をかける。既に本の存在は知っていたひとは、「気になってたんですよ」という反応がわりと多かった。知らなかったひとも、きちんと話を聴いてくれた。ちんぽの本ではなかったけど、おしまいのほうを買ってくれたひともいた。タイトルを隠して売るという手法、実はイベントなどの対面販売のほうが効果的なのかもしれない。タイトルが見えないから興味を持つ→そこで中身を丁寧に説明してくれるひとがいる、という流れは、その本を読むことになる流れとしては自然なように思える。

とにかく、こだまさんの本は反応がよかった。すでにファンで、本はもう持ってるから買わないけど、かなり長くこだまトークをしたひともいた。とてもたのしい時間だった。こだまさんの人生、いろいろ起きすぎでしょ!という、他人の人生で盛り上がる、という。ありがとうこだまさん。でも、ガスコンロかけっぱは気をつけてね。

読みたい本がたくさんある!と言ってくれたひともいた。ぜんぶは買えないよ!と、残念そうに、でもとてもうれしそうに連れの人と話しているのを見ていると、もうそれだけで満足してしまう。実店舗ができたらまた来てください。また、ぜんぶは買えないよ!と言わせます。

すべて意思を持って仕入れている本だから、たとえ読み込んでいない本だとしても、「その本おもしろそうですよね」というはじまりの会話ができる。おもしろさやすばらしさを説明できなくても、「おもしろそう」という感覚の共有だけはできていて、実はそれだけでもう「本を読んでもらう」ためのファーストステップは終えているのだろう。自分と同じ感覚を抱いたひとがいる、ということを認識すること、それも目の前で直接それを伝えられること。もしかしたらこれはある種の「安心感」なのかもしれない。この安心感は、その本を買うことにつながる可能性があり、たとえそのときは購入に至らなくても、「ここにはわたしと同じ感覚のひとがいる」という認識が生まれることで、「次」が生まれる。はやく小屋を完成させよう。やはり「場」を持つことは大切だ。

あしたもまだ本のフェス。天気もよさそうなので、帰りの荷物を軽くして終えたい。本はぜんぶ売り切って、引き出し本棚のなかにおぺんひとり、という状況で帰りたい。

noteの利用をやめています。記事を読んでサポートしたい!となった場合は以下のリンクへ飛び、下部にある「サポートする」よりご支援いただけると幸いです。 https://books-lighthouse.com/aboutthispage/